4.ヒトに負荷が少ない(健康を損ねない)住宅
●空気質(室内気候と室内環境汚染の現状)
・公衆衛生学的問題
[1]温度(寒さ、暑さ)と健康
 1.高断熱・高気密住宅の快適な温熱環境と健康
 
 室内の温熱環境が快適に感じられるためには、気温・湿度・輻射・気流の四つの
要素をバランス良く満足させなければなりません。図[2ー6]
 (A)暖かさは健康 
 図[1ー1]は気温と脳卒中の関連を表しているもので、寒い北海道のグラフ線
(i)の全体的な死亡率が長野、秋田、東京、暖かい鹿児島より低く、長野、秋田
の半分以下です。さらに特筆されるのは、北海道のグラフ線が14度前後で折れて
います。14度以下になると死亡率が下がっているのです。外気温が14度前後に
なると、寒さを我慢するのではなく、暖房するので体に負担がかからないのです。
さらに北海道の耐寒住宅の死亡率の線(ii)は長野、秋田の1/4にも下が
っています。
 a)上下の温度差が少ない
 従来の建て方のように暖房室の、下の床面近くで10度、上の天井近くで40度
近くというように、上下の温度差が30度前後もあるような最悪な室内環境ではあ
りません。性能がよい住宅は、高さが9メートルもある吹き抜けた居間の上下の温
度差でさえ1度以下でとても快適です。図[1ー7]数台のパネルヒーターで熱源
を拡散させる高級な暖房システムなどではほとんど温度差がありませんが、FFス
トーブ1台でも、居間が21度、2階の子供部屋が18度と温度差が少ないのです。

 b)平面的な温度差が少ない
 高級な暖房システムなどではほとんど温度差がありませんが、トイレなどの臭い
が生ずる空間などはヒートショックや結露がしない程度に多少下げた方がよいでし
ょう。図[1ー8]また同じ20度でも子供は暑く、高齢者は寒く感じます。居間
の空間の中でも、高齢者のコーナーは2度ほど高めなのが好まれます。温度差が全
くないのが理想ではなく、それぞれの場所の適温があります。

 c)冷輻射は少なく、隙間風はなく快適
 冷たい壁面、床面がなく冷輻射が感じられず、窓ガラスはペアガラスさらには低
放射ペアガラス(Low−E)になると、冷輻射が殆ど気になりません。しかし、
FFストーブ1個などの自然対流の暖房の場合は不快で微妙な気流を、階段下など
で気にならないような工夫が必要です。室内で空気の流れが人肌に感じられない程
度は0.15から0.20m/秒以下です。

 d)1日の温度差が少なく快適
 性能の良い住宅は、夜寝るとき暖房を止めても、朝起きたときの温度は1度から
2度くらいしか下がらず18度と、起きがけの寒さを知りません。朝一番で家事を
すの主婦にとても喜ばれています。睡眠中も暖かいですから寝具は夏掛けで十分で
す。冬掛けを収納する大きなスペースもいらなくなります。図[1ー14]

 e)暖かく動き回れて健康
 全室が20度前後と暖かく温度差が少ない室内気候は、動きやすい薄着で全館を
自由に動き回れ、家の中に閉じこもりがちな高齢者や幼児には良い運動になります。
全室暖房の住宅はオープンな間取りが得意ですから、ワンルーム化でき廊下を広く、
または少なくし、ドア数も最小限にすることによって、微妙な段差を嫌う車椅子に
とっても向いているバリアフリーな住宅です。

[2]高湿度と不健康
2.高断熱・高気密住宅の快適な室内(湿度)環境と健康
 計画換気ができるように高気密になっているので、外の絶対湿度の低い新鮮な外
気を入れ、室内の湿度が高く汚れた空気を外に捨てることにより適度に乾燥気味に
なっています。空気の乾燥は結露防止とカビやダニの繁殖を押さえます。
 
 a)結露しない
 計画的に換気されることによる適度な湿度と、全室暖房で各部屋の温度差が少な
いことにより結露しません。

 b)カビやダニの発生が少ない
 冬は室内が湿度45パーセントの乾燥状態であり、結露もないのでカビやダニの
発生が少なくなっていま。湿度の高い梅雨はエアコン1台で全室を除湿でき、カビ
やダニの発生を押さえることができます。
 
 c)適度な湿度で快適
 乾燥しすぎると図[1ー15]のようにインフルエンザ・ウィルスの生存率が高
くなります。温度が21度から24度の場合、湿度50パーセント以上では4時間
後の生存率は6パーセント前後なのですが、湿度20、35パーセントの乾燥時で
は生存率が23時間後でも14、22パーセントの高い生存率になっています。

