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高断熱・高気密・全室暖房・計画換気
 高断熱・高気密・全室暖房・計画換気この4要素がバランス良く保たれていなければならない。
空気が悪くなったり、湿度が高くなって黴やダニが発生する。言われるほど暖かくない、夏は暑い
化学物質過敏症が心配だ。などなどは、4つのバランスが欠けてている場合が多い。特に計画換気
が難しいようだ。 
 13年前から高断熱・高気密・全室暖房・計画換気の住宅を地域の工務店と共に学びながら、新
在来工法(室蘭工業大学の鎌田先生が提唱)を主体として設計してきた。設計の内容はピンからキ
リまでだが数は200棟ほどあり、豊富な経験を積み重ねてきた。また小さな地域で見識が固まら
ないように、新在来木造構法普及協議会(略して新住協)で切磋琢磨している。住宅を住まいやす
く、デザインだ、文化だとばかりでなく、生産システム的な考え方を加えたい。

高断熱
 断熱材
各種の断熱材があるのだが、理論的にはその地域に適合した熱損失係数を満足し、施工のしやすさ
と価格が安いければ良い。最近ではこれらに加えられてエコロジー、バウビオロギー性が問われる
   現状の中ではセルローズファイバーが良さそうであるが、製造工程でのダイオキシンが問題
になっている。
 私の場合は、上記の諸条件を踏まえてグラスウールを全体的に使用している。グラスウールの厚
さは、外壁が厚さ100ミリ(16kg細繊維)、屋根が厚さ150から200ミリ(16kg細
繊維)、床は基礎の外側断熱で発泡ポリスチレン厚さ50ミリ(B3)と防湿コンクリートの下に
発泡ポリスチレン厚さ30ミリ(B2)である。断熱・気密性に慣れていない工務店は施工の利便
性を第一とし、そこの希望からウレタンボード類になることもある。ウレタンはエコロジー的には
フロンガスや廃棄物処理の困難さ、バウビオロギー的には科学物質そのもので、強いアレルギー原
因物質でありしかも毒性のイソシアンが含まれている。火災のガスも危険である。しかし、現在は
本州以南では利便性がまだ勝っている。
 窓(開口部)
断熱に関しては断熱材の他に重要なのが、窓などの開口部である。私の所の標準は樹脂サッシ(+
ペアLOW−Eガラス)である。コストがあれば木製サッシ(ペアLOW−Eガラス)。またその
混合も多い。地域の製品である幅2間から2.5間もの大きなヘーベシーベの木製サッシは高価なのだ
が人気がある。
 熱損失係数
断熱材と窓のこうした仕様で熱計算をしている。私の所では熱損失係数が1.2kcal/h℃前後が標
準である。窓を大きくしていくとあっというまに2kcal/h℃を超えてしまうが、熱計算をしながら
2kcal/h℃を超えないように考えている。1.0kcal/h℃近辺の住宅は形が単純で床面積が大きいも
の。2.0kcal/h℃を超える住宅は平面的にも立面的にも複雑で表面積が大きく、しかも窓だ大きい
ものである。

高気密
気密の性能は気密工事が完了してから、住宅を使用するのと同じ条件下(テーピングを必要以上に
しない。)で住宅に圧力をかけて隙間相当面積を求める。
 隙間相当面積で0.7cm2/m2前後が標準である。気密が良いのは0.3cm2/m2までいっている。
1.0cm2/m2を超えているのは窓が2重サッシの場合である。性能の違いは施工精度によるが、窓
の開閉方式で性能が違ってくる。窓が開きか、引違いかで気密性能が0.5cm2/m2ほど違いがでて
いる。引き違いサッシは気密性能が悪く、物の搬入などを考えて必要最小限の数にする。断熱・気
密施工の工法は大きく分けて、断熱材の内貼りと外貼りがある。施工精度のある工務店ではグラス
ウールの内断熱とウレタンボードの外断熱の気密性能は同じく、工法の違いによる性能の差異は無
い。

