vol.008 エコ・自然系断熱材1
 
 
 
 
 
■1■ エコ・自然系断熱材の現状
 
 
 社会問題として化学物質過敏症、環境ホルモン、シックハウスなどが背景にエコ断熱材は2000年前後が大きなブームであったが、今日は冷静な姿勢で認識されている。
 
 エコロジー・バウビオロギー建築の普及は高橋元の役割が大きく、1995年「エコロジー建築」(訳者:高橋元・発行所:青土社)はバイブルである。それに先立つ1990年の「建築環境論」(著者:岩村和夫・発行所:鹿島出版会)は日本では時期尚早であったが建築領域の環境問題の下地になっていた。テレビなどのジャーナリズムが大きく取り上げると、大きな社会問題になるが、1992年の「日常生活の有害物質がわかる本 暮らしの安全白書」(編著:小若順一.松原雄一・発行所:(株)学陽書房)、1994年の「深刻な室内化学物質汚染 住宅が体をむしばむ」(発行:反農薬東京グループ)、1995年の「住まいにひそむ「農薬」がわかる本」(編著:小若順一.槌田博・発行所:(株)学陽書房)が先進的であった。 
 
 高橋は、「エコロジー建築」だけでは情報量が限られるが、「えこす」(発行:ひと・環境計画)を通じて具体的に先進地ドイツの情報を提供し、工務店、設計者、販売店、製造者、消費者領域での普及活動を勢力的に展開した。活動も一つである、高橋が企画したドイツエコ研修に参加した多くの人々は、現物に見れて・触れて・聞けてエコロジー・バウビオロギー建築が理解でき、それぞれの領域と地域で実践してきている。
 
 1998年には、「バウビオロギー 新しいエコロジー建築の流れ」(著者:佐々木徳貢・発行所:(株)学芸出版社)が出版され、エコロジー・バウビオロギー建築が論理的総合的に把握できるようになった。
 
 
 
 
 
■2■ エコ・自然系断熱材の使われ方
 
 
 エコ・自然系断熱材の使用者はエコロジー・バウビオロギー指向だが、省エネの高断熱・高気密指向と伝統指向に分かれる。その原因の一つに気候の寒暖の地域性がある。著者は寒冷地に住んでいるので、高断熱・高気密を基本としたエコロジー・バウビオロギー指向である。
 
 この20数年の設計は高断熱・高気密による室内の良好な温熱環境づくりであった。初期の室内環境から、人や地域環境・地球環境に負荷の少ない住まいづくりに広がり、多量に使用する断熱材をより人や環境に負荷が少ないものを求めるようになった。自然派志向の薄い断熱材で使用量が少ないのであれば、コストや生産体制の問題は少ないが、寒冷地ではそうはいかない。
 
 塗料や塗り壁や仕上げ材など各種のエコ素材は提供されてきたが、断熱材に関してはままならなかった。家をつくるほとんどの方が、エコな断熱材を望んでいることからも、もっと普及されてもいいと思うのだが、主体が自然素材であっても、防火剤、防虫剤などが含まれていること、法規制、高価格なことからが普及が遅い。最近では、セルロースファイバー、羊毛、リサイクルポリエステル繊維、軽量軟質木質繊維などの断熱材が工法として防火構造の認定が取れている。後はコストである。
 
 
 
 
 
■3■ エコ・自然系断熱材の種類と価格
 
 
 化学物質過敏症・環境ホルモンやアレルギーに対応する、地球環境や人体に負荷が少ないエコ・自然系断熱材は自然系断熱材を中心に、ペットボトルをリサイクルしたポリエステル繊維断熱材なども含めて説明する。
 
写真1
[写真1] 自然系断熱材の各種サンプル
 自然系断熱材[→写真1]は大まかに、木質系繊維断熱材、植物系草茎繊維断熱材、動物系繊維断熱材などに分類される。木質系繊維断熱材には、炭化発泡コルク、セルロースファイバー、セルロースウール、軽量軟質木質繊維がある。植物系草茎繊維断熱材には、フラックス(亜麻)繊維、ハンフ(大麻)繊維、ココヤシ繊維がある。動物系繊維断熱材には羊毛がある。
 
