5.断熱・気密工法
●基礎・床部分の断熱 (基礎外張断熱、床断熱)
 ■足元の断熱材の重要性
 筆者は、基本は床断熱であるが、多少のコストアップでも基礎断熱を採用している。
高断熱・高気密住宅を設計し始めた15年ほど前は床断熱のみであったが、その後、
施工の簡略化、さらなる気密性能を求め、基礎断熱に移行するようになった。その当
時は前例がほとんどなかったため、恐る恐るの工夫の連続であった。
 恐いのは床下空間の高湿度や結露による、木材の腐朽であった。その当時は資料も
なく、「夏の床下の湿度は木材の腐朽菌が発生する危険領域にある。」と人々に良く
言われた。しかし対策をこうずることにより、経験上諸条件をクリアーしてきた。設
備配管や柱、間柱、筋違、火打ち土台などの構造部材の防湿・気密層の貫入部分の補
修の煩雑さが基礎断熱にする事によって開放された。結果として、基礎断熱の床下空
間を若干暖めることによって、良好な室内温熱環境ができた。もう一つは、床下空間
は高湿になりがちだが、梅雨時であっても相対湿度が70%前後であり75%を超え
ない。

 € 熱環境の面から
  高断熱・高気密住宅の各部分の熱損失の割合は、屋根・天井9%、外壁27%、
床7%、窓36%、換気が21%である。床部分の熱損失は全体にしめる割合は少な
いが、人間が歩いたり、座ったり、寝そべったりと体に直接接っし、温熱感覚の影響
はおおきく、大切な部分である。
 断熱材が16kgグラスウール200ミリの床断熱の場合の床面の表面温度は室温
より0.5度前後低くなるが、基礎断熱の場合は1度〜2度前後低くなる。この状態
では床断熱の方が体感温度は優れているが、基礎断熱は床下に室内の暖かい空気を入
れ床面の表面温度を室内と同じにしたり、若干暖房することで室内温度より床面の表
面温度を1度前後あげると、良好な温熱環境になる。
  
   地面からの湿度放出の防止
 熱環境と同様に大切なのは躯体の耐久性である。木材は腐らなければすこぶる耐久
性のある材料であるが、高湿の所では腐れやすい。90ʄの床下の地盤面から1日当
たり10リットルから21リットル、普通のバケツで1.5から3杯程度の水分が蒸
発している。何の対策も考慮されていないと水蒸気が蓄積され、床下の湿度は90%
を超えてしまう。床下の常時相対湿度90%以上の中におかれた木材の含水率は25
%を超し、腐朽菌が発生しやすくなり木材を腐らせる。JIS A 6930に基づいて製造
された住宅用防湿フイルムや、防湿コンクリートで地盤からの水蒸気発生を押さえ、
排出することが必要であ
る。床下を75%以下の腐朽菌の発生の恐れが少ない乾燥状態に常に維持できれば、
木材は腐朽することなく耐久性が著しい。

 工法別・床断熱のポイント
 € 目的
 既存の根太間や大引間に断熱材を充填する基本的で低コストな工法。次世代省エネ
基準は地域Ł以西ではハイグレード細繊維の16kgグラスウール90ミリ、地域Ąで
も135ミリで足りるが、北関東以北では標準で150ミリ以上、心地よい温熱環境
を望むには16kgグラスウール200ミリは欲しい。床下は、直接の外気に比べると
気温が高いので、床の断熱材は外壁と比べると約1.5倍に相当する。105ミリの
根太間と105ミリの大引間に合計200ミリの断熱材を充填する方法は外壁の30
0ミリに相当し、熱損失は極めて少なくなり、床面の温度低下が少なく温熱環境が優
れている。

   メリット、デメリット
 a 熱環境面
 ・適切な断熱性能による床面温度の確保
 床下暖房を考慮しない基礎断熱より床面の表面温度が高い。200ミリのグラスウ
ール断熱材の場合は床面の表面温度は室温より0.5度前後しか低くならず、基礎断
熱より床断熱の方が体感温度は優れている。従来の断熱、気密を充分に考えられてい
ない在来工法の木質フロアーは冬期に冷たく裸足で歩くことはできないが、適切な床
断熱では触感が気持ち良い。
 ・暖冷房の立ち上がりの早さ蓄熱容量が少ないので、暖冷房の立ち上がりが早い。
反面、暖房のオン・オフや日射により室温の変化が大きく温熱環境の安定さにやや欠
ける。

 b 工法(施工)面(断熱工事そのものから他工事への影響まで>配管工事な
  ど)
 ・従来の根太間や大引間を断熱材の充填に利用できる。
 ・間柱などの施工の手順が在来工法と逆になる。
 防湿・気密層を連続させ優先することから、床の根太、断熱材、防湿・気密層、床下
地合板などが先に施行され、間柱受け材(気流止め)が設けられた後に間柱が施工され
る。慣れないと、現場が混乱する場合が度々合った。従来どうりに間柱を先行すると、
間柱に防湿・気密層が貫入され455ミリ間隔の間柱の足元の防湿・気密層を一つ一つ
多数補修しなければならない。また気流止めも柱間に連続したものでなく間柱間隔に分
断された気流止めを一つ一つ多数設けなければならない。手間をかけた割に気密性能が
良くない。
 ・外壁や間仕切り壁と床との取り合い部分で防湿・気密シートの連続や気流止めが必
要。
 ・施工が煩わしい(手間がかかる割りに性能が上がりにくい) 
 火打ち土台、筋違、柱などの構造部材による断熱、気密・防湿層の貫入部分の補修が
煩わしい。 
 ・設備の配管、配線、器機類による断熱、気密・防湿層の貫入部分の補修が煩わしい。
 ・在来工法と同様に設備の配管が床下地面下の埋設になり、メンテナンスが困難。
 
 c 耐久性
 ・従来の在来工法より耐久性が大きい。
  正しく施工された住宅は、冬期には床下、土台周り、床組が乾燥するので、夏期の
床下乾燥に気をつければ、白蟻の食害、腐朽菌の繁殖の心配が少なく耐久性がおおきい。
しかし夏期の床下空間の乾燥維持は、従来の在来工法と同様に難しい。
 ・断熱材の白蟻の食害の心配が少ない。
 食害を受けやすいウレタンやポリスチロールの断熱材を使用しても、湿度がある地盤
に直接接することがないので、白蟻などの食害の心配は少ない。

 d コスト
 ・基礎断熱に比べ低コストである。
 ・50ミリ断熱の在来工法よりは人工のかかり増しになる。
 床断熱の断熱・気密施工の人工は坪当たり約0.15人工のかかり増しになる。1階
の断熱施工床面積を90ʄなら、16kgグラスウール200ミリの断熱材費は約10
万円、防湿・気密材が約1万5千円、断熱・気密施工費は約8万円の合計19万5千円
かかる。従来の在来工法の50ミリの断熱材の約2万円を差し引くと約17万5千円の
かかり増しになる。

 e その他
 ・水道の凍結(寒冷地)
 床下気温が外気並みで零下になった場合は水道管の凍結の心配がある。凍結の心配
は日々の暮らしの中で心的負担が大きい。

 ¡ 設計のポイント
 a (床断熱)のメリットを生かす手法
 床断熱のメリットは在来工法の床組をほとんどそのままで、200ミリの断熱材を
充填できることだ。
熱損失が極めて少なく、床面の温度が室温より約0.5度と若干低い程度である。
 ・100ミリ断熱
 105×45ミリの根太を使用し、根太間に100ミリの断熱材を充填する。断熱
床面積に対する根太などの構造熱橋面積比率は約20%ある。大引間隔は1820ミ
リ。断熱材の100ミリは少々物足りないが低コストの場合は十分である。断熱材は
施工しやすく、石油系断熱材より約1/2から1/3安いハイグレード細繊維の16
kgグラスウールが適切だ。
 ・150ミリ断熱
 在来工法の標準な床組の910ミリ間隔の90×90ミリ若しくは105×105
ミリの大引の上に45×45ミリの根太をのせ、大引間に100ミリの断熱材を、根
太間に50ミリの断熱材を充填する。合計150ミリの断熱材である。大引下に断熱
受け材が必要。断熱材はハイグレード細繊維の16kgグラスウールが適切だ。在来工
法の標準な床組であるからコストアップは100ミリ断熱材に比べ50ミリの断熱材
の坪当たり約1050円、90ʄなら3万円弱のアップである。3万円弱のアップで
次世代基準の地域Łを満足する。
 ・200ミリ断熱
 105×105ミリの大引の上に105×45ミリの根太をのせ、大引間に100
ミリの断熱材を、根太間100ミリの断熱材を充填する。合計200ミリの断熱材で
ある。大引下に断熱受け材が必要。断熱材は16kgグラスウールで十分である。これ
からは人体や環境に負担が少ない自然系断熱材が望まれるので、木質繊維や草茎繊維
などの自然系断熱材を充填した200ミリ断熱で対応でき
  る。

 b その他注意点と対策(シロアリなど)
 ・床下空間、注脚、土台、大引部分を乾燥状態に保つ。
床下空間はどうしても高湿になりがちで、木材の腐朽や白蟻の食害が起こりやすい。
少なくても防湿シートを設け、押さえに防湿コンクリートを設ける。湿度の排出は床
下の換気に充分気を付け、有効に床下換気口を設置する。伝統なねこ、パッキンなど
を使用しバランスがとれた 換気を確保する。 
・土台は腐朽や食害に強い桧、ヒバなどを使用する。
 他の構造上重要な柱、間柱、床束、火打ち土台などは、コストの点で桧、ヒバなど
はなかなか使用できないが、比較的腐朽や食害に強く、桧やヒバよりはずっと安い赤
身の杉を使用したい。
・防腐剤、防蟻剤、防蟻剤は使用したくない。
 床断熱の床下の湿度は高くなりがちであり、土台などの部分は現状では防腐剤、防
蟻剤、防蟻剤に頼らざるえないかもしれない。木炭、木酢液、ホウ酸、ゼオライトが
使用されているが、データが不十分で実際の効用も定かでないが、薬剤を使用したく
ない場合は現状では頼らざるえない。それ以上の事を考えるなら基礎内断熱が良い。
土壌の防蟻処理は薬剤散布より、薬剤がプラスチックシートの中に練り込まれている
防蟻シートが良いだろう。薬剤が土中に流出せず、空気中に拡散することもなく、効
力も長年続くという。