全室暖房
4要素の他の要素はコストにあまり左右されないが、全室暖房は開きが大きい。コストは放熱源の
数にほぼ比例する。放熱源の数が増えれば増えるほど全館の温度差が少なくなり温熱環境のレベル
があがる。大まかに分類してみる。
(1)一番ローコストなのはFFストーブ1台である。10から15万円で床面積50坪まで可能
   である。
(2)床暖房ができるFFストーブで、その温水で2から3カ所に配置されたパネルヒーターを暖
   め、全室暖房をする。パネルヒーターはストーブの補助程度の役目である。コストは50万円
   前後。
(3)2台の深夜電力利用の蓄熱暖房器と補助として1台のエアコン。コストは70万円前後。エアコ
   ンはどなたも持っているので差し引くと50万円前後になる。給湯も深夜電力利用でハロゲン
   電気調理器を使うとオール電化の家になる。
(4)5から7カ所前後の放熱源の、ボイラーでのパネルヒーターや深夜電力利用の蓄熱暖房器であ
   る。
   コストは100万円から150万円前後。
(1)はプランニングを開放型にし、吹き抜けを設けて2階に熱をまわすなど工夫が必要で、自由なプ
   ランニングには制約がある。熱と共に音もまわるなどの欠点もある。温度差は吹き抜けの上下
   で1度から2度くらい、平面的には3度程度ある。ストーブ1台でこの程度なら喜ばしい。
(5)温度差を少なくするのにFFストーブを床下に置くタイプがある。1階の間仕切り壁で熱が回り
   きれないので、オープンになっている床下空間を利用して全体的に暖める。同様にパネルヒー
   ターや深夜電力蓄熱暖房器を床下に置くなどの高級な方式も多い。床面の温度が室温と同じか
   1度から2度あがり心地よい温熱環境になっている。暖房の灯油代は秋田で40坪前後で1冬100リ
   ットルから1200リットル程度である。東京ならこの1/3である。エアコン1台で全館暖房がで
   きる。

計画換気
排気型や熱交換器型換気システムでダクト配管し計画換気をする。換気量は4人家族で150m2前後にし
ている。下図はスエーデン製バーコの排気型の計画換気である。心臓部の換気扇の馬力が強く、ダ
クトの曲がりや長さなどの抵抗を当初から能力に入れているので、抵抗による換気風量はさほど落ち
ることなく施工が楽である。考え方がシンプルで、確実に充分な換気がなされている。メンテナンス
も楽で換気扇の扉を開くとモーターが付いており、扉ごと交換できる。浴室や便所からの換気も常時
できるのが強みである。湿度がたかい浴室の内装に木を貼っても黴びにくい。乾燥機を付けなくても
水蒸気が常に排気されているので、洗濯物の乾燥室に使えるのが便利である。最近問題にされている、
換気システムの見えなくメンテナンスし難い所にあるフィルターやダクト内の汚染がない。外壁側の
吸気口の汚れは見え、椅子などで手が届き、フィルターの掃除がしやすい。
換気システムは国産でも各種でているが換気扇の馬力が弱く、ダクトの長さや給排気口の数や位置な
どの抵抗を考慮しなければならない。抵抗が大きいだけ風量が落ちてしまう。分岐チャンバーやフレ
キダクトなど工夫はしているが、バランスをとるのが難しい。こんなことから、計画換気をしていな
いのはとんでもないことだが、換気システムをつけていても充分働いているか確認しないと安心でき
ない。排気口などを風量計で計ってみると良い。特に熱交換器型換気システムは隙間相当面積が0.5
cm2以下の気密が良い住宅では吸気と排気のバランスを十分にチェックしないと空回りしていること
がある。料理や便所の臭いや湿気がなかなか抜けないなどと言われる。
換気システムだけでは焼き肉やタバコなどを吸うと換気量が足りなく、窓を少しばかり開ける。床下
の蓄熱層などがあり熱容量が大きいので短時間なら温熱環境にひびかない。
計画換気の超ローコスト版は、プランニングが解放的で隙間相当面積が0.5cm2以下であれば、パイプ
ファンですむ。5カ所程度の吸気口を外壁にバランス良く取り付け、便所の排気パイプファンを連続
運転する。空気の圧力で難しいとされているが2階の吸気口から外気が入っている。