 炭化発泡コルク、亜麻、大麻、羊毛、ココヤシなどの断熱材は輸入に頼らざる得なく、価格はグラスウールの約5〜10倍と高いことが普及の障害になっている。コストがそんなに負担にならない、比較的近場のオーストラリアから輸入されるポリエステルが入ったリサイクル羊毛は、高性能16kグラスウールの価格の約2倍で、ウレタンホームより安価に使用できるのは心強い。石油系ではあるが、焼却廃棄してもダイオキシンなどの有毒ガスがでない、ペットボトルのリサイクルのポリエステルの断熱材も心強い。高性能16kグラスウールの価格の約1.5倍で、ウレタンホームの約半分の価格である。国内で実績があるセルロースファイバーは、天井のブローイングで200mm、300mmと厚くするとグラスウールより安く使えている。
 
 
 
 
 
■4■ エコ・自然系断熱材の性能
 
 
 住宅の温熱環境・断熱に関する性能は、エコ・自然系断熱材といえど環境に負荷をかけないための省エネルギー、二酸化炭素削減などがますます求められる。住宅の温熱環境・断熱に関する性能の重要な部分をしめる断熱材の性能としては、断熱性の熱抵抗値(熱伝導率)、透湿抵抗値、熱容量(蓄熱量)、ヒート・リレーなどがあげられる。現状ではこの中で、断熱材の性能として熱抵抗値(熱伝導率)と結露関係の透湿抵抗値が重要視されている。次世代基準やポスト次世代省エネルギー基準により、断熱性の熱伝導率のより優れたものの使用、さらなる厚さの確保による熱抵抗値の向上が求められている。
 
 しかし、断熱性能だけが注目されると、石油製品のEタイプの硬質ウレタンフォームや押出法ポリスチレンフォーム3種が俄然有利になってしまうが、環境や人体に及ぼす負荷をも考え合わせなければならない。
 
 環境負荷は断熱性能ばかりでなく、製造時に使用されるエネルギー消費量は、二酸化炭素を増加させ温室効果をともなうので、製造エネルギーが少ない断熱材の使用が求められる。チューリッヒ在住のバウビオロギー建築家の佐々木徳貢は自著の中で「平均的な1世帯住宅には40〜50m3の発泡スチロールが必要になります。その発泡スチロール板を生産するのには、1次資源のオイルが2千2百リットルほど必要になります。自然系素材やリサイクル製品を使えば、1次資源のオイルの使用量が200〜250リットルで同じ効果のある断熱材をいれることができます。環境に対する負荷は1/10に削減できるということになります。」と記している。単に断熱性能が高く、暖冷房の省エネルギーに優れていても、断熱材の製造エネルギーがそれより多いと、二酸化炭素の削減にはならない。
 
 自然系断熱材の熱伝導率は0.04W/m・Kから0.045W/m・Kであり、押出法ポリスチレンフォーム1種、グラスウール16kgから高性能グラスウールの性能である。自然系断熱材には他の断熱材にはない吸放湿性や保湿性の特性が認められている。しかしどの程度の性能なのか効果をもたらすかは、検証中で様々な論証があり、まだ特定されていない。
 
 
 
 
 
■5■ エコ・自然系断熱材の使用の実践
 
 
 エコ・自然系断熱材は各種あるが、筆者が実践しているものについて説明する。今回は軽量軟質木質繊維(杉樹皮断熱材)を取り上げ、セルロースファイバー、羊毛、リサイクルポリエステル繊維は次回に説明する。
 