 c 監理上の注意点
 ・外壁や間仕切り壁と床との取り合い部分で防湿・気密シートの連続や気流止めが
適切になされているか。
 ・防湿・気密シートの連続性、重ね代は十分か。重ね部分は気密テープに頼らず、
木材などの下地の箇所で重ねる。
 ・先張りシートがなされているか。土台と大引の接合部分、間仕切り壁の注脚部分。
 ・防湿・気密シートは耐候性があるJIS A 6930を使用しているか。
 ・断熱材の垂れ下がりはないか。断熱材が垂れ下がり、上部に空隙ができると、結
露の恐れがある。
 ・構造材、設備の配管・配線・器具の断熱材、防湿・気密シートへの貫入部分は適
切に補修されているか。
 ・バスユニットに床や外壁の断熱材、防湿・気密シートが正しく施工されているか。
 ・畳下の段差部分で断熱材、防湿・気密シートが正しく施工されているか。
 ・床下点検口、台所の床下収納庫などの断熱材、防湿・気密シートが正しく施工さ
れているか。
 ・乾燥木材が使用されたいるか。できれば、含水率が15%以下の乾燥木材を使用
したい。
 ・有効な床下換気はなされているか。

 ¤ 施工上の注意点(監理)
 ・気流止め兼用の 真柱受けや先張り防湿・気密シートを間柱の前に施行する。従来
の間柱を先に施行する手順では、無数にある間柱が防湿・気密層を貫入し手におえな
いほど補修が煩雑であり、気密性能も手間がかかった割に良くない。
 ・剛性のある適切な断熱材受けを設け断熱材の垂れ下がりをなくし、断熱材の室内
側を床下地材に密着させ、結露の発生を防止する。
 ・構造材、設備の配管・配線・器具の断熱材、防湿・気密シートへの貫入部分は適
切に補修する。
 ・ユニットバス床下、和室の床の段差、床下点検口、台所の床下収納庫など断熱材、
防湿・気密シートが正しく施工する。
 ・車庫 車庫の階段の断熱材、防湿・気密シートは基本に忠実に施工する。


 工法別・基礎外断熱のポイント  € 目的(ねらい)  基礎断熱は十数年ほど前の早くから行われてきたが、普及の鍵になる公庫で全国的 に認可されたのは遅く昨年の10月であった。公庫の融資の場合は、それまでは、床 下空間を強制換気の換気量の計算書を付けたり、工法の認定書を付けたりしていた。 断熱・気密施工が容易で信頼性が高い、床下空間が乾燥状態に保て防腐・防蟻剤の未 処理が可能、床下空間を若干暖めることによって良好な室内温熱環境が維持できるな どの理由から、コストがかかり増しになるものの、普及が実際にはかなりすすんでい た。    メリット、デメリット  a 熱環境面  ・基礎断熱の床面の表面温度は室温より約1度〜2度低い。  この状態では200ミリの床断熱の方が体感温度が優れている。  ・床下暖房との組み合わせで良好な温熱環境。  基礎断熱は床下に室内の暖かい空気を呼び込み、床面の表面温度を室内と同じ温 度にできる。床下を若干暖房することで、室内温度より床面の表面温度を1度前後 あげると低温輻射で良好な温熱環境になる。高価な床暖房の必要がない。  ・安定した温熱環境  熱容量が大きい基礎のコンクリートや防湿コンクリートの蓄熱層が、安定した温 熱環境をもたらす。地下水位が低い場合は防湿コンクリートの中央部は断熱材を設 けずに地面を蓄熱層として利用する。日射によるオーバーヒートが防止できる。  ・暖冷房の立ち上がりが遅い   蓄熱層の蓄熱量が大きいので、暖冷房の立ち上がりが遅い。  b 工法(施工)面  ・床の断熱、気密工事が不要。  床断熱に比べ断熱施工が容易で信頼性が高く、省力化ができる。  ・床下空間に配管、配線するので、メンテナンスが容易。  c 耐久性  ・耐久性が大きい。高湿になりがちな床下空間を乾燥状態に維持できる。  梅雨時であっても相対湿度が70%前後であり75%を超えない乾燥状態で、 木材の腐朽の恐れ、白蟻の食害の恐れが少なく耐久性が大きい。  ・木材の防腐・防蟻処理をする必要がない。  常時床下が乾燥しているので、防腐・防蟻処理をする必要がない。公庫で防腐・ 防蟻処理しない場合は土台が桧、ヒバ、唐松などの材種に限られる。また地盤から 1mの高さまでの柱、間、柱、筋交い、火打ち土台、大引、束などは、材種が杉、 桧、ヒバ、唐松などに限られている。・床下が室内空間になる  ・コンクリートの耐久性を+方向に。   コンクリートが断熱材、モルタルなどの仕上げ材で保護され、酸性雨による中性 化が防止できる。  凍結・融解による凍害を防止できコンクリートの耐久性を+方向にもっていける。  ・外断熱の石油系発泡板状断熱材、特に硬質発泡ウレタンが白蟻の食害を受けてい る。  基礎外断熱の風除室内や犬走りなどのコンクリートに挟まれた、繁殖に必要な適度 な温度と湿度の場所の例が多い。  d コスト  ・トータルコストの掛かり増し   施工人工は減るが、材料費がかかり増し、トータルコストがコストアップになる。 1階の床面積が90ʄの場合は、次世代省エネ基準の地域Ł以西では、おおよそ40 万円から47万円かかる。47万円は防湿コンクリート下に全面断熱材を敷いた場合。 40万円は外周のみ敷いた場合。200ミリ床断熱よりおおよそ15万円から22万 円コストアップになる。地域Ąや˘であれば、おおよそ46万円から53万円かかる。 基礎断熱は延床面積の坪当たり(45坪を想定)3千円から6千円ほどコストアップ になるが、それ以上にメリットが大きく、予算を調整し基礎断熱にした方が良く思わ れる。  e その他  ・床下の給排気、給湯、暖房配管の凍結の心配がなく、不凍栓が不要。  ・床下空間を収納やボイラー置き場に利用できる。  ¡設計のポイント  a(基礎外断熱)のメリットを生かす手法  基礎断熱は床下の空気を暖められるのが最大のメリットで、暖房に計画換気を盛り 込むなどの発展性がある。  ・床下の暖房。   暖房の形態はコストと好みによって決まり、低コストなものはFF(強制給排気) ストーブを床下き置き温風を床下に押し出す。基礎のコンクリートや防湿コンクリー トに蓄熱しながら、床下全体を暖める。床面の表面温度は室温の約1度高い程度で室 内は快適である。この方式の発展形として、今年に床下専用のダクト付FFストーブ が発売された。しかし、ストーブを床下に置くのが心配の人は深夜電力蓄熱暖房機を 床下に置いたり、床下専用温水パネルラジエーターを床下に数台置くと良い。  ・床下の暖房に計画換気をもり込む。  計画換気システムの床下の排気ダクト口からを床下の空気を吸い込み排気する。そ うすると床下空間が負圧になり、室内の暖かい空気をガラリから床下に引き込み、結 果的に換気と暖房の両方を低コストで行う。床下の暖房では最も低コストである。  ・夏の涼しさに役立つ断熱・気密換気口。  冬期は換気口を閉めるが、夏期は開放する。北側や東側の涼しい空気が換気口から 入り込み、さらに夏の床下の25度前後の温度で冷やされた後、ガラリから室内に入 る。室内で温まった空気は2階の高窓から抜ける通風経路を考慮する。こうした換気 がなされているので、共働きで日中を留守にする家族は防犯上窓を閉め切るが、帰宅 時にムッとする暑さは感じられない。  ・床下の暖房と自然計画換気。  b その他注意点と対策シロアリ、仕上げのひび割れなど)  ・石油系発泡板状断熱材の白蟻の食害を受ける部分の恐れがあり、薬剤の使用を避 けたい場合は全面的に基礎内断熱にしたり、恐れのある部分を部分的に基礎内断熱に する。防蟻処理の場合は薬剤散布より、薬剤がプラスチックシートの中に練り込まれ 土中に流出せず、空気中に拡散することもなく、効力も長年続く防蟻シートが良いだ ろう。これからの普及になるが、高密度32kgのグラスウールの外断熱も食害の恐れ が少ない。  ・プラスチック系断熱材の仕上げモルタルのひび割れ防止に専用のモルタルを使用 する。  ・防湿コンクリート下に全面断熱材を敷くか、否か。  地下水位が高い場合は、地下水に熱が奪われることから防湿コンクリート下に全面 断熱材を施工する。水位が低い場合は外周回りのみに施工し、地面を蓄熱層の役割を もたす。この場合は全面敷き込む場合より熱損失が大きくなり暖房の石油消費量が2 割ほど高いと言われているが、寒い12月、1月、2月で月に約2000円高い程度 であり、室温の安定など良い点を優先させた方が良いように思われる。  ・地下水位が高い場合は、暗渠、犬走りなどを設け、防湿コンクリート面を地盤面 レベルより高くする。  ・凍結深度が深い場合はスカート断熱にする。  c 監理上の注意点  ・基礎と土台の間の気密パッキンが有効に働いているか。  ・工事水と床下換気  竣工後1年間はコンクリートや木材から水蒸気が発生し、床下の高湿度や結露によ り、木材のに黴びが発生したり、腐朽の恐れがある。長所の1年間は床下の乾燥のた めに除湿器が必要な場合もある。計画換気を利用した強制換気や床ガラリも有効であ る。    ¤ 施工上の注意点(監理)  ・地下水位の確認。  ・基礎天端のレベルの精度。  ・土台の気密パッキンが有効に働いているか。  ・防湿コンクリート上に工事中の水が残ったり、高い湿度のままで床を張ると床下 の木材が黴びたりする。筆者も3度黴びらせた失敗がある。鎌場を設け排水しやすく 考えたり、排水が良い土壌であれば水抜き穴を設ける。  ■工法別・基礎内断熱のポイント  € 特徴  ほぼ基礎外断熱に同じ。    メリット、デメリット  ・断熱材が基礎断熱の内側に設けられ、白蟻の食害の恐れが基礎外断熱より少ない。  ・基礎のコンクリートの部分が打ち放しの表現ができる。  ・内部にTの字型の基礎は熱橋になる。  ・寒冷地では土台が結露した事例がある。  ・基礎の立ち上がりの分の蓄熱量が少なくなる。  ¡ 設計上の注意点  ・熱橋部分をできる限り少なくし、内側に入り込んだ基礎は断熱材を両面に張る。  5.用途別・選択のポイント  €床断熱をする場合   床断熱の選択は、施工者が断熱・気密工事に慣れ厳しいコストの場合、地下水位が高 い場合、白蟻の食害の恐れがある場合である。   基礎断熱とする場合  基礎断熱の選択は、断熱・気密工事が慣れない場合、工程の合理化をねらう場合、床 下暖房や計画換気が考えられ安定した熱環境を望む場合、高耐久性を望む場合である。 白蟻の食害の恐れがある場合は基礎内断熱を選択する。