 人間は鼻と口から吸い込んだ埃や細菌などを、気管の粘膜から排出された粘液と
一緒に気管の繊毛の運動でタンなどとして外に吐き出します。しかし、室内が乾燥
しすぎると、粘膜や繊毛の活動が弱まり、細菌などから人体を守るフィルターの役
目を果たせなくなります図[1ー1ー16]。これにより人体の抵抗力が著しく低
下してしまい、その結果風邪やインフルエンザにかかりやすくなっています。
 
 風邪を引いて病院にいくと、家の中を加湿しなさいと言うお医者さんがいますが、
湿度を上げると今度は結露やカビやダニの問題がでてきます。また家が腐ったりも
します。そういうことを言うと、家と体のどっちが大切なのだと言う乱暴なお医者
さんもいます。もっとも、カビやダニは体にも悪いのですが。そう言った意味では、
口にマスクをするのは理にかなっていることが解ります。口から吐き出した水蒸気
がマスクで保湿され、高い湿度になり細菌のフィルターの役目を果たしています。
マスクのガーゼの細かい繊維そのものも埃のフィルターの役目を果たしています。
 風邪を引かないためには湿度を上げなければなりませんが、あげすぎると結露し
たり、カビやダニが繁殖し喘息やアトピーに成りやすく逆に健康に悪いです。以上
の結果から判断すると湿度は50パーセントをめどに、55パーセントを超えない
ようにしたいものです。



・臨床環境医学的新しい問題          化学物質汚染(化学物質過敏症・環境ホルモン)
  【バウビオロギー建築(生物学的建築学)と                   エコロジー建築(環境学的建築)】  自然素材が見直されてきているのは、テレビに最近良くでてくる、新建材からで てくるホルマリンなどの害による化学物質過敏症を考えてのことである。今までは 「エコロジー、エコロジー」と言われても家を作る人は我関せずであった。エコロ ジー建築は環境共生建築と訳されている。地域や地球の環境共生と言われても、本 人には直接関係なく、お金がかかることはいやだというこだ。それが最近、エコロ ジーに関連したバウビオロギーという言葉がでてきた。直訳的に建築生物学という ことである。  バウビオロギーは、最近、眼にしたり耳にしたりの機会が多くなってきているが、 国内では未だ経験が浅く、資料も少ないことから、意味合いを十分理解されている までに至っていない。バウビオロギーはドイツ語のBaubiologieを直接 カタカナで表したものである。意訳すると、エコロジーは地球全体や地域との環境 共生だが、バウビオロギーはエコロジーの中で家屋を中心とした室内・外環境の狭 い範囲に絞られる。もっと端的に言うと、エコロジーは地球に負荷をかけない、バ ウビオロギーは人(本人と家族)に負荷をかけないことになる。これなら家を持つ 人も良く解る。環境ホルモンや化学物質過敏症などを配慮された考え方である。  エコロジーとバウビオロギーは表裏一体のものだが、生物学的(環境共生)な地 球環境や地域環境に重点をおかれた広い意味合いの場合はエコロジー、生物学的な ヒトやその周辺環境の住居などに重点がおかれた狭い意味合いの場合はバウビオロ ギーと使い分けられている。  しかし、エコロジーとバウビオロギーは表裏一体のものだが、背反する場合があ る。照明を白熱灯か蛍光灯かを選ぶ時に悩んでしまう。