 
◆◇ 軽量軟質木質繊維断熱材(杉樹皮断熱材)とは
 
写真2
[写真2] ボード状の軽量軟質木質繊維断熱材
 西方設計
写真3
[写真3] 粒状の軽量軟質木質繊維断熱材
 西方設計
写真4
[写真4] ドイツのエコショップで出荷待ちしていた軽量軟質木質繊維断熱材
 原料は木質繊維、形状はボードに板状に成型するもの[写真2]と、成型せずに粒状のもの[写真3]をブローイングするタイプがある。エコ・自然系断熱材循環型(成長資源・リサイクル)エコロジー断熱材で、ドイツやスイスではこれからのエコな断熱材の主流として期待されている。[写真4]のようにドイツのフライブルクから南へ1時間ほどのスタウフェンのエコショップでは出荷待ちの軽量軟質木質繊維ボード断熱材が山のごとく積まれていた。日本でも同様にこれからのエコな断熱材の主流として期待される。他の自然系のエコな断熱材は生産量が限られるのが欠点であるが、軽量軟質木質繊維は膨大な量の植林と伐採のサイクルが考えられた木材、木材産業からの廃材やリサイクルされた木質繊維から大量に生産されるからだ。自国の木材であれば最良である。廃棄処分もリサイクルでき、腐朽によって土に帰るなどにより地球に負荷が少ない。もちろん人体にも負荷が少ない。


 軽量軟質木質繊維ボードは日本ではまだ、少量の流通であり、常時生産がなされていないが、軟質繊維ボードをもっと軽くして断熱材の効果をもたせたものである。軟質繊維ボードは床下地のビルボード、外壁下地のアセダス、畳床などのA級インシュレーションファイバーボードである。A級インシュレーションファイバーボードのなかでも、最も比重の軽い畳床の軟質繊維ボードで比重は0.25前後なのだが、断熱材になるドイツの軽量軟質木質繊維ボードの比重は0.16前後である。
 
 
◆◇ 杉樹皮断熱材の開発(軽量軟質木質繊維断熱材)
 
 エコロジー・パウビオロギー建築の普及が進んでいるドイツやスイスでは、軽量軟質木質繊維、亜麻繊維、大麻繊維などの各種の自然系断熱材を見ることができる。輸入すれば手っ取り早いが、これらの断熱材の輸入は容積がかさばりコンテナ運賃代の比率が高い。現地で断熱材が1コンテナが40万円、運賃が40万円、関税・在庫・流通を通ると現地価格の3倍から5倍に膨らむ。容積当たりの価格が低い物は輸入すると運賃負けしてしまう。他の輸入建材は安いが、断熱材に限っては逆である。
 
写真5-1
[写真5] 杉樹皮断熱材の製造工程1
写真5-2
[写真5] 2
写真5-3
[写真5] 3
写真5-4
[写真5] 4
写真5-5
[写真5] 5
 高断熱・高気密の住宅では約50m2/戸の自然系繊維断熱材を使用するので普及すると膨大な量になる。国民の約3割の人がなんらかのアレルギーなことから、自然系繊維断熱材の普及が進み、新築住宅の3割が使用するとなると、膨大な量になる。生産時、環境に負荷が少ない畑作の亜麻繊維、大麻繊維などで、この量を満足するには、北海道の全面積の3割ほどの耕作地が必要になる。これは現実的ではない。羊毛なども牧草地を確保するのに森林破壊・環境破壊になる。これらに対し、軽量木質軟質繊維断熱材は製材時の端材、製材や集成材に適さないパルプ材などを多く使用することが有利になってくる。
 
 国内生産ができればと考え、1998年に能代市内の秋田県立大学附属木材高度加工研究所に、軽量木質軟質繊維断熱材の製造が可能かどうか、可能であれば何処が生産できるのかを相談した。研究所では秋田杉の樹皮の繊維を堅く固める樹皮ボードの開発中であり、断熱材にするには、堅く固める技術の逆のいかに比重を少なくするかの技術開発であるという。2000年には秋田杉の樹皮の繊維を堅く固める樹皮ボード事業の報告書がでている。同時期に、生産は能代のハードボード工場ができるのではということで、試作をし、杉樹皮の軽量軟質木質繊維断熱材が誕生した。製造工程は[写真5]に示す。木質断熱材住宅開発グループをつくって2000年には補助金を頂き、杉樹皮断熱材の断熱・気密パネル軸住宅生産システム[→写真6/図1]の研究開発を行った。
 
