5.建築材料の選択基準
●建材を選ぶ際に注意するべきこと  a.生産エネルギーが低い  b.自然再生ができる  木材のように植林・伐採のサイクルと住宅の生産・廃棄のサイクルが同調するこ とで森林の減少がなくなるばかりか、住宅にもっと耐久性をもたせると森林が増え る。石油などは有限である。  c.再利用、リサイクルができる  d.毒性がない  毒性は居住時ばかりではなく、製造時、現場作業時、居住時、解体時、破棄物時 の全体を考えなければならない。一日の90%を室内で過ごし、肺による呼吸量は 平均的成人で半日で約1万5千リットル、重さで約20キログラムもある。肺の細 胞は約3億個、表面積は70平方m、体表面積の41倍である。  イ)毒性が引き起こす程度     急性毒性  一度に物質を摂取したときに死に至る毒性     急性中毒  一度に物質を摂取したときに死に至らないまでも、症状がで           る毒性ホルムアルデヒドによる眼の痛みなどもはいる     発ガン性  ガンを誘発させる毒性     慢性毒性  長期にわたって摂取した場合の毒性     変異原生  遺伝子に影響し、突然変異を誘発させる毒性     催奇形性  奇形を誘発させる毒性     アレルギー   毒性評価がほとんど行われていない     化学物質過敏症 毒性評価がほとんど行われていない     環境ホルモン  毒性評価がほとんど行われていない  ロ)毒性が含まれているものを避ける    ・防蟻剤、防腐剤、防虫剤(VOC、農薬)処理がなされていないこと    白蟻を防ぐための防蟻剤による土壌処理や土台まわりの木材処理。外壁板張    りなどの防腐・防虫処理。合板の防虫処理。畳の防虫処理。   ・添加剤(VOC)による加工がなされていないこと    ビニルクロスや壁紙の防かび、抗菌、難燃加工。   ・ホルムアルデヒドが含有されていないこと    自然のなかにも微量に存在するが濃度が問題。合板、壁紙、接着剤などに含    れている。尿素系やフェノール系の合成樹脂に用いられる。   ・揮発性有機化合物(VOC)が含まれていない    塗料や接着剤にキシレン、トルエン、ベンゼンなどの溶剤に揮発性有機化合    物がはいっている。   ・フロンガスが含有されていないこと    断熱材の発泡ウレタンや発泡スチロールに含まれている。オゾン層を減少さ    せたり、破壊され紫外線が増し、生物の生命に影響する。オゾン層が10%    減ると毎年約200万人の皮膚ガンが発生し、2075年までに約2000    万人が白内障になる。   ・プラスチック(塩化ビニルなど)を避ける    やわらかくため毒性の可塑剤が含まれている。焼却時に猛毒のダイオキシン    が発生する。樹脂モノマーは毒性が指摘されているものが多い。   ・毒性ガスが発生するものを避ける    断熱材の発泡ウレタンやイソシアネート系の接着剤は火災や廃棄処分の燃焼    時に猛毒の青酸ガスをだす。製造時は強いアレルギー原因物質であるイソシ    アンがが使われ、放出される。発泡スチロールは暖房時に有害なスチロール    ガス放出される、ほとんどが燃焼時にスチロールガスをだす。  室内空気質の予測計算  熱損失係数を求め、暖房負荷やエネルギー(灯油)消費量を予測計算するように、 空気質を計算し予測できればよいが、現状では、建材に含まれている成分や放散量 の資料が少なく判断できない。これからの課題である。  ・ホルムアルデヒドの予測計算式  ・VOCアルデヒドの予測計算式  室内空気汚染の低減のためのユーザーズマニュアル、設計・施工ガイドラ イン  ガイドラインを抜粋する。  ・「具体的な建材・施工材の使用量などの数値を特定し、基準化することは現段 階では難しく、今後、多方面の調査研究がすすめられるべき現状にあります。 特 に化学物質による影響を受けやすい方に対しては本ガイドラインの対策や留意点だ けでは十分でない場合もあり、そうした方については別途医師に相談するようアド バイスをする必要がありますのでご注意下さい。」  ・「健康への影響の可能性等を勘案し、安全な居住空間を提供するために当面優 先的に配慮されるべき物質として、次の3物質及び3薬剤を優先取組物質として選 定し、検討を重ねてまいりました。3物質は、1.ホルムアルデヒド2.トルエン 3.キシレン、3薬剤は、4.木材保存剤5.可塑剤6.防蟻剤」  ・「木材保存剤のうち工場で加圧注入処理、浸漬処理するたまに使用するものの 有効成分については、健康住宅研究会木質建材分科会の実験・検討の結果、こらの 薬剤の空気中への放散は極めて少ないことがあきらかになりました。」  ・「住宅に煩雑に用いられているビニル壁紙からの可塑剤の有効成分については、 内装・実験分科会の実験・検討の結果、空気中への放散は極めて少ないことが判明 しました。」こうしたガイドラインの現状は、「空気中への放散は極めて少ない」 が数値化されていなく、極めて少ない数値でアレルギーや化学物質過敏症や環境ホ ルモンが問題にされているのだから、対策としては弱いように考えられる。