●外壁部分の断熱 (充填・外張断熱編)  前書き   € どのような種類・工法があるか  壁断熱には大きく分類すると、壁体内の空間に断熱を充填する充填(内)断熱工法、壁 の外側に断熱材を張る外張断熱工法、充填(内)断熱と外張断熱の両方を施工する付加断 熱工法の3種類に分類される。筆者は、充填(内)断熱工法を主体とし、工務店によって 外張断熱材工法を採用することもある。数は少ないものの断熱性能が更に望まれる場合は 付加断熱工法をとっている。    熱環境の面から   外壁部分の熱損失は、全体にしめる割合が約27%と大きい。これに窓の36%を加え ると63%にもなり、全体の熱損失に対する影響がすこぶる大きいことから大切な部位で ある。他の部位では、床が約7%、天井が約9%、換気が約21%である。 ・壁内気流と気流止め  在来工法では外壁と小屋裏の取り合い部分と、外壁と床下の取り合い部分が空隙で連続 的につながっている。このままの状態で、通気性・透湿性のある繊維系断熱材を充填して も、壁内気流がおこり断熱効果が少ない。断熱材が50mmから100mmの高断熱にな っても、断熱材を厚くした割に理論値ほど効果がなかった。こうした気流や断熱材の垂れ 下がりを防止し空気を静止させ、断熱効果を高めるのが気流止めである。  外張断熱でも土台部分は問題ないが、軒桁部分、下屋部分が注意が必要である。 ・防風層の確保  繊維系断熱材は通気層側に防風層を施工する必要がある。防風層がないと、通気層から の風が繊維系断熱材の中に入り込み、断熱性能を著しく低下させる。防風層は風や水を通 さなく、結露防止のため水蒸気を放湿する透湿性のタイベックなどのシートや、インシュ レーションなどのボードを使用する。更に耐力壁を兼ねた防風・透湿層として合板を使用 する場合が多い。最近では、22条地域で外壁が木の下見板の場合、延焼の恐れのある部 分の防火下地、耐力壁、防風・透湿層として一人4役のダイライトを使用するようになっ た。外張断熱などのプラスチック系断熱材は防風層はいらないものの、継ぎ目などの処理 から防風・防水・透湿シートのタイベックなどを全面防水層として張る。 ・熱橋  充填(内)断熱は、柱、胴差、桁、間柱、土台などの木材の部分で断熱材が切れてしま い熱橋となり、その部分からの熱損失が大きい。木部の熱橋は外壁の面積の約20%を締 め、木材は鉄やアルミよりは格段に熱損失はすくないものの、鉱物繊維系断熱材の熱損失 ので3〜4倍ある。この熱橋が充填(内)断熱の欠点ではあるが、熱橋の部分で結露しな ければ良い。熱橋の欠点を多少補うには、軸組の外周にシージングボードなどの軟質木質 繊維ボードを貼ればよい。これからはさらに高性能な高断熱が望まれるが、こうした場合 は、熱橋の柱間の断熱材100mmの外側に付加断熱され、熱橋の欠点は解決され る。外張断熱は熱橋が少ないのがメリットになっている。  ¡ 躯体の耐久性、結露(壁内)などの面から  熱環境と同様に大切なのは躯体の耐久性である。木材は腐らなければすこぶる耐久性の ある材料だが高湿・高温の所では腐れやすく、軸組の木材部分を乾燥状態に保持する必要 がある。充填(内)断熱は防湿・気密層、断熱材、透湿・防風層、通気層を適切に施工し なければ壁体内が高湿になったり、内部結露の恐れがあるので、木材が腐朽されやすい状 態になる。  外張断熱は木材の軸組の外に断熱材があるので、結露しても木材の腐朽の恐れが少ない。  工法別・充填(内)断熱のポイント  € 特徴  形状がマット状、粒状、バラ綿状の断熱材を壁の中に充填したり吹き込む一般的で基本 的な工法。壁の空隙を利用して断熱材を充填するため、支持材で断熱材の専用の空間をつ くる必要がなく基本的にローコストである。  a。 使用される断熱材の種類  ・マット状   グラスウール、ロックウールなどがあげられ、価格が安く最もローコストである。   ・吹き込み    専門業者による吹き込み用のグラスウール、ロックウール、セルローズファイバーな   どがある。壁の吹き込みには沈下しないように溶液型接着剤が使用されてきたが、最   近は接着剤を使用しない壁ドライ工法や、セルローズファイバーでは密度が高く長い   繊維を混入した沈下のない吹き込みがでてきている。  ・現場発泡   専門業者による現場発泡ウレタンの吹き込みがある。  ・ボード状   ボード状のものは一般的に、隙間を作らない充填施工の精度(断熱材欠損、気密)が   困難であり、充填(内)断熱には適さない。  b。 防湿層は必要か   グラスウールやロックウールの鉱物繊維は透湿性が大きく、また吸放湿性が少ないので結 露を防ぐのに防湿層が必要である。木質繊維のセルローズファイバーとセルロースウール、 草茎繊維の亜麻や大麻繊維などの自然素材の断熱材は透湿性は大きいが、吸放湿性に富んで いるので日本でも防湿シートはいらないとされている。鉱物繊維系の充填(内)断熱では気 密性能を維持するのに、オープン工法の新在来工法などにみられる独特の先貼りシートが必 要である。それらの施工が慣れないと面倒に思われ、施工人工が多くかかるが、慣れると最 も簡単でローコストな高断熱・高気密工法である。  c。 夏型結露  鉱物繊維の充填(内)断熱は、夏の暑い時期に、外壁が太陽の直射を受け高温になり、室 内が冷房で冷やされると防湿シートの壁面側に結露の心配があると一部で言われてきた。確 かに計算上、理論上は発生することになるが、それは結露する定常状態下の条件であり、実 際には常に動いている。夏場の早朝の、通気層工事が未完でその機能が十分に働いていない 時期に、断熱・気密施工した直後の防湿シートの壁側にうっすらと結露している状態を、1 5年ほどの経験のなかで見たことが何度かある。夜中に室内外共に温度がさがり、早朝に直 射をあび、外面が高温、内面がまだ低温な状態の外壁断熱面や屋根断熱面にである。最もき つい条件の定常状態の時である。その後、あわてて通気層を完成し機能を果たした後に、結 露は見受けられないことを確認し、内壁の下地材をを貼っていく。その後の完成引き渡し後 にもクレームが付いたことはない。私どもだけではなく、クレームの実体の実績が見受けれ ないことと、建設省建築研究所や大学の研究より大多数の学者が、現在では夏型結露は十分 に乾燥された木材と有効な通気層がある場合は心配ないとされている。    メリット、デメリット 内断熱工法の特徴と評価 部位との相性  長所:天井、屋根、外壁、床の各部位に特別な問題は無い。  短所:外壁・間仕切り壁の上端・下端部位の気流止めと気密に注意。下屋・差家部位の断  熱・気密に注意。胴差など貫通部位の先貼りシート。 断熱・気密化の難易度  長所:基本であり普通。慣れると隙間相当面積0.3前後からでる  短所:先貼りシート、気流止めが必要 施工性  長所:屋根工事を先に出来る。簡略工法よりは手間がかかるが基本であり普通。複雑な形、     出窓、土庇に対応。  短所:従来の施工手順と違う部位があり、初めは戸惑う。断熱欠損、気密層の精度が悪い     と結露の恐れ。断熱施工は普通だが、気密施工は面倒。 防湿層  長所:セルローズファイバーなどは不要。鉱物繊維は必要。  短所:シート押さえを確実に。 結露  長所:高断熱・高気密・全室暖房・計画換気の基本なら結露は無い 防音・吸音効果  長所:マット状、吹き込み断熱材は吸音あり 外壁との相性  長所:特別問わない、付加断熱が簡単 耐力壁との相性  長所:合板耐力壁では簡単  短所:筋違・火打梁は多少手間 熱橋  長所:柱、胴差、桁、間柱などが熱橋になるが、木の場合は結露せず問題にならない。     外貼りよりは劣るが、より高性能を望むのであれば付加断熱で対応する。 内壁の真壁   短所:真壁の気密施工は手間 コンセント  短所:コンセント、スイッチ、ダウンらいとなど断熱・気密補修が手間 価格  長所:最も低価格 その他  長所:自然素材断熱材(マット状)充填できる     地震や強風時の揺れに対し復元性。木の乾燥収縮に対応     天井断熱は厚くでき性能を稼げる  短所:厚さ密度に注意、和室の天井は2重天井  ¡ 設計のポイント  a 充填(内)断熱のメリットを生かす手法  自然系断熱材はマット状が多く、100mmの壁内にマット状の断熱材を充填する充填 (内)断熱は最適な工法である。吸放湿の優れた自然系断熱材の充填(内)断熱は、施工 が煩わしい防湿シートが必要なく、気密層は自然系断熱材の外側の、土台・柱・間柱・胴 差・桁などの外面に施工でき工事が簡略化される。  b その他注意点と対策  木材の耐久性を維持するのに、環境や人体に害がある防腐・防蟻剤を安易に使用しない 方法を取りたい。壁内を乾燥に保ち、土台は腐朽や食害に強い桧、ヒバなどを使用する。 