写真6
[写真6] 杉樹皮断熱材の断熱・気密パネル軸住宅生産システムのモデル
 西方設計
図1
[図1] 新規ウィンドウ
 西方設計
写真7
[写真7] アキモクボード(株)構内のバイオマス発電
 製材工場でのこれまでの秋田杉の樹皮は産業廃棄物の取り扱いで、処分に困っていたものだったが、樹皮断熱材の原料になった。ハードボード工場のアキモクボード(株)では、他に運び込まれる古材や廃材があり、これらはバイオマス発電[→写真7]の燃料になり電気や蒸気をつくっている。バイオマス発電は発電だけではペイしにくいが、ハードボードや杉樹皮断熱材の製造には高温の蒸気を多量に使うので電気と蒸気がともに有効利用されている。
 
 軽量軟質木質繊維は自然系断熱材のなかでは一次製造エネルギーが大きく、1立方メートル当たり約560KW・Hで、石油合成化学物質断熱材のウレタンボードの約1,585KW・Hと較べて35%。ポリスチレンボードの約695KW・Hと較べて80%と少ないが、他の自然系断熱材のフラックス繊維の50KW・Hと較べては11倍と大きく、マイナスポイントになるが、古材や廃材のバイオマス発電で解消している。森林資源は長期的展望にたつと循環資源である。
 
 ドイツと同様な軽量軟質木質繊維断熱材(杉樹皮断熱材)は、日本の軟質繊維ボードの現状の生産ラインでも生産できることが知れ、これからの主流として期待されているエコな断熱材を、そんなに負担なく生産でき心強い。
 
 自然系断熱材を大量に生産できる良さはあるが、軟質繊維ボードの生産ラインは百億円以上の大きなプラントであり、地域単位の小さな企業では設備投資ができないのが残念である。自然系断熱材の良さは、小資本の地域企業が生産でき、エコ産業として育つことも大きなメリットであることから、少ない設備投資のプラントの開発も同時に必要である。
 
 価格は断熱性能で同じ程度の仕様であれば、グラスウールと較べると3倍から3.5倍するが、ウレタンボードの50ミリの厚さにおおよそ対応する軽量軟質木質繊維断熱材(杉樹皮断熱材)の80ミリの厚さで、予想価格はほぼ同じ価格である。80ミリの厚さで2,200円/平米、100ミリの厚さで2,900円/平米になろう。量産されると、もっとコストダウンできる。ドイツでは100ミリの厚さで2,600円前後である。それでも、他の、まだまだ高価な輸入されている自然系断熱材と較べると、ほぼ1/3前後のローコストな自然系断熱材である。そんなことから、これからのエコな断熱材の主流として期待されているのだ。関東以南の山間地を除いて、床、壁、天井・屋根は、軽量軟質木質繊維(杉樹皮断熱材)の80ミリから100ミリの厚さで十分である。
 
 
◆◇ 軽量軟質木質繊維断熱材(杉樹皮断熱材)の断熱関連の性能
 
 断熱性能は、吹き込みセルロースファイバーと同等である。高性能グラスウール16Kと較べると若干少ない。公庫の資料では吹き込みセルロースファイバーの熱伝導率が0.039W/m・k、高性能グラスウール16Kは0.038W/m・K、硬質ウレタンフォームが0.23〜0.26W/m・kある。現状の軟質木質繊維ボードのタタミボードであっても、熱伝導率が0.045W/m・Kとグラスウール16Kと同様な断熱性能があり、以外な性能の良さに認識を改めなければならない。比重が160でグラスウールの約10倍の重量のことから、熱容量が約2000ジュール/(kg-K)で断熱性だけではなく蓄熱層の役割も同時に果す。熱容量が大きいことは熱伝導時間が長く、温度振幅が抑制され、室温の安定をもたらす。
 