●毒性のある化学物質の建築材料  化学物質過敏症や環境ホルモンの地球環境や人体への影響が確かめられていない といわれるが、1960年代から、生物や人間にそれまで見られなかった確かに異 変が起きている。人類の文明が起きてから5千年たっているが、生物環境が大きく 変わったのは、レイチェル・カーソンが訴える農薬などの合成化学物質の蓄積によ る環境汚染が深刻になっての、ほんの40年ほどの時期である。この二つの関係を 人体実験をしなければ結論をだせないというのだろうか。想像力豊かな人であれば、 論理的に因果関係を知れる。合成化学物質で化学物質過敏症や環境ホルモンの問題 が起きているのを認められなければ、逆に、異変が起きているのは確かなのだから、 この異変を「化学物質過敏症や環境ホルモン」と認識すればよかろう。  このような観点から建築材料を選定する必要があり、毒性のあるの建築材料は、 現状では全く使用しないと都市生活ができないほどなのだが、できる限り使用しな いように努めなければならない。  a.床下、土台回りの土壌の防蟻処理、                 木材の防蟻・防腐・防虫剤処理  横浜国立大学の花井葦道氏は白蟻を防ぐ薬剤の被害にかんして以下のような例を 挙げている。  「クロルピリホスの油剤で土壌処理した住宅で、散布当日より成人男子の居住者 は、頭痛、腹痛などの症状に苦しんだと言う例である。散布3週間後の1階室内濃 度は0.24μg/立方mで、床下空気は30μg/立方mであった。この程度で も耐え難く症状が回復しないため、居住者は結局転居せざる をえなかったという。  また、クロルピリホスの油剤で基礎木部を、フェニトロチオン(有機リン系薬剤) のカプセルで土壌処理した住宅で、当日夜より成人女性の居住者が激しい胃痛を訴 え入院し、退院ご転居したという例も挙げている。クロルピリホスの3カ月後の室 内濃度は0.49μg/立方m、床下は78μg/立方mであった。  元の家に戻ったのは3年後である。一度重い被害を受けると、化学物質過敏症と なり、微量な合議材ばかりか、それ以外の化学物質にも過敏に反応し、長期間にわ たって症状がでることがある。国民生活センターが1996年に行ったアンケート 調査によれば、防蟻材による施工を行った372世帯のうち68件、すなわち20 %弱の大変高い確率で何らかの被害がおこっている。」  1.土台周りの防腐・防蟻処理剤  大きな借金を背負って建てた家が腐らないように、白蟻の被害にあわないように、 10年ほど前までは土台周りの防腐防蟻剤を何の疑いも無く使用していたのが殆ど と思われる。家に羽蟻がでると、被害に怯え、直ちに白蟻駆除業者に連絡をし、3 0万円前後のお金をかけて防蟻処理をする。白蟻駆除業者の「近所に白蟻が出たの で、あなたの家も被害を受ける。」の脅しに負けて防蟻処理をする。近辺に白蟻が でた話を聞き新築時に20万円前後をかけて防蟻処理をする。  防腐・防蟻剤を使用しなくても、白蟻が繁殖しないような家づくりをすれば良い のに、わざわざ毒性の強い防腐・防蟻剤をまき散らし家が長持ちするようには考え たのだが、家は多少守れても、防腐・防蟻剤の毒によって家に住んでいる人たちは 健康を害されている。                                 2.白蟻の生態 白蟻はどこにもいる  5、6月頃に浴室周りで羽蟻が見つかると大騒ぎである。最近は皆さんが、羽蟻 に普通の蟻の羽蟻と白蟻の羽蟻との2種類があることを知れているので、どちらな のかみて欲しいと請われることがままある。白蟻なら大変だ、大切な家が食べられ 壊れてしまうと心配になる。羽蟻が出た所に白蟻がいるというのではなく、家の周 りには当たり前にいっぱいいる。4、5月頃の湿気のある庭の地面に、白蟻に食わ れやすい松の木片を数週間置いておくと、裏側に気持ち悪いほどいっぱいに繁殖し ている。  住宅の周辺の敷地には様々な昆虫類が生息し、白蟻も他の昆虫類と同様に当たり 前に活動している。数千万円を投じた住宅が白蟻の被害を受けるのは耐えられない ことなのだが、一方で白蟻の仲間は庭を含めた自然界のものを腐食するサイクルの 一つの大切な役割を果たしている。白蟻がいなければ腐食して土に帰るバランスが 崩れてしまいゴミの山となってしまう。  3.金融公庫の防腐・防蟻処置  殆どの人が住宅金融公庫の融資を受け公庫の仕様によって家を建てざる得ない。 その仕様には木部等の防腐・防蟻処理をすることがうたわれている。逃げ道はある ものの、お金の掛かり増しをしてしまう。以外と白蟻の被害は少なく、またそんな にお金を掛けなくとも白蟻が繁殖しないような家づくりをすることができるのだが 北海道を除いて公庫からお金を借りるとそうしたことができない。  住宅金融公庫では、土台、外壁部の柱、間柱、筋交い、下地板、胴縁の内、地盤 面からの高さ1m以内の木部の部分を防腐・防蟻処置を講ずることとなっている。 他に浴室周り、台所周り、洗面所周りも指定されている。ただし、ひのき、ヒバ等 の耐腐朽性及び耐蟻性の大きい樹種は除かれている。ひのき、ヒバ等が除かれたの はこの数年前の平成6年版からである。  土壌の防蟻処理は外周部布基礎の内側及び内部布基礎と束石等の周囲20cmと なっている。または、薬剤を使用しない場合は、ベタ基礎等の土壌処理と同等以上 の効力有するものである。北海道、東北、北陸は土壌の防蟻処理を特記により省略 できる。                                          4.防腐・防蟻の毒性  白蟻駆除剤で最も多い、サリンで有名になった有機リン系殺虫剤である。他にカ ーバメート系殺虫剤やピレスロイド系殺虫剤が使用されている。これらは農薬に使 用され虫の神経を犯して殺すが、メーカーはヒトに作用しないと言う。しかし、頭 痛がしたり、体のだるさを感じたり、寝込んでしまう人もいる。有機リン系殺虫剤 中毒は瞳孔のの収縮、頭痛、めまい、冷え、のぼせ等の自立神経失調症、不安、操 鬱状態、幻覚などの精神状態等があらわれる。防腐・防蟻剤に含まれているクロル ピリホス、フェニトロチオン等の農薬の毒性は突然変異性、免疫力低下、発ガン性 等を引き起こす。  防腐・防蟻剤は床下や壁の中に使用されるので室内は農薬に汚染されず大丈夫だ と考えがちだが、防腐・防蟻剤の農薬は気化しガスとなって室内に浸入し汚染する。 例として「代表的な白蟻駆除剤であるクロルピリホスの調査では、新築して1年以 上たった家の台所の流し台に置いておくと、最大値を示した9月には1週間で 0 .041ppm吸着していました。日本の基準も国際基準も0.1ppmなので、 三週間で米は違法レベルの汚染になります。白蟻駆除剤で高度に汚染された床下の 空気が、流しのパイプを通す隙間から吹きあがったのが原因でした。」(住まいに ひそむ農薬が解る本、小若順一・槌田博編著)があげられる。  