他の構造上重要な柱、間柱、床束、火打ち土台などは、コストの点で桧、ヒバなどはなか なか使用できないが、比較的腐朽や食害に強く、桧やヒバよりはずっと安い赤身の杉を使 用したい。  c 監理上の注意点  ¤施工上の注意点(監理)の表による。  d その他  工法別・外張断熱のポイント  € 特徴  種々の要素がある壁の中に断熱材を充填するのではなく、外側に断熱材を貼れば充填( 内)断熱の施工の煩雑さから解放され、断熱・気密施工が比較的簡単にすむ。断熱・気密 施工が楽であるが、住宅の形状が凸凹の多い外壁や屋根、出窓が多い、土庇や霧除けがあ る住宅では、充填(内)断熱より施工が面倒くさくなり、施工手間がかかり増しになるこ とを注意しなければならない。断熱材のほとんどが石油製品発泡断熱材であり、地球環境 や人体に負荷が大きく、これからがが問われる。  材料メーカーやフランチャイズが宣伝力が豊富で先行したため、外張断熱は材料メーカ ーやフランチャイズによって限定された特殊な工法と思われがちだが、実際にはオープン な工法であり、それぞれの工夫で、基本に忠実でシンプルなローコスト外張断熱をやって みよう。 使用される断熱材の種類  形状がボード状の石油製品発泡系断熱材を柱の外側に貼り付けるのがほとんどである。 押出発泡ポリスチレン、硬質ウレタンフォームなどがある。なかには、硬質ウレタンフォ ームを下貼りし、その上に現場発泡ウレタンを吹き込むなどと、シームレスで気密として はだめ押し的な、これ以上のものはないような工法のなどもある。      外張熱工法のメリット・デメリット 外断熱工法の特徴と評価 部位との相性  長所:軸組は従来のまま。耐力壁合板や野地板を内装に利用できる。 短所:二重屋根が面倒。 断熱・気密化の難易度  長所:断熱・気密化は楽。 短所:外壁と屋根の断熱接合の部位(タル木部分)の断熱補修が面倒。 施工性  長所:従来の施工手順と同様。  短所:屋根工事が遅く、天候不順時は不利。複雑な形、出窓、土庇は不利。 気密層  長所:障害が少なく楽。  短所:耐力壁合板が無い場合はシート押さえを確実に。 結露  長所:発泡系ボードは透湿抵抗があり結露の恐れが少ない。 防音・吸音効果  短所:少ない。 外壁との相性  短所:外壁が厚くなる。断熱材の厚さ50mmが手頃。それ以上なると支持部材が増え、     不利。 耐力壁との相性  長所:筋違・耐力壁とも問題なし。 熱橋  長所:少ない。  短所:霧除、バルコニーの断熱貫入に注意。 内壁の真壁   長所:真壁が可能。 コンセント  長所:コンセント、スイッチ、ダウンライトなど断熱・気密工事が不要。 価格  短所:断熱材の価格が高い(2.5〜3倍)。 その他  長所:既存家屋の断熱改修が楽。  短所:耐力壁合板が無い場合は地震や強風時の揺れに対し復元性が少なく、断熱欠     損の恐れがある。木の乾燥収縮に対応少ない。白蟻対策が必要。石油製品は     燃焼時や廃棄が問題。ウレタンはフロンが問題。   ¡ 設計上の注意点  a 外張断熱のメリットを生かす手法  外壁の内側を真壁にでき、和室に適している。耐力壁に合板を使用した場合は、内 装を省略でき、柱、間柱、耐力壁合板がそのまま現しの木質の自然素材感あふれる空 間ができ、しかもローコスト化をはかれる。  b その他の注意点と対策  ・各種熱橋の処理     軸組の外側に断熱材が貼られるために、熱橋がほとんどなく有利である。次世代基 準でも内断熱に比べ有利に取り扱われる。しかし、玄関ポーチの屋根、風除室、土庇、 バルコニーなどの構造材が外貼りの断熱材を貫通する部分は、熱橋になり欠点である。 また断熱欠損に十分注意する。  ・合板などで耐力壁を       地震や日々の強風による変形から断熱欠損が生じる恐れがあり、耐力壁は筋違では なく、合板などの面剛性で全体的に固める。耐力壁の合板などの上に十分な重ね貼り をした気密シートを施工し、断熱材を張る。  ・性能の劣化       筋違のみの耐力壁の軸組に板状断熱材を張り、継ぎ目のみに気密テープ処理をして いるのが見受けられるが、地震や強風の影響を受け揺、軸組の変形から断熱欠損が生 じたり気密性能が劣化しやすい。固形のボード状断熱材は、軸組が未乾燥木材を使用 した場合その収縮変形についていけなく、気密性能が劣化するので、乾燥木材を使用 する。軸組に発泡ポリウレタンなどのガス発泡系断熱材のガス抜けによる断熱性能劣 化をあらかじめ考慮する。  c 監理上の注意点  重要なポイントは気密層関係がほとんどで、断熱材関係では断熱材どうしが隙間な く精度良く貼られているか、断熱欠損がないかがチェックポイントである。特に、桁 と屋根の部分、下屋部分の屋根と外壁の部分の断熱材が連続しているかが重要である。 また、玄関ポーチの屋根、風除室、土庇、バルコニーなどの構造材が外貼りの断熱材 を貫通する部分、設備配管が貫通する部分は断熱欠損がなく精度良く施工されている かに十分注意することが重要である。  ¤施工上の注意点(監理)の表による。  
工法別・付加断熱のポイント  特徴  これから益々、二酸化炭素の削減と省エネルギーが望まれると、外張断熱は現状の 厚さ以上にすることは難しいが、充填(内)断熱は外張りが付加され断熱材をより厚 くすることが簡単にできる。充填(内)断熱の熱橋にる熱損失の大きさも解消できる。 次世代省エネ基準の地域Ąでは、充填(内)断熱では現状的に不経済なことから充填 (内)断熱+付加断熱が有利である。地球環境や人体により負荷が少ない自然素材の 断熱材の亜麻や大麻繊維、ココヤシ繊維なども、より熱損失を少なくするために充填 (内)断熱に付加断熱が足さされていくであろう。壁の内は100mmの亜麻繊維の 内断熱、付加断熱は50mmの軽量軟質木質繊維ボードが考えられる。  5.用途別・選択のポイント  € 充填(内)断熱をする場合   ・施工者が断熱・気密工事に慣れている。  ・断熱・気密化にコストがあまりかけられない。   外張断熱とする場合  ・施工者が断熱・気密工事に慣れていない。  ・断熱・気密工事の省力化。  ¡付加断熱とする場合  ・次世代省エネ基準の地域Ąでは有利である。  ・更なる高断熱化。  ・自然系断熱材に適する。  充填(内)断熱の監理と施工の注意点  □ 断熱欠損  ・断熱材欠損がなく適切に充填されている。  ・筋違の厚さによる断熱欠損になりがちな部分は、筋違が当たる部位に沿って断熱 材に切れ目を入れ、断熱材を削ることなく押し込んでやると断熱欠損にならない。  ・スイッチ・コンセントボックスも同様にするか、厚さ分欠きとっても大した負担 にならない。  ・給排水管は他に配管スペースを設け、断熱空間内に配管しない。   ・下屋の天井と外壁の取り合い部分の断熱材が連続している。  □ 先張りシート  ・土台・胴差・梁・桁などの部分の先張りシートは防湿・気密シートと連続し適切 に施工されている。  ・土台・胴差・梁・桁などの木材と防湿・気密テープ処理されている。  □ 防湿・気密シート  ・適切に施工されている。鉱物繊維系断熱材は防湿・気密シートが的確に連続して 施工されないと結露の   恐れがあり、注意する。継ぎ目は十分な重ね代を確保し、下地のある部分で継ぐ。  ・スイッチ・コンセントボックス部分は防湿・気密シート及びテープ処理などで補修 する。  ・設備配管、配線が貫通する部分は防湿・気密シート及びテープ処理などで補修する。  ・開口部まわりはサッシと防湿・気密シートを折り込んで防湿・気密テープ処理で連 続させる。  ・下屋の天井と外壁の取り合い部分の防湿・気密層が連続している。特に間柱下部に 注意する。  □ 気流止め  ・土台廻りと外壁・間仕切り壁の取り合い部分、天井と外壁・間仕切り壁の取り合い 部分に気流(隙間風)が流れないように、気流止めや気密シートで塞ぐ。  □ 防風・防水・透湿層  ・3m幅など広幅の防風・防水・透湿シートを使用し、重ね目・継ぎ目を少なくする。  ・シートの重ね目・継ぎ目はテープ処理する。  ・窓廻部分も含め壁面全面を張り、後で窓部分を切り折り返す。サッシ枠とシートを テープ処理する。  □ 性能の劣化         ・鉱物系繊維の品質は著しく向上しているので問題はない。  ・防湿・気密シートは0.2mmの厚手でJIS A 6930に基づいて製造された住宅用防 湿フイルムなどの専用の耐候性のあるものを使用する。農業用シートなどは経年劣化が激 しく、それと共に気密性能が劣化し、断熱材が結露し断熱性能も劣化する。  ・含水率17%以下の乾燥木材を使用したい。25%程度の乾燥材であれば、住宅一件 からドラム缶7本前後の水分が発生し、内部結露の原因になる。気密性能の低下にもかか わる。  □ 浴室(ユニットバス)が接する外壁  ・ユニットバスが設置される前に外壁の断熱材と防湿・気密層の施工をする。  