 吸放湿性に富み、保湿性は30kg/m3と高く、内部結露や構造木材の乾燥に有利である。セルロースファイバーと同様に水蒸気の保湿性が豊かなうえに吸放湿が良いので、防湿シートがなくても冬期の結露に安全な方向であり、なおかつ夏期の逆転現象結露にも有利である。防湿シートがなくても、結露の心配が少なければ、施工の注意点は気密施工の精度だけであり、施工が合理化でき随分と楽になる。
 
 
◆◇ 杉樹皮断熱材の断熱関連以外の性能
 
 高断熱・高気密住宅は内部音が外に漏れないだけ響いて耳障りなのだが、吸音効果があり音環境が優れている。吸音性能と共に、重い分遮音効果がある。
 
 杉樹皮断熱材はホルムアルデヒドの吸着量が多く、その後の再放出量が少なく、樹皮に固定される。アンモニアガスやメルカプタンなどのような悪臭ガスも吸着する。他の材料と比べると、乾燥重量あたりの杉樹皮のホルムアルデヒドの吸着性能は、黒炭の5.88倍、活性炭の1.95倍と吸着性能が優れている。乾燥重量あたりのホルムアルデヒドの48時間後の吸着量は1.986mg/l/g,吸着した後の24時間後の再放出量が0.139mg/l/gである。また杉樹皮は木部に比べてシロアリや不朽菌の影響を受けにくい。
 
 
◆◇ 軽量軟質木質繊維断熱材(杉樹皮断熱材)を外断熱に使ってみる
 
 杉樹皮断熱材は板状であり、現場施工で間柱間に切り揃える充填断熱工法には施工手間がかかり不利に考えられる。良さを引き出すには、外壁や屋根の外張り断熱工法、充填パネル工法、充填パネル+付加断熱工法である。
 
 
写真8
[写真8] 杉樹皮断熱材を使った合川町営住宅1
 西方設計
写真9
[写真9] 杉樹皮断熱材を使った合川町営住宅2

写真10
[写真10] 厚み50mmの杉樹皮断熱材
 西方設計
図2
[図2] 新規ウィンドウ、杉樹皮断熱材の断熱・気密パネル
 西方設計
写真11
[写真11] 杉樹皮粒状断熱材の吹込み
 西方設計
写真12
[写真12] ポリエチレンシート厚さ0.2mmの外側に杉樹皮断熱材を張ったところ
 西方設計
写真13
[写真13] 厚さ25mmを2重張りにして使った
 西方設計
図3
[図3] 新規ウィンドウ、合川町営住宅の断面図
 [写真8/9]の ll 地域の合川町営住宅の例では[写真10][図2] のように厚さが50mmである。厚さが少ないが、集合住宅なので外壁面積の割合が少ないこと、桁上断熱のセルロースファイバー200mm吹き込み断熱性能を稼いでいる。
 
 関東以西では50mmの外張り断熱が手頃である。次世代基準では、 lll 地域以西は80mmの外張り断熱、ll 地域は100mm充填パネル工法、l 地域は充填パネル+付加断熱工法が適している。
 
 合川町営住宅は無落雪屋根なことから、水平な天井で、桁上断熱工法のセルロースファイバー吹き込み工法が全体的にはコストダウンがはかれる。セルロースファイバーを厚めに300mm吹き込み断熱性能をここで稼ぐのも得策である。この時点では、吹き込みに適した粒状の軽量木質軟質繊維断熱材を開発中であったが、現在は市販[→写真11]されている。
 