環境を考えると、蛍光灯は 省エネでエコロジーなのだが、電磁波などで人体に悪くバウビオロギーではない。 白熱灯は人体に付加が少なくバウビオロギーであるが、エネルギーの消費量が大き く、また寿命が短いことからエコロジーでない。この問題に代表されるように、物 事は簡単に良否が判断されることは少なく、その時々にどの様に選択されるかが問 われる。  バウビオロギーは日本では90年に岩村和夫が「建築環境論」のなかで約90ペ ージにわたって説明されているが、まとまった資料としては最初だと思われる。し かし、その当時は広まらなかった。国内の社会情勢や認識がそこまで至っていなか ったのであろう。紹介されたカッセルのエコロジー団地のなかの、岩村が設計した 自邸・アトリエの美しさが優先してしまっていた。  その後、95年の高橋元の「エコロジー建築」では僅かにしかふれていないが、 時期がタイムリーだったせいか、バウビオロギーが広がりはじめた。98年のチュ ーリッヒ在住のバウビオロギー建築家佐々木徳貢の「バウビオロギー 新しいエコ ロジー建築の流れ」でスイスやドイツ語文化圏のバウビオロギーの取り組みが具体 的に紹介され、内容が明らかになってきた。  二酸化炭素が増え温室効果により地球が温暖化していたり、オゾン層が薄くなっ たり破壊されたりなどで生態系が崩れてきたことを、有限な資源の省エネルギーな どを地球の環境問題として考えること、また、車の排気ガス、工場、産業廃棄物( もちろん住宅建材の廃棄物も)処理などの公害を地域の環境問題として考える、住 宅建材の廃棄、再使用、リサイクルを住居問題として深刻に考えることのがエコロ ジーといえる。  バウビオロギーは住居や職場などの、温熱・湿度環境、空気汚染環境、磁気・磁 場環境などを生物学的な「ヒト」=人間や住環境を考えることがバウビオロギーと いえる。空気汚染環境は、最近問題にされている、毒性が強い防蟻剤、防腐剤、防 虫剤、合板などの接着剤からでるホルムアルデヒド、塩化ビニールとその可塑剤、 断熱材などに使用されている猛毒のシアン化ガスを含む発泡ウレタン、抗菌剤 な どの合成化学物質による化学物質過敏症や環境ホルモンを考慮にいれている。  健康で快適な住環境をつくるには、化学物質が含まれていないものや、より少な い材料を使用していかなければならない。こうした素材を以下に記述する。  1.低負荷な自然素材の使用    木、珪藻土塗り壁、漆喰塗り壁、プラスター塗り壁、自然系塗料、コルク畳、    ゼオライト、炭化発泡コルク断熱材、発泡ガラス断熱材、低ホルマリン合板、    和紙、布クロス、天然リノリウム  2.健康障害建材の未使用      ビニールクロス、新建材、合板、防蟻・防虫・防腐処理、防虫処理畳、接着    剤、塗料、抗菌・防カビ・防炎・難燃処理  3.健康に悪影響な化学物質の抑制    ホルムアルデヒド、揮発性有機化合物、農薬を主体とした防蟻・防虫・防腐    剤、ラドン、塩ビ、プラスチック、フロン、特定フロン、アスベスト  4.床下環境が良好な住宅    ・白アリによる食害予防、木材腐食防止     床下の乾燥 防湿シート・防湿コンクリート(基礎外側断熱) 、断熱・気     密型開閉床下換気口   ・防蟻法 自然系防蟻・防腐剤の使用