床下を室内空間とする高断熱・高気密の基礎断熱は毒を撒き散らすことになるの で、防腐・防蟻剤を使用できないが、そもそも、高断熱・高気密の基礎断熱は床下 は湿度が60から70%(梅雨時の一時は75%がある)で安定した乾燥状態、壁 の中の木部や土台などは含水率が12%と全くの乾燥状態で防腐・防蟻剤は必要な い。テレビの報道番組で、0Mソーラーの住宅が防腐・防蟻剤にまみれた床下を、 暖められた空気を走らせている危険が報道されたのは、まだ記憶に新しい。   こうした毒性が強い白蟻駆除剤の有効期間は以外と短く、5年から10年程であ る。これからの家は50年以上の耐久性が問われているのに、短い有効期間の白蟻 駆除剤はナンセンスである。しかし、有効期間が長いと環境中に残留し、動物や人 間に蓄積され問題になる。  5.廃棄処分の考慮  6.有機塩素系殺虫剤の使用禁止から有機リン系やピレスロイド系に  日本で木材用防腐剤が使用されたのは明治以降であり、クレオソート油が鉄道の 枕木や電柱に使用されてきた。銅、クロム、ヒ素化合物の木材防腐剤のCCAが電 電公社の電柱の防腐剤として使用されたのは1963年で、この頃から住宅にも使 用され始めた。白蟻駆除剤はDDT、ディルドリン、クロルナフタリンが1950 年代から市販されていたが、1961年に日本しろあり対策協会がこれらに加えて クロルデン等の薬剤を認定している。この頃は環境汚染ひどくなり、コルボーン博 士が「沈黙の春」で訴えている時期である。しかしこれらの有機塩素系の殺虫剤は 長く環境中に残留して動物に蓄積し、人間にも肝臓障害や神経障害を引き起こした り、発ガン性があることがわかり、1971年にBHCとDDTは農薬として使用 禁止、ディルドリン等のドリン剤も規制されたが、白蟻駆除剤としては規制されな かった。1980年代になってこれらの有機塩素系殺虫剤の環境汚染が明らかにな り、1981年にディルドリンとDDTはようやく全面禁止になった。その後は有 機塩素系殺虫剤のクロルデンが多用されたが、クロルデンの環境汚染が問題になっ て、1986年に使用禁止になった。クロルデン使用禁止後は、白蟻駆除剤は現在 の有機リン系やピレスロイド系に変わってきたが、これも問題になっている。また、 現状では防腐・防蟻土台等の切れ端を普通のゴミと一緒に捨てたり現場で燃やした りしているが、本来は環境汚染を十分に考慮する必要がある。                         b.外部回り  外部周りは放散するので、人体への影響は室内ほどまだ問題にされていないが、 地球や地域の環境に化学物質が蓄積されることから考えなければいけない。  1.板張りの防腐・防虫剤塗料  木造建築が見直され、構造の軸組はもちろんのこと、外壁にも板張りが多く見受 けられるようになった。板張りに塗る塗料も、選定にこまるほど多種多数でまわっ ている。ほとんどが外国系の木材保存塗料である。板張りが珍しい頃は、1970 年前後から、耐候性があり発色が綺麗なキシラデコールの一人勝ちであった。キシ ラデコールの前はクレオソートやアスファルトであった。これらは毎年塗らなけ ればならなかった。または、塗り重ね、剥げるペンキである。ゴーリがまもなく登 場したが、いつの間にか消えていった。その後はオリンピックステン、ガードラッ ク、サドリンなどが登場してきた。  1980年頃までは、木材は腐る、燃えるなど現在のように正当に評価されてい なかったが、浸透性の塗料のキシラデコールの登場によって、木材や板貼り専用の 長持ちする防腐・防虫剤入りの塗料がもたらせられ、腐れは多少ながら解消された。 地肌の木目や木の素材感と透明感のある、色彩が鮮やかなキシラデコールの説明書 には、塗る時は素肌を露出しないように、マスクや眼鏡を用いるように、食器戸棚 など食器や食物が置かれるような所には塗らない、子供の手が届く所には置かない などが書かれていた。防腐剤・防虫剤などが含まれているからである。半袖でキシ ラデコールを刷毛で塗っていると、飛び散った液が腕にかかると素肌がチカチカし ていた。現在のような、化学物質過敏症や環境ホルモンの意識がなかったので、人 体への毒性の悪影響までは考えられず、木に防腐・防虫剤効果があるのだなと単純 に思っていた。  とは言うものの、1980年前後から、木は体に良い、環境に良いなどと言い出 し始めると、木材保存塗料の防腐・防虫剤の毒性が気になりはじめた。毒性は人体 ばかりでなく、外部に塗られるのだから、防腐・防虫剤は雨に流されたり、空気中 に放散されたりして環境を汚染していく。そんなところに、防腐・防虫剤が含まれ ない無公害木材保存塗料としてオスモカラーが登場したのは、1990年頃だろう か。そしてこの数年の間に、自然形塗料のリボスや自然塗料のアウロがでてきた。  2.モルタル塗りのサイディング貼りの塗料 有機溶剤の揮発性有機化合物  3.アスベスト               使用禁止アスベスト  c.内部回り  1.木質系ボード  イ)合板  合板には様々な種類があり、普通合板、構造用合板、型枠合板、化粧合板、難燃 合板などがある。耐水性にかんしてもタイプ別に分類される。これは接着剤の耐水 性による。材質的には、ラワンなどの南洋材合板、米松やカラ松などの針葉樹合板 にわけられる。南洋材合板は接着剤の化学物質の他に、熱帯雨林の森林破壊や防虫 剤が使用されることから問題がある。最近はホルムアルデヒドの放散量によっても タイプ別に分けられる。合板は内装に使用される場合は特に考えなければいけない。  木材そのものにもホルムアルデヒドは含まれているが、微量である。このホルム アルデヒドによる木質繊維の自己接着の性質を利用したものが、ハードボードやマ サナイトである。また木材からはテルピン系に属するピネン類が放散される。  ・ホルムアルデヒド  接着剤の種類によって、放散量が違う。放散量は接着剤によって決まる。