 耐力壁は防火構造でもあるダイライトを全面使用し、建物の揺れと変型を防いでいる。その外側に[写真12]のように気密・防湿専用のポリエチレンシート厚さ0.2mmを施行している。杉樹皮断熱材は気密・防湿層の外側に張る。ここでは厚さ25mmを2重張りにしている。[写真13]のように2枚目部分には柱・間柱と通気層の胴縁と直行する横方向に横胴縁を設置し、1枚部分の押さえと2枚目部分の垂れ下がり防止を兼ねている。直行方向にするのは熱橋部分を重ねない工夫である。更に外側にタイベックなどの防水・防風・透湿シートを張り、通気層を設ける。
 
 開口部の位置は、雨仕舞と漏水を優先させ外側の通気層部分に取り付つける。開口部にはサッシ枠が取り付く台座が、断熱材の厚さのスペーサー(木材)とと通気胴縁分が必要でそこに開口部が取り付く。詳細図[→図3]のように、気密・防湿シートは気密テープで、防水・防風・透湿シートは防水テープでとめる。
 
 杉樹皮断熱材の施工時の保管時・施工時は雨水に注意した養生が必要である。軽量軟質なボードなので角が欠けやすく、運搬時に注意が必要である。
 
 
◆◇ 杉樹皮断熱材(板状、粒状)を充填断熱に使ってみる
 
 当初、充填断熱工では施工手間がかかり不利と考えられたが、外壁の外張り断熱工法では、断熱材の2重張り、2枚目の横胴縁、窓まわり部分の納まり、バルコニーなどの突出部分の納まりなどに手間取り、次期工事では施工者の意見を聞いて杉樹皮断熱材の充填断熱工法にした。繊細な断熱材を外張りして自立させるよりは、軸間の空隙部分に充填断熱する工法[→写真14]がこの場合は楽であった。
写真14
[写真14] 軸間の空隙部分に充填断熱する方法
 西方設計
写真15
[写真15] 粒状タイプを外壁充填断熱として吹き込んだところ
また、窓まわり部分の納まり、バルコニーなどの突出部分の納まりなども杉樹皮断熱材が絡まなく楽である。
 
 充填断熱であれば、板状のものを1枚1枚、空隙の寸法い合わせて切断するよりは、粒状の杉樹皮断熱材を、外壁充填断熱や屋根充填断熱として吹き込む[→写真15]のが楽である。材工コストも板状より安い。板状タイプは硬質ウレタンフォームより材工コストが若干高く、粒状タイプは押出法ポリスチレンフォームより材工コストが若干安い。
 
 
◆◇ 杉樹皮断熱材を断熱・気密パネルに使ってみる
 
写真16
[写真16] 杉樹皮断熱材充填の断熱・気密パネル
 施工の簡易性を求めての、杉樹皮断熱材充填の断熱・気密パネル軸住宅生産システム[→写真16]であるが、いかんせコストが高い。これからのシステムである。
 
 
 
 
 
■6■ 防火構造、他
 
 
 杉樹皮断熱材(軽量軟質木質繊維)の外張り、充填、パネルのどれにしても、まだ経験が浅く施工工法が安定していない。杉樹皮断熱材は防火構造の認定をとっていなくこれからの課題である。
 
写真17
[写真17] 天井・屋根に、屋根充填断熱工法を使用

写真18
[写真18] 
 西方設計
写真19
[写真19] 杉樹皮粒状断熱材をブローイング
 西方設計
図4
[図4] 新規ウィンドウ
 [写真17/18/19][図4]の家は、法的に規制がかからない天井・屋根に、屋根充填断熱工法で杉樹皮粒状断熱材を垂木間にブローイングしている。壁は防火規制がかかることから杉板とノンアスベストスレート板とグラスウールの組合せの防火構造にしている。その後、新建ハウジングで、軽量軟質木質繊維断熱材で防火関係の大臣認定がとれているECOHOUSE(有)のECOボードを知った。これを使用すると総合的に木質繊維断熱材の家ができる。
 
 
 
 
vol.007
vol.009