●バウビオロギーの設計手法  まだ日本では実績がないので、チューリッヒのバウビオロギー建築家佐々木徳貢 の「バウビオロギー 新しいエコロジー建築の流れ」(学芸出版社)のなかの「バ ウビオロギーの設計手法」をあげる。 [1] 初期チャート  バウビオロギー建築設計の実際を説明するために、私が勤めていたチューリッヒ のバウビオ建築事務所での仕事の進め方をフローチャート図で表わし、誰もが実践 できることを明快にしていきたいと思います。          この単純な図式には、あたり前のことなのですが、非常に大切な項目が隠されてい るのでそれをチェックしてみましょう。  まずはじめに重要なのが土地、建設用地です。  購入計画からバウビオロギー建築家が参加できるのか。どうか?もうすでに決まっ た土地があるのかということは、バウビオロギー建築の最終的効果の現われ方に大き く影響してきます。化学工場の煙突が風上にあるような土地に、完全バウビオハウス を建てても、住む人の健康向上に役立つ保証はできません。  パーフェクトを求める人には、初期段階から完成、アフターケアまで、すべての工 程でのバウビオロギー建築家との共同作業をお勧めいたします。 1 土地の選定から、バウビオロギー建築家との共同作業を進める。 2 土地(新地)はすでに決定済みで、建築計画から共同作業を進める。 3 すでに持ち家があり、決定的な原因により全ての建て直しを考えている。 4 すでに持ち家があり、場合によっては改築、増築を考えている。 5 アパート、マンションの住人で、自分の健康向上のためにバウビオロギーテクニ   ックを利用したい。  以上のような、それぞれ違った立場からバウビオロギーへのアクセスが考えられま す。しかし、すべての場合に共通していることは、注文する側の人は、一個人だけの、 できるだけ高い利益を追求しがちだということです。これに対して、バウビオロギー 建築家は、地球規模の利益を追求し、その時点での正しく妥協できる点を探し当てな くてはなりません。では、建築家、施主それぞれの提案をリストアップしてみます。  A 建築家側からの提案  1 バウビオロギーの正しい理解、協力、説明の努力をします。  2 「お金を払い、物を受けとる」という2方向通行から、循環という輪を描いて、    利益が自分に返ってくるという、現実的な計画の提案、説明の努力をします。  3 人間の健康に影響する、自然のエネルギーと人工的なエネルギーの判別調査の    提案をします。  4 もし、健康を害するエネルギー帯が見つかった場合は、その対応策の提案をし    ます。  5 建築行為におけるCO2(二酸化炭素)の軽減計画の提案をします。    いまや世界中のテーマであり、スイスでは明確なCO2削減のレポートが提出    されれば、500万円から2000万円までの範囲で奨励金が政府より個人に    支給されます。典型的なレンガ造の家とバウビオロギーハウスの比較では、総    合計算で4分の1までCO2を減らすことができました。日本でも3分の1か    ら2分の1までは実行可能です。  6 リサイクルの提案をします。    建設廃棄物の軽減ということは、環境によいということのみならず、建築総工    事費を減らすことができます。  B 施主側からの提案  1 疑問に思う点は遠慮せず質問し、理解できたこととわからないことを明確にし    ましょう。疑問したのに答えがよくわからないということは、疑問された建築    家がよくわかっていないという証拠です。  2 現実的な予算計画、クレジット計画も建築家に相談するべきだと思います。地    方自治体の出す奨励金制度などの情報も得られるかも知れません。  3 土地がすでに決まっている場合は、入手の経緯、土地の歴史、過去など、でき    るだけの情報を提供するべきです。思わぬところから、思わぬことが発見でき    るかも知れません。  4 目の前の建築家を見極めることが大切です。人間として、心の目で見てくださ    い。 C 建築家と施主との共通目的、ゴール  両者にとって、もっとも興味のあることであり、はっきりさせておかなくてはなら ないこととして、どのレベルまで一緒に仕事をするのかということがあります。具体 的には次の4段階が考えられます。 レベル0:バウビオロギー建築相談 レベル1:具体的な測定、基礎データ作りまでの依頼 レベル2:設計、施工図までの依頼 レベル3:実施設計、監督、管理すべての依頼  世の中には、いろいろな考えを持った人がいます。特に個性の強いヨーロッパでは、 誰がどこまでやるかを書式にしてまでも明解にしておかないと、後でたくさんの問題 を抱えることになりかねません。また、自分でできることは自分でやりたい施主もヨ ーロッパには多いようなので、どのレベルまでやったら、どのように経済的負担が変 わってくるか、よく話し合うことが必要になります。  たとえばこんなことがありました。お金の節約が第一テーマの施主がいて、上下水 道を使う必要はないと言いだし、雨水を溜めるビオトープをつくり、トイレはビオト イレ(三層式溜めトイレ)にした家族があります。理論上では実行可能なのですが、 実際となると大変です。まず言い出したご主人は仕事で外出がちを口実に家での仕事 をしなくなり、奥さんと子供がいい迷惑をしているという事態になりました。これな どは、家族構成の都合などにより、どこまでのレベルが実際に実行可能なのか、事前 によく話し合う必要があったと思います。  私の実務経験からいうと、レベル0かレベル3がもっとも合理的なのです。レベル 0の場合、相談は時間給での計算(スイスでは、日本円で1時間7000円ぐらいが 相場)になりますのが、2〜3時間で結構な情報を引き出すことができます。もし目 の前の建築家が生理的に自分と合わないと感じた時には、このレベルで手を引くべき です。