 外張断熱施工上の注意点(監理)  □ 断熱欠損  ・断熱材欠損がなく適切に外張りされている。  ・玄関ポーチの屋根、風除室、土庇、バルコニーなどの構造材が外貼りの断熱材を貫通 する部分は、熱橋になり欠点である。また断熱欠損に十分注意する。  ・桁と屋根の部分、下屋部分の屋根と外壁の部分の断熱材が連続しているかが重要であ る。  ・設備配管が貫通する部分は断熱欠損がなく精度良く施工されているかに十分注意する ことが重要である。  □ 防湿・気密シート  ・継ぎ目は十分な重ね代を確保し、下地のある部分で継ぐ。  ・開口部まわりはサッシと防湿・気密シートを防湿・気密テープ処理で連続させる。  ・玄関ポーチの屋根、風除室、土庇、バルコニーなどの構造材が防湿・気密シート貫通 する部分は、テープ処理などで補修する。  ・桁と屋根の部分、下屋部分の屋根と外壁の部分の防湿・気密シートが連続しているか が重要である。  ・設備配管、配線が貫通する部分は防湿・気密シート及びテープ処理などで補修する。  □ 合板などで耐力壁を       地震や日々の強風による変形から断熱欠損が生じる恐れがあり、耐力壁は筋違ではなく、 合板などの面剛性で全体的に固める。耐力壁の合板などの上に十分な重ね貼りをした気密 シートを施工し、断熱材を張る。  □ 防風・防水・透湿層  ・3m幅など広幅の防風・防水・透湿シートを使用し、重ね目・継ぎ目を少なくする。  ・シートの重ね目・継ぎ目はテープ処理する。  ・窓廻部分も含め壁面全面を張り、後で窓部分を切り折り返す。サッシ枠とシートをテ ープ処理する。  □ 性能の劣化         ・防湿・気密シートは0.2mmの厚手でJIS A 6930に基づいて製造された住宅用防湿 フイルムなどの専用の耐候性のあるものを使用する。  ・含水率17%以下の乾燥木材を使用したい。  □ 外装材の不安定  ・外装材が柱、間柱に打ち付けられなく不安定になりがちである。 屋根・天井部分の断熱  ■前書き  屋根・天井の断熱の重要性とその目的  € 熱環境の面から   高断熱・高気密住宅の屋根・天井部位の熱損失は、全体にしめる割合が約9%と面積の 割には少ない。これは、屋根・天井部位の断熱材の厚さが他の部位の2倍から3倍あり、 その分熱損失が少ないことによる。他の部位では、床が約7%、外壁が約27%、窓が約 36%、換気が約21%である。  熱損失の全体にしめる割合が少いから、熱環境の面では影響が少ないかといえばそうで はない。断熱材を薄くすると、屋根面や天井面で空気が冷やされ下降気流が多くなり、自 然対流の流速が早くなる。吹き抜けがある広間型の間取りでは、隙間風が無いのに、冷や りとした微流が感ぜられ不快な熱環境になる。室内の空気の流れの速度は0.2m/秒以 下に押さえたい。  夏の暑さ対策のためにも充分な断熱材の厚さをもちたい。次世代省エネ基準では暖かい 地域の地域Ľ・Śでも、グラスウール16kgなどの断熱材の種類Bは充填で屋根210 mm天井180mmもの厚さである。硬質発泡ウレタンなどの断熱材の種類Eの外張でも 厚さが115mm必要である。    どのような種類・工法があるか  屋根・天井の断熱は、天井の上に断熱材をのせる天井断熱、桁の上に合板張り断熱材を のせる桁上断熱、タルキ間に断熱材を充填する充填屋根断熱、野地板の上に断熱材を外張 する外張屋根断熱の4種類に分類される。  ■工法別・天井断熱のポイント  € 特徴  断熱材を天井の上に断熱材をのせたり吹き込む方法で、従前の在来工法を多少改良する 程度の一般的で基本的な工法である。天井の上の小屋裏空間を利用するため、支持部材で 断熱材の専用の空間をつくる必要がなくローコストである。空間があり、支持部材も必要 なく断熱材を200mm、300mmとローコストに簡単に厚くできる。    使用される断熱材の種類  一般的にはグラスウール、ロックウールなどのマット状断熱材や、専門業者による吹き 込み用のグラスウール、ロックウール、セルローズファイバーなどがある。野縁、吊り木 などが邪魔になり断熱欠損がなく施工するのは困難でボード状の断熱材は適さない。ボー ド状の断熱材以外では、適正はマット状断熱材、吹き込み用断熱材とも種類を問わないが、 自然系断熱材のセルローズファイバーがエコロジー・バウビオロギーさ、価格、施工性か らみて最適である。他の自然系断熱材のマット状の亜麻繊維、大麻繊維、ココヤシ繊維、 木質繊維、羊毛なども適している。    ¡ メリット、デメリット ○天井断熱の長所・短所 温熱環境  長所 ・各地域に対応した温熱環境、断熱材厚さが選択できる・断熱材が厚くできる     ・次世代省エネ基準に容易に対応できる・熱橋が小 施工性  長所 ・在来工法の多少の改良だが、慣れが必要・屋根工事が先にできる・特別の支      持部材がいらない      ・屋根の形が自由  短所 ・外壁上端、間仕切り壁上端との取り合い部分の気流止め、先張りシートが必      要・下屋部分に注意・配線配管貫入部分の補修      ・ダウンライトに注意・和室は2重天井 耐久性  長所 ・外壁や床のような結露による腐朽の恐れは少ない コスト  長所 ・最も低価格  ¤ 設計のポイント  a 天井断熱のメリットを生かす手法  (意匠性、施工性、性能)  1 屋根の形が自由   天井断熱は屋根と断熱・気密部分が独立しているので、谷や隅が多数あるL型の屋根 や、入母屋屋根、ドーマー付き屋根など複雑な形をした屋根など、屋根の形が自由にで き意匠に制限がない。  2 防湿層の有無  グラスウールやロックウールなどの鉱物繊維系断熱材は、透湿性が大きいうえに吸放 湿性が少ないので、結露が起こりやすい。よって、グラスウールの内側に防湿を設置す る必要がある。  セルロースファイバーなどの木質繊維系断熱材や亜麻や大麻繊維などの草茎繊維系断 熱材の自然系断熱材は、透湿性は大きいものの吸放湿性に優れているので、防湿シート は必要ない。  ■気密化(先張りシート)、気流止め  在来工法では天井と外壁の取り合い部分と、天井と間仕切り壁の取り合い部分が空隙 で連続的につながっている。そのため、このままの状態で通気・透湿性のある繊維系断 熱材を施工すると、壁内に気流が発生し十分な断熱効果を得られない。こうした取り合 い部分に気密化の先張りシートや気流止めが必要である。最初は通常のものに比べ施工 手間がかかるが、慣れてくると簡単かつローコストに気密化を図ることができる。  4 防風層はいらない  屋根断熱と違い防風層がいらなく、その材工分がコストダウンできる。  5 熱橋  吊り木や間仕切り壁の柱・間柱などの木材の多少の熱橋があるが、全体との割合からみ たら熱橋が少ない。  6 断熱材の厚さ  天井断熱の最大のメリットは、断熱材を200mm、300mmとローコストに簡単に 厚くでき、次世代省エネ基準に対応しやすく、基準は高性能グラスウール16kgで地域 Ąは230mm、地域˘以西は160mmである。  b その他注意点と対策  1 強風による断熱材欠損   断熱材が吹き込みの場合は、強風の時に小屋裏に風が入り込み、部分的に断熱材が風に よって飛ばされ薄くなっている箇所が見受けられることもあった。薄くなった部分は断熱 欠損になり結露の恐れがでてくるので、小屋裏換気口を工夫し強風が入り込まないように する。  2 1階部分の和室の張柾天井  1階部分の和室の張柾天井は施工の手順から、防湿・気密シートを張ることができない。 張柾天井部分と防湿・気密、断熱部分を分け桁上断熱などにより2重の天井が必要である。 ¤監理の注意点 表による。  工法別・桁上断熱のポイント  € 特徴  桁上断熱は天井断熱の長所をそのままに、欠点である先張りシートと気流止め、配線・配 管などによる防湿・気密シートの補修などが少なくなり、施工と管理の改良がはかられる。    使用される断熱材の種類  ボード状断熱材以外は天井断熱と同様である。ボード状断熱材は、断熱材部分に施工上邪 魔な野縁、吊り木、間柱などが無く桁上断熱に適している。断熱部分と構造部分が分離され ているので、支持材なしにボード状断熱材が重ね張りができ、次世代省エネ基準を簡単にク リアできる。ウレタンボードやスチレンボードはもちろんのこと、これから普及する自然系 断熱材の軽量木質軟質繊維ボードにとっては最適である。  ¡ メリット、デメリット ○桁上断熱の長所・短所 温熱環境  長所 ・各地域に対応した温熱環境・断熱材が厚くできる     ・次世代省エネ基準に容易に対応でる     ・熱橋が極めて小 施工性  長所 ・最も合理的、極めて良い・複雑な納まりがなく施工性が最も良い     ・天井裏が配管スペース(配管配線の補修がない、ダウンライトの補修がいらない)     ・足場になり作業効率が良い、危険性が少ない・屋根の形が自由・気流止めがいら      ない・先張りシートが少ない  短所 ・桁上に断熱受け合板、根太が必要  耐久性  長所 ・外壁や床のような結露による腐朽の恐れは少ない コスト  長所 ・天井断熱の2,000円弱/坪の少ないコストアップでコストパフォーマンスが      良い その他  長所 ・断熱受け合板・根太を現せ意匠性が増す  ¤ 設計のポイント  a 桁上断熱のメリットを生かす手法  (意匠性、施工性、性能)  1 屋根の形が自由   天井断熱と同様である。  2 防湿層の有無  天井断熱と同様である。   3 気密化、気流止め  桁上断熱は天井と外壁の取り合い部分と、天井と間仕切り壁の取り合い部分が桁、小屋梁、 頭つなぎなどで空隙が塞がるように在来工法が改良されている。そのため、ここうした取り 合い部分に気密化の先張りシートや気流止めが必要なく、性能の施工ムラがなくなる。  4 防風層はいらない  天井断熱と同様である。  5 熱橋  熱橋は小屋束程度であり、極めて少ない。  6 断熱材の厚さ  天井断熱と同様である。  