少ない 方からF1(平均0.5mg/リットル以下、最大0.7mg/リットル)、F2 (平均5mg/リットル以下、最大7mg/リットル)、F3(平均10mg/リ ットル以下、最大12mg/リットル)となるが、様々な報告書と実経験から判断 して、F2とF3の合板使用時は場合は換気回数0.5回で厚生省やWHOの数値 の0.08ppmを超える可能性がおおきい。F2とF3の合板に使用される接着 剤はほとんどはホルムアルデヒドが主成分のユリア・メラミン系及びユリア系であ る。  設計図書で注意されなければいけないのは、特記仕様書や仕上げ表の凡例にF1 合板使用を指示しても、工務店側で図面を木工事、内装工事、建具工事、家具工事 など工種ごとにバラされ(分割して)、各工種に情報が伝わらなく、指示が徹底さ れないことが多い。工務店側でも注意する必要があるし、設計側でも面倒なことだ が各工種ごとに親切に明示することが必要である。特に内装建具や家具は現場から 離れた作業場や工場でつくられるので注意しなければならない。作り付け家具ばか りでなく、キッチンなども注意が必要である。    ・防腐・防カビ剤  接着剤に混ぜて使用されるものがある。(JASの防虫             処理合板)  ・防虫・防蟻剤   接着剤に混ぜて使用されるものがある。(JASの防虫             処理合板)  ・難燃剤      難燃合板に使用されている。  ロ) パーティクルボード  中程度の堅さの木質繊維板。  ・ホルムアルデヒド  合板と同様に、接着剤の種類によって、放散量が違う。放散量は接着剤によって決 まる。少ない方からE0(0.5mg/リットル以下)、E1(1.5mg/リット ル以下)、E2(5mg/リットル以下)となるが、様々な報告書と実経験から判断 して、E1とE2の合板使用時は場合は換気回数0.5回で厚生省やWHOの数値の 0.08ppmを超える可能性がおおきい。、E1とE2のパーティクルボードに使 用される接着剤はほとんどはホルムアルデヒドが主成分のユリア・メラミン系及びユ リア系である。E0だからといってホルムアルデヒドが0であることではない。0の 数値から、全く含まれていないと誤解されることが多い。ホルムアルデヒド以外の物 質と注意事項も合板と同様である。  ハ) MDF  中程度の堅さの木質繊維板。ホルムアルデヒドの放散量の分類はパーティクルボー ドと同様。使用される接着剤はほとんどはホルムアルデヒドが主成分のユリア・メラ ミン系である。ホルムアルデヒド以外の物質と注意事項も合板と同様である。  ニ) 内装用集成材(ユリア系接着剤)  ホルムアルデヒドの放散量がたかいユリア系接着剤の集成材の使用には注意が必要  である。  ホ) 構造用集成材(レゾルシノール系接着剤、フェノール・レゾルシノー ル系接着剤)  ホルムアルデヒドが含まれているレゾルシノール系接着剤が使用されているので、 注意が必要である。  ヘ) 内装用LVL(ユリア系接着剤)  ホルムアルデヒドの放散量がたかいユリア系接着剤のLVLの使用には注意が必要 である。  2.合板用接着剤、防虫剤        合板は薄い板を何枚か貼り合わせるため、板をくっつけるのに多量の接着剤を使う。 接着剤はホルムアルデヒドを原料に作られる。ホルムアルデヒドは刺激臭のある無色 の気体で、水によく溶ける。この37%水溶液がホルマリンで、殺菌防臭剤としても 広く使われている。  合板に用いられる接着剤は、ユリア(尿素)樹脂系やメラミン樹脂系、フェノール 樹脂系のようにホルムアルデヒドが出てくるものが多く使われている。というのも、 加熱、加圧して、接着効果が高まるものはホルムアルデヒドの含まれるものが多い。   合板用の接着剤にはおもに次のようなものが使われている。              (生活クラブ検査室資料「建材の安全性」槌田博より)  ・ユリア樹脂系接着剤  全合成系接着剤の40%を占める。主として合板用に使用されている。ホルムアル デヒドが出てくるのが問題である。  ・メラミン樹脂系接着剤  ユリア樹脂よりも耐水性、耐熱性に優れるので屋外用合板に使用される。この樹脂 からもホルムアルデヒドが出てくる。一般にユリア樹脂と混ぜてメラミン−ユリア共 縮合樹脂として使用する。  ・フェノール樹脂系接着剤  高価であるが、耐水性、耐候性、耐熱性に優れる。これもホルムアルデヒドが出て くる、  ・α−オレフィン樹脂系接着剤  ホルムアルデヒドを含まない木材用接着剤として最近開発された。イソブチレンと 無水マレイン酸の共重合系樹脂である。合板や集成材、無機質板、天然木化粧板の接 着にも使用される。 ・水性高分子−イソシアネート系接着剤  ホルムアルデヒドを含まない木材用接着剤。ポリビニルアルコールを主成分とする。 合板、集成材、木工、プラスチックフィルム、建材等に使用する。  20年前、合板のホルムアルデヒド汚染が問題になり、JAS(農業規格)によって、 F1からF3までの表ランクが設けらた。  F1の合板が一番ホルムアルデヒデの放出が少なく、F3はF1の約20倍も多量の ホルムアルデヒドを放出する。しかし、現在、製造されている合板の大半はF2でF1 はほとんどない。  ・防虫加工した合板  86年にクロルデンの使用が全面的に禁止されるまでは、合板の接着剤にクロルデン を混合していた。86年に禁止された後は、サンプラス、ピリダフェンチオン、フェニ トロチオン、ホキシムなどが使用されている。  日本農業規格(JAS)によれば、普通合板に使用される薬剤量は、ほう酸は2立方 メートル当たり1.2kg、ホキシム、フェニトロチオンは1立方メートル当たり0.1 kg〜0.5kgという大量なものである。  さらにフローリング用合板では、これに加えてS−421(オクタクロロジプロピル エーテル)、ピリダフェンチオン、クロルピリホスなどもあげられている。これらの薬 剤含有濃度も1立方メートル当たり0.1〜0.5kgということである。