またレベル1、2になると。測定などの実務が加わってきます。1時間当たり 15000円ぐらいに、プラス必要経費が必要となり、最低でも2日から1週間の仕 事になります。  そしてレベル3はというと、例えば総工費3000万円の小さい住宅で、設計料金 を12%いただくとしたら360万円になります。しかし計画から竣工まで3ヵ月か ら4ヵ月の時間がかかるのはよくあることで、1日8時間は働くとして、1ヵ月22 日働けば、1時間当たり5100円にしかなりません。  統一性のある計画で、信頼のおける建築家にまかせることが、最終的に大きな節約 につながることは理解いただかたかと思います。 [2] バウビオロギーのメニュー 新築一戸建て住宅の場合 〈実践A〉建設用地の選定  住宅用地を探す時に、駅まで何分とかいった通勤時間をたいへん重要な要素にしか ちですが、本来はその土地の周辺の環境を第一に考えて決定するべきでしょう。周辺 地域に高圧電線ケーブルがないか、ゴミ焼却施設がないか、交通量の多い道路からど れくらい離れているか、塗装工場が近くにないかなど、注意しなくてないけないこと がたくさんあります。 〈実践B〉建設用地の測定  ゲオビオロギーの理論にもとづき、元来土地自体が自然に持ち合わせているエネル ギー帯、ゲオマンテソーンの判別、その力量のデジタル解析をおこないます。そのデ ータをもとに、その建築用地特有のエネルギー干渉作用帯図の制作をします。 〈実践C〉Bで制作した図をもとに、その原因となるエレメントの解決方法の 選択  対水、対風、対放射線、対騒音、対振動、対エレクトロスモック(人間の体が日常 の生活の中で受けている人為的電磁波)、対湿気、対ほこり、対粉塵、対におい、対 ゲオマンテゾーン、対アレルギーなどの問題を処理します。 〈実践D〉Cの解決方法にもっとも合った建築材料の選択  外壁構造、内壁仕上げ、床、天井、屋根、地下室など、経済的にどこまで実現可能 か、またどのエレメントは省略し、あるいは妥協してはいけないのかというチェック リストの作成をします。各建築材料のエコポイント比較表を参考にした選択、毒性の ある建材のチェックをおこない、作業の安全性を確保します。 〈実践E〉エネルギー計画の詳細  暖房・冷房にどんなテクニックを使うのかを決定します。経費、維持費などのシュ ミレーションをおこないます。熱交換装置、パッシブソーラー、ミラーソーラー(ミ ラーで太陽光を一箇所に集めてやる、ソーラーとのコンビテクニック)、ローテック なエネルギー貯蓄装置(石、水)等を選択します。 〈実践F〉以上のデータをもとに、プランニングの開始、決定  特に寝室の位置をきめます。健康な住宅を作るためには、これは非常に重要な点で、 建築家からの提案がフレキシブルであってはなりません。もし外界の影響などで困難 な状況があればあるほど、エレクトロビオロギー(電気・磁力場の変化領域に対抗す る理論)のテクニックに投資して、各エレクトロスモックから施主を守らなくてはい けません。ですから寝室をまず固定することはキーポイントです。また最近いわれる ようになった、マルチメディア対応住宅を計画するのであれば、ことに計画の段階か らエレクトロビオロギーに注意してください。 〈実践G〉CO2削減計画  このうようにして形作られたプランをもとに、実施図を描きディティールを決める と、すべての建築部部におけるボリューム、量がはじきだされます。スイスではすべ て立方メートル(m3)かキロ・トン(kg・t)で材料を注文します。たとえば、棟木 500m3とか、垂木500m3というぐあいに指定して、容積単位で値段が決まって います。こうなると、木材、ガラス、セメント、断熱材・・・と、それぞれに合計使 用料が明確になり、どの建築部分で環境汚染負担度が高いか低いか、エコポイント計 算法(大気中限界値計算法と水中限界値計算法、さらにそれぞれに滞留時間を掛ける 計算方法とエコポイント法の5つの計算方法が主流である。)で表わし、説明するこ とができます。  もしくはシュミレーションして、修正することができます。またこの単純なシステ ムは同時に、明解な注文伝票、値段表に結びつくので、建て主との間に透明な明細書 を提示しあえるというメリットもあります。どこを削るかという話し合いもしやすく、 業者の不正も発見しやすいので、建築家と建主との信頼関係を作りあげていくことが できます。(現実には5〜10%ほど多めに材料を注文しなくてはいけないのですが、 この問題は、施工会社から派遣された現場監督とのコミュニケーションによって解決 していきます。) 〈実践H〉リサイクル計画  建築廃棄物の処理は有料です。工事現場から排出されるゴミの量は、地球のゴミ焼 却施設の50%以上の容量を占めています。建築廃棄物の削減に真剣に取り組まなく てはいけないのに、今まで目をつぶっていた分野です。CO2の削減に効果があるば かりではなく、お金を大きく節約できる部分であることに気付くべきでしょう。  家をつくるときに安いからと廃棄物処理を回収業者に頼んで、もしその業者が違法 廃棄をしているとしたら、スイスでは監督した建築家も訴えられます。ゴミは高くつ くということをくれづれも肝に命じておく必要があります。  過剰な包装をしてある製品など、ゴミになるものを一緒に買わないことです。また 木質の廃棄物は、決して焼却処分してはいけません。それらはチップにして断熱ボー ドや再生紙にするなど、無限の再利用方法が見つかるはずです。自然素材の生命を簡 単に終わらせてはいけません。 〈実践I〉緑化計画  積極的な緑化計画を取り入れ、CO2の削減に努めましょう。特に、過密地帯、都 市部では緑化は非常に有効的な手段です。空気の清浄効果もあり、緑の色やきれいな 花が人間に与える影響は心にまで深く届き、単純に数字で表現できない数々のメリッ トが発見できます。