b その他注意点と対策  1 強風による断熱材欠損   天井断熱と同様である。  2 1階和室の張柾天井  桁上が断熱部分で天井部分と別々なことから、張柾天井が通常どおり施工できる。  ¤監理の注意点  気流止めがいらないこと以外は天井断熱と同様である。  工法別・充填屋根断熱のポイント  € 特徴  屋根勾配なりのタルキ間に断熱材を充填する方法で、タルキは在来工法でもツーバイフ ォー部材の206(40×143mm)、208(40×190mm)、210(40× 241mm)を使用する。ツーバイフォー部材は人工乾燥され品質も安定している。また 、長尺なので日本の12尺物13尺物よりも端材が少ない。  次世代省エネ基準では、高性能グラスウール16kgなどで地域Ąは225mm、˘〜 Śは185mmと天井断熱材よりワンランク厚めになっている。ツーバイフォー部材の寸 法に合わせたような断熱材の厚さである。外壁に近い環境となるため、外壁に準じた防湿 ・気密シート層、断熱材、防風・透湿層、通気層などの構成になる。    使用される断熱材の種類  外壁の充填断熱と同様に、グラスウール、ロックウール、吹き込みようのグラスウール、 ロックウール、セルロースファイバー、現場発泡ウレタンなどほとんどの種類を使用する ことができる。ボード状の断熱材も使用できないことはないが。充填施工の精度(断熱材 欠損、気密)の維持が困難であり、あまり適さない。セルローズファイバー以外の自然系 断熱材のマット状の亜麻繊維、大麻繊維、ココヤシ繊維、木質繊維、羊毛なども適してい る。コストを考えたら高性能グラスウール16kg,エコロジー・バウビオロギーを考 えたらマット状の自然系断熱材である。  ¡ メリット、デメリット ○充填屋根断熱の長所・短所 温熱環境  長所 ・小屋裏空間の利用・熱橋は他工法より大きい(付加断熱で解決する) 施工性  長所 ・合理的、比較的楽・気流止めがない・先張りシートが少ない     ・防湿・気密シートの補修が少ない・付加断熱が容易である。  短所 ・複雑な屋根は困難     ・通気層が必要      ・勾配屋根で断熱・気密作業が危険を伴う 耐久性  長所 ・外壁や床のような結露による腐朽の恐れは少ない コスト  短所 ・タルキが太くなる分、通気層の材工がコストアップ。しかしそれに見合ったメリ      ットがある     ・次世代省エネ基準の地域Ąでは大幅コストアップ その他  長所 ・屋根裏空間が利用できる・小屋組を現せ意匠性が良い  ¤ 設計のポイント  a 天井断熱のメリットを生かす手法  (意匠性、施工性、性能)  1 屋根の形はシンプルに   充填屋根断熱は屋根裏空間が見えるので、谷や隅が多数ある複雑な屋根の形には、施工性、 性能、意匠性状向かない。シンプルにまとめあげ、意匠性と構造をともなった梁などの架構 を美しく仕上げる。  2 防湿層の有無  天井断熱に同様である。  3 気密化(先張りシート)、気流止め  充填屋根断熱は天井と外壁の取り合い部分と、天井と間仕切り壁の取り合い部分が桁、小 屋梁、頭つなぎなどで空隙が塞がるように在来工法が改良されている。そのため、ここうし た取り合い部分に気流止めが必要なく、性能の施工ムラ少なくなる。先張りシートは天井断 熱よりは省略されるが、タルキと母屋との取り合い部分、タルキと桁との取り合い部分に必 要である。  4 防風層  外壁の充填断熱に準じて必要である。  5 熱橋  タルキの間隔が455mmで、その部分が熱橋となり、断熱屋根面積に対して約14%を 占める。解決策としては付加断熱があり、外部に付加する、内部に付加する、両方に付加す るタイプがある。内部に付加する方法が、屋根工事の取り掛かりの早さ、配線スペースにも なるどの利点がある。  6 断熱材の厚さ  断熱材を厚くするには、タルキ断面が大きくなるなど、付加断熱材の支持材が必要になり、 断熱材以外のコストアップも考えなければならない。  b その他注意点と対策  1 通気層厚さ  外壁の通気層以上の厚さ30mm以上は欲しい。  ¤監理の注意点  気流止めがいらないこと、先張りシートは間仕切り壁の上端ではいらないが母屋・棟木上 端に必要なこと、防風・防水・透湿層を設けること以外は天井断熱に同様である。防風・防 水・透湿層のチェックポイントは3m幅など広幅のタイベックなどの防風・防水・透湿シー トを使用し、重ね目・継ぎ目を少なくしているかである。  工法別・外張屋根断熱のポイント  € 特徴  屋根勾配なりの野地板の上に断熱材を外張りする。次世代省エネ基準では、ウレタンボー ドなどで地域Ąは160mm、˘〜Śは115mmと外張にしては厚さが望まれている。こ れまでの外張断熱の良さは、外壁が50mm、屋根が50mmの厚さで、先張シート、気流 止めがいらないなど簡易な施工であったのだが、次世代省エネ基準の断熱材の必要厚さでは 断熱材支持部材が新たに必要になるなど、外張断熱の良さが失われてしまう。    使用される断熱材の種類  石油系のスチレンボード、ウレタンボードが適している。  ¡ メリット、デメリット ○外張屋根断熱の長所・短所 温熱環境  長所 ・温暖地の冬期に適する・熱橋が極めて小さい  短所 ・寒冷地では次世代省エネ基準対応が困難 施工性  長所 ・薄手50mm程度のスチレンやウレタンボードなどの場合は簡略     ・先張りシートがない、防湿・気密シートがない・気流止めがない  短所 ・複雑な屋根は困難     ・通気層が必要     ・厚手の100mm程度のスチレンやウレタンボードなどは施工性が困難 耐久性  長所 ・断熱材が構造体の外側なので結露による腐朽の恐れがない コスト  長所 ・薄手断熱材使用の場合は低価格  短所 ・次世代省エネ基準レベルは高価格 その他   長所 ・屋根裏空間が利用できる・小屋組や野地板を現せ意匠性が良い  ¤ 設計のポイント  a 天井断熱のメリットを生かす手法  (意匠性、施工性、性能)  1 屋根の形はシンプルに   充填屋根断熱に同様である。  2 防湿層の有無  スチレンボード、ウレタンボードなどは透湿抵抗があり、防湿層はいらないとされてい るが、防湿 ・気密シートを気密層として設置するのが望ましい。  3 気密化(先張りシート)、気流止め  スチレンボード、ウレタンボードなどは特別必要ない。  4 防風層  スチレンボード、ウレタンボードなどは防風層は必要ないが、タイベックなどを防水層 として設置 するのが望ましい。  5 熱橋  スチレンボード、ウレタンボードなどは50ミリの厚さを超える場合は、2重張りとし、 下層の50ミリの断熱材では熱橋になるような部材を設けず、上層の断熱材の部分に支持 部材を設ける。こうすることによって、熱橋が極めて少なくなり、外張断熱の良さを引き 出す。  6 断熱材の厚さ  断熱材を厚くするのは、充填屋根断熱より困難である。支持材が必要になり、断熱材以 外のコストアップも考えなければならない。  b その他注意点と対策  1 通気層厚さ  外壁の通気層以上の厚さ30mm以上は欲しい。  ¤監理の注意点  気流止め、先張りシート、防風層がいらないこと以外は天井断熱に同様である。  用途別・選択のポイント   (設計・施工・コスト・エコロジー・温暖地向き・寒冷地向きほかの観点から)  €天井断熱とする場合  設計と施工の両者が手慣れている場合は最も低コストになる。低コストで断熱材を厚く でき、また断熱・気密施工に慣れた施工者が多い寒冷地向きである。自然系断熱材では最 も低価格で実績があるセルロースファイバーの吹き込みに最適でエコロジーである。   桁上断熱とする場合  断熱材受け合板・根太がコストアップなるが、工程が合理化され、施工が慣れていなく ても断熱・気密性能のばらつきがない。マット状、吹き込み断熱材はもちろんのことスチ レンボードやウレタンボードの板状の断熱材が使用できる。板状で、自然系断熱材のなか では低価格な軽量軟質木質繊維板も使用できエコロジーである。  温暖地・寒冷地どちらにも向いている。屋根が複雑になりがちである、設計者と施工者 が断熱・気密施工に慣れていないなどの温暖地に適している。寒冷地では断熱材を低コス トで厚くでき、無落雪屋根に適している。これからもっと注目されて良い工法である。  ¡充填屋根断熱をする場合  断熱・気密施工が簡略化されているが、次世代省エネ基準の地域Ąの寒冷地では厚さが 高性能グラスウール16kg265mmになり、タルキ太くコストアップになりあまり適 さない。地域˘以西では185mmが必要でツーバイフォーの208材に充填できる。地 域˘以西のなかの東北、北関東、他の山間部では、簡略化とコストと屋根裏空間利用のメ リットから適している。温暖地ではコストがかかりすぎる、屋根の複雑さに対応が難しい など適さない。マット状の自然系断熱材を使用すると、エコロジーである。    ¤外張屋根断熱をする場合その他  外張屋根断熱には価格が高いスチレンボードやウレタンボードが使用され、断熱材を厚 くする寒冷地では、支持材・断熱材の材工がかなりコストアップになり適さない。次世代 省エネ基準に適合しないが、スチレンボードなどの厚さが50mm程度なら断熱・気密施 工が簡略化され低コストで外張断熱の良さがでてくる。そんなことから、温暖地向きであ る。  ¦その他     屋根・天井、外壁、基礎・床の断熱工法は、それぞれの部位の断熱工法をかけあわせる と、約50以上の膨大な組み合わせの数になる。天井、桁上、充填屋根、外張屋根、付加 断熱と、壁の断熱工法との組み合わせの相性については、技術的なことよりも、次世代省 エネ基準にするか否か、各地域の寒暖、コスト、工法の簡略化、エコロジー、訴えどころ によって、各自に適合した工法の組み合わせを選択しなければならない。                         ■天井断熱の監理ポイント  € 断熱欠損  □ 断熱材欠損がなく適切に充填されているか。  □ 下屋の天井と外壁の取り合い部分の断熱材が連続しているか。    