これを水田の 空中散布の殺虫剤としてフェニトロチオンを使用した場合の標準使用量(0.05/m2 )と比較すると、10〜50倍も合板の方が多量であることがわかる。  こうした合板で部屋の壁と床を作るとその部屋には農薬が充満することになるが、どの くらいの量の農薬が室内にでているのか詳しいことはわかっていない。      3.畳   イ)有機リン系殺虫剤  見た目は自然素材な畳に、「畳の防虫剤が含まれている」、と聞かされても「あっ、そ う。」で、すまされそうだが、そうはいかない。防虫剤は農薬であり、畳に寝そべった高 さ付近で、ヘリコプターから空中散布された直後の水田の農薬の濃度の約20倍だ。その 高濃度の殺虫農薬を直接口から吸い込み、皮膚も暴露されてしまう。健康な人はもちろん のこと、化学物質に過敏な人や、妊娠中の母親や、これから成長する子供は特に影響を受 け、注意しなければいけない。  コンクリート住宅、木造住宅を問わず住宅のなかで、畳は湿気やすく黴が生えたりダニ が繁殖しやすい。昔は町全体や町内会で、春の大掃除、秋の大掃除と一斉に各家庭で大掃 除をしたものだ。家の中だけではなく、庭や小路や道路をまで清掃していた。その時は畳 をおこし、外に運び出し天日乾燥や消毒をおこなっていた。しかし現在の我々はそうした 慣習をもっていない。昔の家は隙間風や通風があるものの、湿度が高い日が続いた時、長 雨が続いた時、もちろん梅雨の時はたちまち畳が黴臭くなったものだ。低気密の家であっ ても、隙間風が多い程度の工夫だけでは解決できないことを、現在も注意しなければなら ない。手間暇をかけれないから、黴びないように、ダニが繁殖しないように、畳に殺虫剤 や防黴剤を入れるのであろう。拠り所となるJIS規格品もほとんどが防虫処理が義務づ てられている。  ロ)JISによる畳の構造  ・畳床  1.稲藁を原料としたもの  従来の稲藁でつくられる製法で作られてきたきた畳は「ダニ、その他の外注が発生しな いように、適切な防虫処理をしなければならない。ただし、防虫処理には人体に悪影響を 及ぼす薬剤を使用してはならない。」と防虫処理を義務づけている。人体に悪影響を及ぼ す薬剤となにかはJISでは定めていない。「適切な防虫処理には、防虫加工糸、誘電加 熱処理、真空殺菌処理、防虫加工畳糸の使用などがある。」とある。  JISではこうした殺虫剤を使わない方法も示されてるが、実際にはほとんどが防虫加 工紙や防虫不織布が使われ、殺虫剤としてはフェンチオン(バイジット)、フェニトロチ オン(スミチオン)などの有機リン系の農薬が高濃度で使用されてる。  2.ポリスチレンフォームサンドウィッチ畳床  ポリスチレンフォーム板(発砲スチロール)と稲わらを材料として製造した畳床。代表 的なものに「スタイロ畳」がある。わらを使っているので、この畳も防虫加工が義務づけ られている。  3.インシュレーションファイバーボードサンドウィッチ畳床  インシュレーションファイバーボードと稲わらを材料とした畳床。インシュレーション ファイバーボードとは、軟質繊維板ともいい、植物繊維をおもな原料としている。畳床用 のものはチップ化した木材を蒸煮解繊し、耐水剤を添加した後抄造し、連続式乾燥装置で 乾燥させたものとなっている。  これにもわらを使うので、防虫処理が義務づけられている。  4.建材畳床  わらは使わずに、インシュレーションファイバーボードおよびポリスチレンフォーム板 を使用した畳床。縫い糸もすべて化学繊維のものである。この畳床は昭和38年頃から一 部で使用されてきたが、平成元年にJIS化された。防虫処理は義務づけられていない。 ただし、義務づけられていないだけで防虫加工をするのは自由だ。建材畳床の防虫加工例 としては、防虫畳糸(畳床の材料を縫い合わせる糸に薬剤をしみ込ませたりしたもの)を 使用したものもある。  ・畳表  畳表は、い草を綿糸や麻糸、合成繊維の糸で織って作られる。い草は従来は熊本や岡山 などで生産されてきたが、最近では中国等からの輸入が増えている。  畳表はJAS(農林規格)が定められている。畳表はマラカイトグリーンという緑色の 着色剤で着色したものが多いといわれている。着色はい草の段階でやるのと、畳表になっ てからするものとある。前者はマラカイトグリーンの2000〜3000倍液を使用し、 後者はマラカイトグリーン、酸化チタン、顔料、接着剤などを使用する。  また、天然い草を使わないで、ポリプロピレンなどの合成樹脂製や、木材繊維紙と樹脂 などで加工されたり、柔道場などで使用される塩化ビニール製の畳表もある。  ハ)防虫加工  実際には、この方法よりも防虫加工紙、防虫加工不織布の使用がほとんどである。これ は農薬を染み込ませた紙や不織布畳床に縫い込んだり、また、畳床すべてを覆うようにし て縫い込んだりする。畳を敷く場合に畳下防虫シートの使用を義務づけているところもあ る。  公共住宅の仕様書を見ると、わらを使った畳床には必ず、防虫処理をするようになって いる。防虫処理の中で、防虫加工紙・布に使われる農薬はフェンチオン、フェニトロチオ ン(スミチオン)、ダイアジノンなどである。これらが1平方メートル当たり1グラム以 上使われており、非常に高濃度だ。  フェニトロチオンは別名MEP、商品名スミチオンといい、農業用はもちろん、園芸用、 家庭用殺虫剤、木材防虫剤、防虫製品などあらゆるところで使用されている有機リン系殺 虫剤である。急性毒性は比較的低いとされているが、それでもスミチオンを使って自殺す る人が毎年数十人はいる。  また、ダニ退治に家の中にスミチオンを散布したところ、一家全員が重い中毒にかかっ た例がある。免疫系や生殖系におよぼす影響も報告されている。  ダイアジノンは有機リン系の殺虫剤で急性毒性が高く、劇物に指定されている。    ニ)その他の防虫加工  防虫畳糸、防虫畳へり、防虫縁下紙、防虫カマチ紙など、いたるところで防虫加工され ているが、いずれも、防虫加工紙と同じように農薬をしみ込ませたものである。  