先張りシート  □ 梁・桁、下屋などの部分の先張りシートは防湿・気密シートと連続し適切に施工さ れているか。  □ 梁・桁などの木材と防湿・気密テープ処理されているか。  ¡ 防湿・気密シート  □ 鉱物繊維系断熱材は防湿・気密シートが的確に連続して施工されているか。継ぎ目 は十分な重ね代を確保し、下地のある部分で継いでいるか。  □ 設備配管、配線が貫通する部分は防湿・気密シート及びテープ処理などで補修され ているか。  □ 下屋の天井と外壁の取り合い部分の防湿・気密層が連続しているか。特に間柱下部に 注意する。  ¤ 気流止め   □ 天井と外壁・間仕切り壁の取り合い部分に気流(隙間風)が流れないように、気流止 めや気密シートで塞がれているか。  ¦ 性能の劣化         □ 防湿・気密シートは0.2mmの厚手でJIS A 6930に基づいて製造された住宅用防 湿フイルムなどの専用 の耐候性のあるものを使用しているか。  □ 含水率17%以下の乾燥木材を使用しているか断熱パネル工法の概要  a)種々なパネル工法     住宅産業において目敏い人々は、高断熱・高気密が目玉商品となることをいち早く知り、 セールス時のうたい文句にした。工務店やホームビルダーは何の実績もないものの、名刺や パンフレットには高断熱・高気密住宅の活字が溢れていた。しかし、施工側にとって面倒く さいこと、消費者には坪単価が高いことなどにより、高断熱・高気密住宅の実際の普及はな かなかすすまなかった。この隙間に、資材メーカーやシステムサプライヤーが高断熱・高気 密住宅のすべてをお膳立てしてくれるフランチャイズ(権利金などが必要)やグループ化( 権利金などは必要ないが会員だけに販売)が登場してきた。営業や宣伝のノウハウ、施工の マニアル、パネルなどの支給といたりつくせりである。ほとんどのフランチャイズは従来の 建材やサッシの商流、物流のルートから積極的な組織づくり、販売展開がすすめられ、工務 店やホームビルダーは受動的に吸い込まれていった。パネル、軸組、断熱サッシ、バスユニ ット、キッチン、内部建具、建材などをフランチャイズされると、住宅の建設費の半分ほど をフランチャイズ先に吹上がられてしまうものもある。鳥の「鵜」と人間の「鵜飼い」の関 係のように、工務店やホームビルダーが一所懸命営業努力してつくった住宅の利益のほとん どが吹上がられてしまう。  断熱・気密パネル工法は、パネルに断熱や気密の仕様が組み込まれ、パネルを組み立てる と2日から5日で簡単に高断熱・高気密住宅が出来上がってしまう。新住協のオープン工法 PFP工法は素人でも組み立てられるほどである。フランチャイズのものはパネルだけでは なく、計画換気システムや空調がセットになり、システムサプライヤーに高付加価値になっ ているものがほとんどである。物事は基本にそった単純で明快な方が良い思われるが、断熱 ・気密工法のフランチャイズのシステムはより複雑なアイデアとメカニックなものが好まれ るようだ。  本格的な高断熱・高気密のパネル工法は、内断熱を簡単に施工できるようにと、北海道の 松本建工が大学の研究室と共に開発し自社部材としたFP工法がいち早く登場した。昭和6 0年にはグループ化し工務店への販売を始めた。今では九州まで普及し、シェアが大きい。  パネル工法は軸入りパネル、軸プレカット+軸間パネル、軸プレカット+外貼りパネル、 半加工パネル、ストレススキンパネルに分けられる。   パネルの種類と特徴  a 軸入りパネル(内断熱)  断熱・気密パネルに柱などの軸組があらかじめ組み込まれたものを建て込んでいく。ファ クト・P工法(エアサイクル)は断熱材がグラスウールのものとスチレンのものがある。  b 軸プレカット+軸間パネル(内断熱)  在来プレカットや金具用プレカットされた軸組の柱や梁などを建て上げ、その柱の間にパ ネルを据え付けていく。ウレタン系ではFP工法(松本建工)、HP工法(ホーメックス) などがある。スチレン系ではスーパーウオール(トステム)などがある。グラスウール系で はTZ工法(宇部)H&Cシステム(東洋合板工業)、エース工法(アサヒ住宅)、P&P (ミツワ)、北国ホーム工法(北国ホーム)、フォルクスハウス(OMソーラー)、まった くオープンなPFP(新住協)、その地域版のAPシステム(フタツイパネル)などがある。  c 軸プレカット+外貼りパネル(外断熱)  在来プレカットや金具用プレカットされた軸組の柱や梁などを建て上げ、その外側にパネ ルをウレタン系ではシステムホーム21(サンウッド)、ジャンボパネル(ナカジマ、スト レススキンパネルと同じ構造)、スチレン系ではマイティー工法(アピカルグループ)グラ スウール系ではOPS工法(寒地住宅研究会)などがある。  d 半加工パネル  繊維系断熱材のパネル化には枠組みが必要であり、発泡系のパネルにも枠組みがついてい るものがあるが、それ自体で強度のある発泡系断熱ボードなら枠がいらない。枠がない構造 用合板+発泡系断熱ボードの組み合わせなら、現場の必要にあわせてカットができる。こう した半加工パネルなら、コストダウンでき、整合性が必要な完全パネルよりある意味では合 理的で融通性がある。外から貼る外断熱と内断熱、内から貼る内断熱と様々ある。外から貼 るウレタン内断熱のDKパネル(大周建設)、外から貼るサーモプライ+ウレタン外断熱の サーモプライハイノン(アキレス)などがある。  e ストレススキンパネル  これまでのパネルは在来軸組工法の範疇で合理化やコストダウンを狙ったものだが、どう しても限界がある。これを解決するものとして、第38条(特認)認定が必要であるが軸も 枠もいらないストレススキンパネルが最近注目を集めている。スーパーシェル(トステム) やRコントロールパネル(三井ホーム)がそうであり、工務店に販売している。スーパーシ ェルはイソシアヌレートフォーム(ウレタンの一種)をOSBでサンドイッチした複合パネ ルであり、Rコントロールパネルは発泡ポリスチレンをOSBでサンドイッチした複合パネ ルである。究極の合理化なのだが、コストはむしろ高くなっている。  ■地域対応型APシステムを中心に  オープンな活動の新住協は基本的な高断熱・高気密仕様の新在来工法をすすめているが、そ の活動のなかにパネル工法のPFPがある。断熱・気密の合理化ばかりでなく、在来工法の合 理化も合わせてねらっている。寸法が合理的に大系化され、部材の種類が驚くほど少ない。こ のPFPをローカライズし地域の一般工務店向けにしたものがAPシステムである。集成材の 軸組に断熱・気密パネルを建て込むものである。断熱材はローコスト、基本的、一般的な高性 能グラスウールの16Kと24Kである。マット状断熱材なので断熱・気密枠組みパネルであ り、これからの自然素材断熱材の亜麻繊維や、軽量軟質木質繊維などを入れ込むことができる。  広域なパネル工法は、工場では生産が合理化されているが、現場までの運送費がかさむ、商 流がかさむことからコストに負担が大きくかかる。APは、大きな資本で年間に数百棟、数千 棟を生産するのではなく、小規模な年間百棟前後の地域単位の無駄の少ない生産システムを考 えている。  ■その他のパネル工法  c) 性能上のポイント  ・各種熱橋の処理       内断熱のパネル工法は、内断熱工法と同様であり、柱、胴差、桁、間柱、土台などの木材の 部分で断熱材が切れてしまい熱橋となってしまう。パネルを受けるため、3尺ごとに柱が建っ ているパネル工法は、その柱の数だけ、普通の内断熱工法より熱橋が多くなり不利である。外 断熱のパネル工法は外断熱工法と同様に、軸組の外側に断熱材が貼られるために、熱橋がほと んどなく有利である。  ・断熱欠損(筋違、スイッチ・コンセントボックスなど)  耐力壁はパネルの合板と兼ねられたり、筋違タイプのものはパネルに内蔵されている。スイ ッチ・コンセントボックスもパネルにセットされ、このあたりはパネル工法の旨味である。  ・防湿、気密シート及び先貼りシート  パネル工法の場合は必要ないように考えられている。  ・その他  パネル工法は組み立てると断熱・気密住宅になるのだが安心せずに、パネルと軸組やパネル どうしが接合する箇所の気密パッキンが機能しているかどうかのチェックはやはり必要である。 なかにはパネル住宅でも気密が低いものは気密パッキンが十分に機能していない場合が多い。 パネル製作後の変更などがよくあるが、断熱材を貫通する場合は補修が必要であることは言う までもないが、以外におろそかにされている。  d) 意匠上のポイント  ・屋根 屋根断熱パネルの場合は屋根裏空間を利用できる。また、PFP、AP、フォルク スハウスなどはパネルの内側合板をそのまま仕上げ材できる。  ・外壁(真壁/大壁)    屋根パネルと同様に、PFP、AP、フォルクスハウスなどは、パネルの内側合板をそのま ま仕上げ材にでき、なおかつ、真壁、大壁の両方に対応できる。  e) 監理上のポイント(施工性の評価)   高断熱・高気密パネルだから、これらを組み立てると高断熱・高気密住宅になるとは限らず、 油断はできない。接合部の気密部位をチェックする必要がある。施工者の施工精度が安定する まで、気密テストを行い、隙間相当面積の数値でレベルを把握しおいた方が良い。特に、パネ ル設置後の変更箇所の補修を確認する。  f) コスト(材工)  パネルと軸組で10万円前後〜18万前後/坪と価格帯がひろい。生産の合理化にはなって いるが、全体的なコストダウンにはなっていないようだ。パネル化する事によって、部材の種 類や数が増えたり、木材の使用量が増えたりしていること、物流、商流の問題もある。工務店 は建材店、サッシ店ルートの付き合い上フランチャイズに入っているが、年間着工戸数のすべ てをパネル工法で建てるのではなく、内覧会を行うなどの目玉的な住宅に割り切っている。 (5)総合評価 (イ〜ハの長所短所をまとめた一覧表)    建築知識  2000年2月号参照