畳を入れる時にさらに防虫施工  畳そのものにも農薬がしみ込ませてあるうえに、施工時にさらにこのような大量の農薬 を使われたのでは、住んでいる人はひとたまりもない。防虫処理などというと危険がない ような感じがするが、防虫とは農薬を使用することであると、はっきり知っておくべきで ある。  また、このような住宅での農薬使用が何の規制もなく、ほとんど農薬の知識のない人た ちによって無造作に使われていることも何とかしなくてはならない。  輸入材料  最近、国内でのわらの供給が少なくなったため、中国や韓国、北朝鮮などから、わらや 畳床が輸入されている。これらは日本の港で検査して虫がいれば殺虫が義務づけられてい る。殺虫方法は臭化メチルくん蒸かりん化アルミくん蒸である。臭化メチルは急性毒性が 強い上に、オゾン層破壊ガスとして国際的に規制が急がれているものである。  輸入わらがどれくらいくん蒸されているか、詳しい統計はないが、わら・麦わら・その 他加工品合わせて20%から30%がくん蒸されている。これらがどのくらいわらに残留 するか詳しいデータはない。  4.ビニルクロス     1960年代には約3000万m2だった壁紙の生産量が10年間で6500万m2へと 倍以上増産されており、その後バブルがはじけるまで壁紙はものすごい勢いで増えてきた。  壁紙の種類は、大まかにいうと、紙、布、ポリ塩化ビニールから加工されたものが主流 だ。紙の割合が半分より多いものを紙の壁紙、ビニールの割合が半分以上のものをビニー ル壁紙と呼んでいる。現在はポリ塩化ビニールを主原料としたビニール壁紙が95%以上 を占めている。  ビニール壁紙の長所として、大量生産でき低価格、デザインの多様性、耐薬性、施工の しやすさ、工期の早さがあるといわれているが、短所として、感触の冷たさ、低温での施 工のしにくさ、通気性のなさ(結露が出やすい)もあるといわれている。この30年間の 異常ともいえるビニール壁紙の大幅な増加は、ビニール壁紙のもつ長所だけでなく、ポリ 塩化ビニールが特に安価に生産されるという日本の石油産業の特徴にもよるものではない かと思われる。ちなみに、旧西ドイツでは紙の壁紙が8割だという。  ビニール壁紙は、基本的には主原料のポリ塩化ビニールに充填剤・可塑剤・安定剤、防 燃薬剤・着色剤などを加えて作ったビニールシートに、紙などで裏打ちを施し、型押し( エンボス)・プリント加工を行って製造する。  イ)燃やすと危険  主原料のポリ塩化ビニールは、熱分解すると大量の塩酸やダイオキシンのような有害な 有機塩素化合物のガスを生成する。これは火災の時には非常に危険だ。  ロ)ビニール壁紙の添加剤  ・可塑剤  ポリ塩化ビニール製品には、生形加工性を改良し、柔軟性をもたせるために、可塑剤が 添加されている。  特に壁紙に多く使われている軟質ポリ塩化ビニールには25%〜50%の可塑剤が含ま れている。可塑剤には、いろいろな種類があるが、フタル三酸系の生産量が多く、92年 の全生産量53万6千トンの82.8%を占めている。なかでも、DOP(ジオクチルフ タレート)の生産は29万7千トンで、抜きんでいる。  水俣病は可塑剤の製造原料をつくる工程で発生した。チッソ水俣病の原因は、有機水銀 だが、これはチッソがポリ塩化ビニールの可塑剤であるDOPの原料である2−エチルヘ キサノールをつくるためのアセトアルデヒド製造工程で触媒として使用した水銀化合物か ら生じた。  可塑剤の毒性  DOP(ジオクチルフタレート)の毒性  多くの場合、DEHP(ジ−2−エチルヘキシルフタレート)のことをいう。生殖毒性 として、雄のラットへのDOPを投与でコウ丸萎縮がみられ、雌への投与では、胎仔死亡 や催奇形性がみられた。ラット及びマウスを用いた発癌性試験では、肝細胞ガンが発現す ることがわかってる。  TCP(トリクレジルホスフェート、リン酸クレジル) ・難燃剤  難燃効果のある可塑剤としてポリ塩化ビニールに添加される有機リン系の薬剤である。 中毒になると有機リン系殺虫剤の場合とよく似た症状を呈する。経口摂取では、悪心、嘔 吐、腹痛、下痢などの症状がでたのち、10〜20日の潜伏期をおいて、下肢脱力感、異 常感覚などの神経症状を示し、ひどくなると手指の麻痺、運動麻痺もおこる。末梢神経や 脊髄白質に変性がみられ、後遺症が残る場合もある。1930年、アメリカでジャマイカ ジンジャーにTCPが混入し、1万人以上が中毒になった。また、1959年には、モロ ッコでTCP混入食用油で2000人以上が中毒になった。TCPを製造する工場でも職 業性の中毒がでており、皮膚からの吸収についても、注意する必要がある。  TCEP(トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、リン酸トリ−2−クロロエチル) 可塑効果もある難燃剤として、ポリ塩化ビニール製品に配合されることがある。発ガン性 があるとされ、実際に壁紙から出て室内を汚染していることが、大阪大学の植村振作さん の調査でわかった。これはもともと、壁紙の可塑剤を計ろうとしてやった調査ではなく、 ある市の公民館でゴキブリ退治にスミチオンを撒くというので、室内のスミチオン濃度の 経緯をみるためにサンプルを取ったものだ。  ところが、公民館の和室からスミチオンよりもずっと高濃度の物質が検出された。この 物質を特定するために何度も和室の空気を取り、分析した結果、ようやく、和室に貼られ ていたビニール壁紙の可塑剤であることがわかったのだ。  ・鉛系及びカドミウム系安定剤  ポリ塩化ビニールの加工の際、変色や熱分解を防止するために安定剤として添加される 薬剤である。特に、神経毒性を有する鉛を含む安定剤やイタイイタイ病の原因物質である カドミウムを含む安定剤を添加した製品は要注意である。  ・発泡剤  また、ビニール表面を発泡させることによって、下地を覆い隠す効果がでて、施工性を 高めるため発泡剤が使われる。これはAIBN(アゾイソブチロニトリル)のように分解 して窒素ガスを出すもの(有害なニトリル化合物が残留する)や、製造過程でフロンが使 われることがある。フロンガスはオゾン層を破壊することがわかっているので、1996 年までに全廃することが国際的に合意されているが、現在はまだ使われている。  ・防カビ剤  さらに、通気性の悪いビニール壁紙は宿命的にカビの発生を促していまうので、防カビ 剤は欠かせない。JIS(日本工業規格)の中では防カビ使用は義務づけられていないが、 自主的に防カビ剤が入られており、今、出回っている壁紙のほとんどは防カビ製品である。  ・防燃剤・難燃剤  壁紙には防燃剤も使われている。室内汚染をしているTCEPは難燃剤としても使われ ている。他にも3酸化アンチモンなどがある。炭酸カルシウムを多く入れることによって、 ビニール分を減らし、燃えにくくさせている。煙がでないよいうに、また高温にならない ために使われるわけだが、ハロゲン系の難燃剤は、火災時の周囲の熱により熱分解をおこ し、ダイオキシン類を生成する恐れがある。         5.塗料  有機溶剤系塗料には、トルエン、キシレンなど様々なVOCが使用され、室内に放散さ れる。トルエンはシンナーの主成分で、人の中枢神経を麻痺させる。キシレン、エチルト ルエン、トリメチルベンゼンなど芳香族炭化水素の溶媒も麻痺作用がある。  6.その他  ・紙、布クロス   防かび剤、難燃剤が入っているか注意する必要がある。  ・樹脂系床材    塩化ビニルのビスフェノール、可塑剤、防かび、不燃材  ・合成ゴム     発ガン物質添加剤  ・石材       肺ガン原因ラドンガス          ・家具、カーペット、カーテン、寝具、衣服、殺虫剤  ・有害な自然素材  ・現場用接着剤
●ヒトに負荷が少ない建築材料(健康を損ねない)の選択  a.床下、土台回り   ・乾燥 白蟻の生態から  イ)防腐・防蟻剤未使用の構法  イー1 基礎断熱は防腐・防蟻剤の未使用に適している  従来の構法の床下や土台周りは湿度が高く床下換気扇の使用や防腐・防蟻剤の使用に 躊躇するものの使用せざるえないが、前述した乾燥する高断熱・高気密の基礎外断熱で は防腐・防蟻剤を使用する必要がなく、非常に有効な構法である。伝統技術では床下の 通風が十分確保できる置き石束建ての高床であれば食害を受けにくい。しかし床高が高 く、最近のバリアフリーに適さない。  高断熱・高気密の基礎断熱は床下は湿度が60から70%(梅雨時の一時は75%が ある)で安定した乾燥状態、壁の中の木部や土台などは含水率が12%と全くの乾燥状 態で防腐・防蟻剤は必要ない。  しかし、基礎断熱は新築後の半年から1年間は床下空間の乾燥状態に気を付けなけれ ばならない。換気や除湿が考慮なされなければ、コンクリートや木材等から工事水が排 出され、高湿度になり白蟻や腐朽菌の繁殖により被害を受ける。1階の床面に5カ所前 後の床面換気口を設置するのはもちろんのこと、乾燥状態に気を付けなければならない 半年が、冬場であれば除湿器を1台、床下に設置し除湿をする。夏場であれば、基礎の 立ち上がり部分に5カ所前後の断熱・気密型床下換気口を的確に設置し、通風を良くし 排湿をする。  基礎断熱のし始めでノウハウの蓄積が乏しかった頃は幾つかの現場で床下に黴が生じ させてしまった苦い経験がある。この断熱・気密型床下換気口は夏場に開き通風するこ とで、室内の室温低下に役立つ効果もある。冬は断熱・気密型床下換気口を締めなけれ ばならない。半年から1年後には十分な安定した乾燥状態になる。  イー2 発泡ウレタン、発泡スチロールの食害  基礎外断熱の断熱材に使用されるウレタンや発泡スチロールが白蟻によって食害を受け ている住宅がでてきた。住まい手から通報を受け現場に伺うと羽蟻はいっぱいいるが、初 めの頃は、どこに定着しているか限定ができなかった。被害を受けるのは湿度の高い木部 だとばかり思っていたので、床下にもぐって、土台周りの木部を捜してみたが、床下空間 やコンクリートは乾燥し、土台周りの木部もカラカラに乾燥していたし、白蟻も羽蟻もい なかった。  その後、数例の経験をした結果、風除室の土間コンクリートと基礎の立ち上がりのコン クリートに挟まれた基礎断熱部分のウレタンや発泡スチロールが食害を受けていた。4、 5月頃の風除室には、室内で冬を越した草花が持ち込まれ水がかけられる、風除室の温度 と湿度は白蟻にとって絶好な環境になっていたのだ。  1980年に各種断熱材に対するイエシロアリの食害試験が東京大学農学部林学科林産 化学研究室で行われた。イエシロアリの職蟻500頭、兵蟻50頭を投入し、30度の恒 温機内に40日間飼育し、断熱材の食害状況を観察したところ、ウレタンは極端に食害を 受け、発泡スチロールは食害を受けることが知れた。グラスウールとロックウールは食害 が少なく蟻道がある程度であった。アメリカの南部の幾つかの州(5か6州)では、ウレ タン、発泡スチロールの断熱材が白蟻に被害を受けやすいことから、防蟻処理が必要であ る。  風除室やテラス等の土間コンクリートと基礎の立ち上がりのコンクリートに外貼りの断 熱材のウレタンや発泡スチロールが挟まれ湿度が高くなりやすいような場所では、この部 分だけ断熱材の外貼りでなく乾燥している床下側の内張りとする。                                   イー3 基礎外断熱は食害に強い断熱材の使用                高密度グラスウール、発泡ガラス、炭化・発泡コルク  基礎外断熱の今までの弱点は断熱材のウレタン、発泡スチロールが白蟻に被害を受けや すいことと廃棄処分の困ることだが、今まで安易に使用してきた。断熱材に発泡ガラスや 炭化・発泡コルクを使用すれば良いのだが坪当たり3〜4万円と非常に高価であり、特殊 な状態を除き使いがたい。寒冷地で断熱材が沢山使用される北欧や北米の断熱材は現状で は、内断熱、躯体の外断熱に限らずグラスウールやロックウールが多く、基礎の外断熱も 同様である。現状では北欧や北米の例に習って、安価で、多量生産負荷が少ない高密度グ ラスウールの基礎外断熱が有効である。  32kg厚さ50mm+64kg厚さ25mmの高密度グラスウール+遮水・透湿シー ト、排水砂利・暗渠などを総合的に考える必要がある。  ロ) 床面断熱の場合は自然系防腐・防蟻剤を使用する  ・床下の防湿シート、防湿コンクリートの施工  ・土台、大引き、柱、間柱、胴縁、筋交いに耐蟻・耐腐があるヒノキ、ヒバなどの使用    公庫仕様で耐蟻・耐腐があるヒノキ、ヒバなどの木材は防腐・防蟻剤を使わなくて    も良いが、現実的に使えるのは土台や大引きなどである。柱、間柱、胴縁、筋交い    までの使用はかなりのコストアップになり現実的でない。  ・床下の調湿材に炭、珪藻土、ゼオライトの使用    床下換気口からの水蒸気の無限な浸入があるのに、どのほど効果があるか、確かな   データがない。  ・天然防虫剤木酢液の塗布    蒸留木酢液は炭焼きの煙から採れる液で、防虫、脱臭、消臭、土の殺菌に効果があ    る。公庫仕様でない。  ・天然ヒバ油の塗布     青森ヒバを水蒸気蒸留して得られる精油。優れた抗菌性のヒノキチオール 殺虫、    防虫、抗菌、脱臭、消臭。  ・ドノス、アンドラストス(リボス社製天然防蟻・防腐剤)の塗布     ドノスはブナの油からつくられる。アンドラストスは硼素酸塩からつくられる。  ・アルピニアMCの塗布    月桃は沖縄南大東島原産の植物で、その葉から抽出したエキスを蒸散防止のためマ    イクロカプセル化し、その水溶液を床下に吹き付ける天然防除剤。  ハ)既存家屋の効果的な白蟻対策               ・白蟻に侵されているかどうかを調べる  ・白蟻に侵されている    ロ)の床面断熱の場合は自然系防腐・防蟻剤を使用するの項目を参考にする。    b.外部回り  ・塗料    自然塗料  ・板張り   自然塗料、無塗装  ・塗り壁   珪藻土、漆喰、土壁  c.内部回り  1.木質系ボード  イ) F1 合板、E0のパーティクルボード、E0のMDF(フェノール系接 着剤使用)  F1タイプの合板のほとんどの接着剤はフェノール系を使用している。F0、ノンホル ムアルデヒドなどと称している合板がでまわっているが、フェノール系接着剤でも放散量 が少ないがホルムアルデヒドが含まれており、全くないというわけではない。トラブラナ イように注意が必要である。F1タイプの合板でもメーカーによって放散量が違うので、 データを比較して、より少ない方を使用するようにする。E0パーティクルボード、E0 のMDFも合板と同様である。  ロ) F1の合板、E0のパーティクルボード、E0のMDF(MDI系接着剤 使用)  MDI(イソシアネート)系はホルムアルデヒドを使用していないが、ジフェニルメタ ンジイソシアネイトが使用されており、樹脂モノマーが放散されることは否定できない。 この物質はアレルギーに対する毒性を指摘されている。  ハ) OSB  接着剤がMDI系、フェノール系を使用しているので合板と同様である。  ニ) 内装用、構造用集成材(MDI系接着剤)  MDI(イソシアネート)系はホルムアルデヒドを使用していないが、ジフェニルメタ ンジイソシアネイトが使用されており、樹脂モノマーが放散されることは否定できない。 この物質はアレルギーに対する毒性を指摘されている。  ホ) 構造用LVL(フェノール系接着剤使用)  F1合板と同様である。      2.床材        イ)無・低農薬畳  ・畳に殺虫剤や防黴剤を入れないためには  室内の湿度環境整え、床下では地面からの水蒸気を防ぎ、床下換気口を有効に設置する などの床下の湿度環境を良好に保たなければならない。金融公庫の床下換気口の程度で、 床下の湿度を黴や腐朽菌が発生しないような湿度環境を常時保つのは無理なのではなかろ うか。連続した布基礎ではない、神社や寺でみられるような伝統の高床で、束立て置き石 の技術である。しかし、床が高く、何段もの階段になるうえに、スロープも実質的につか なく、現在のバリアフリーには対応できない。現在の我々は、床下の温・湿度環境が良好 な高断熱・高気密の基礎外断熱の技術をもっている。これなら、床下環境も梅雨時でも湿 度が70%前後、一時の最高で75%止まりであり、畳が湿気て黴びたりダニの繁殖が少 ない。  ・安全な畳を手に入れるには  畳やさんに国産のわらを使用してもらい、防虫加工は薬剤不使用の不織布等によるオー ルカバー方法や、加熱処理を頼めばできるということである。ただし、畳さんは畳表、畳 床を購入してきてつくるから、それらが既に農薬で防虫加工してないかどうか確かめる必 要がある。  個人の住宅でなく、公共住宅やアパート、マンション住まいだとしっかり防虫加工され た畳か、完全な化学畳が多いものと覚悟しなければならない。  ・注意する点  1 畳表にマラカイトグリーンが施されていない  2 畳床に農薬入っていない  3 防虫紙が付いていない  4 畳が乾燥状態に保てる住宅の工法にする  ・どんな畳が良いか  1 無・低農薬わら使用の畳床やい草の畳表  2 発泡炭化コルク畳    発泡炭化コルクがをサンドイッチしたされた畳床。発泡炭化コルクは木酢の匂いによ    って粉ダニなどの回避率約60%のデータがある。吸放湿が化学畳の1.5倍ほどあ    る。  3 炭入り畳    防虫、脱臭、調湿性のある木炭の粒をはさんだ畳。  4 インシュレーション畳     ロ)低ホルムアルデヒド合板フロアー  ハ)コルク  ニ)天然リノリューム  ホ)現場施工用接着剤  3.壁・天井材  イ)クロス      1 無・低農薬紙・布クロス、  2 エコクロス  ロ)塗り壁       1 珪藻土  2 漆喰  3 土壁  4.家具、寝具  5.電気、磁気、磁場、電磁波     6.調湿消臭剤       炭、ゼオライト  7.エコロジーな冷暖房、給湯、調理エネルギー