 サッシ・ガラスの基礎知識  窓の役割には、採光、眺望、開放感、換気、通風、日射熱の取り入れ、内と外の遮断(熱・ 音・空気等)、出入口などが挙げられる。これらのなかで、高断熱・高気密住宅の当初の重要 な項目は温熱環境の内と外の遮断であった。最近は日射熱の取り入れと遮蔽が考慮されている。 住宅で熱が逃げるのは、床、壁、天井、窓から逃げる熱と、換気や隙間から逃げる熱とに大別 され、窓のガラス面と窓の隙間から逃げる熱は高性能な高気密・高断熱の住宅では全体の1/ 3もある。窓の気密が悪いと、室内の暖かい空気が外に逃げ、冷たい外気が入り込んでしまう ので、足元が寒くなり上下の温度差も大きくなってしまう。また窓が曇り、不快を感じること にもなりかねない。従来の工法では断熱材が薄く隙間だらけなので、壁、天井、床や隙間から 逃げる熱の方が多く、窓から逃げる熱の割合は相対的に少なくなってはいるが、住宅の性能が 上がれば上がるほど、窓の性能がより大切になってくる。  室内の良好な温熱環境を維持するノウハウは積み重ねてきた、こからの課題は二酸化炭素削 減と更なる省エネルギー、温暖地域の開放型住居の要素とも融合していくことである。幸いに 日本の伝統は開くことに関しては蓄積がある。近年培われたシェルター機能が問われる時期の 閉じる時は閉じ、環境共生の自然と馴染む時期の開く時は開くシステムである。伝統の開放型 の完成されたデザインには閉鎖するデザインは到底至っていないが、更なる蓄積を重ね調和す ることである。閉じっぱなしは壁であり、閉じる開くは窓である。  [A]窓の断熱性能  窓からの熱損失はガラス自体からの熱伝導、対流及び放射、ガラスのスペーサーの熱伝導、 枠からの熱伝導、可動部分からの漏気、また窓との周囲の取り合い部分の漏気と熱伝導によ る。  (1)機能ガラスの基本  イ. 熱損失とその対策  ガラスには一重、二重、ペアガラス、トリプルガラス、LOW-Eペアガラス、不活性ガス( アルゴンガス)混入、真空ガラスなどの種類がある。グラスウール100mmの断熱材の外壁 の熱損失の比率を1にすると、単パンガラスでは20倍、ペアガラスでは10倍、トリプルガ ラスでは6倍となっている。  ・a 空気層の厚み  薄くては効果が小さく、垂直の空気層では30mm前後で最も断熱力が高くなり、それ以上 厚くしても中空層内の対流伝熱により性能の向上ははない。日本で多層ガラスの標準的な空気 層の厚さは6mmと12mmなのだが、ドイツや北欧ではこうした理由から24mmから30 mmの空気層のガラスが見受けられる。  ・b 多層化ガラス  ガラスを多層にし、適当な空気層を確保することで、、窓から逃げる熱は減少し、室内側の ガラス面温度を高く保つことができる。窓面の結露や冷気流を抑えることができる。寒冷地な ら、室内の湿度が高くなったり、障子やカーテンなどを締めたりするとペアガラスでは結露が でてしまう。3重ガラスやLOW-Eペアガラスならガラスの表面温度が4度ほど上がり結露の 恐れは極めて少なくなる。3重ガラス以上になると、ガラスはもちろんのことガラス枠部分も 見込みが大きくなり重量がまし、ヒンジなどの金具に負担がかかる。多層ガラスが多く使用さ れている北欧の木製窓は、毎日大きく何度も開け閉てする考え方ではなく、換気時や掃除時の みに開く考え方なので、金具に負担は少ない。冬期以外の季節に窓の開け閉てが少ない北海道 では多層ガラスで良いだろうが、東北以南では春・夏・秋の開け閉ての回数が多く、使い勝手 も悪く向かない。関東以西では冬期も含んでオールシーズンに開け閉てが多いことから、性能 をあげるには軽量なLOW-Eペアガラスなどを使用したほうが良い。 ・c 金属コーテングガラス(低輻射ガラス、低放射ガラス、LOW-Eガラス)  窓から逃げる熱の半分近くが輻射による。室内の壁から出ている輻射熱は、赤外線の形でガ ラス面に吸収され、その大半が外に放出されてしまう。LOW-Eペアガラスは、コーテング面 を室内側に施工すると、日射や光を比較的良く透過するが、この輻射熱の大部分を反射し室内 に閉じこめる。太陽熱を採り入れ、暖房熱を逃さない。室外側に施工すると、日射で室内側か らガラスが熱せられても室内への熱の輻射が少なく、日射熱の室内への浸入を抑えることがで きる。また紫外線も80%以上カットする。 各ガラスメーカーから様々な商品名がでているが、普及率は北海道以外では、まだまだ低くこ れからであり、北東北でも熱心な工務店が標準にしている程度である。  熱貫流率のK値が1.5のLOW-Eガラスは、室温が20度、室内湿度が50%の時はマ イナス32度まで結露することはない。熱放射を押さえ熱損失を少なくするため、ガラスに 金属をコーティングしているもの、フィルムを貼ったりしているものなどがある。2重ガラ スや3重ガラスの1枚をLOW-Eガラスにすると、それぞ3層ガラス、4層ガラスの断熱効 果が得られる。2重ガラスの空気層の中間にフィルムを貼ったものは4層ガラスの断熱効果 が得られる。  ・d 不活性ガスの混入(アルゴンガスなど)  断熱性能を上げる一つに、空気の代わりに特殊なガスを封入することで、6フッ化イオウ やアルゴンガスなどが使用される。空気より熱伝導率が小さいガスを封入することで、ペア ガラスの熱貫流率を小さくする。最近の輸入木製サッシでは、アルゴンやクリプトンなどの 空気よりも重い不活性ガスに置き換えられるようになってきた。重いガスによってそうない の対流妨げられ、窓の熱感流率を小さくしている。価格が高価なためアルゴンガスが一般的 であるが、日本での普及はYKKapや旭ガラスなどの一部のみとなっている。一般的に普 及されているのは、デンマーク製の木製天窓のベルックスルーフウインドウである。空気層 が18mmの室内側に金属コーテングされたアルゴンガス入りLOW-Eペアガラスである。 気候条件が厳しい屋根に取り付く天窓であるがアルゴンガスになったら結露のクレームがほ とんど無くなった。夏場は日射遮蔽が欲しいことから、金属コーテングを室外側に施工した 方が良い と思う。  ・e 真空ガラス  日本板ガラスから最近真空ガラスが販売された。2枚のガラスの間に100万分の1気圧 の真空が閉じこめられている。断熱性能、遮音性能、防露性能が優れている。3mmガラス 3mmガラス+0.2mmの真空層+3mmガラスの6.2mmの薄さが何よりも良い。ま た日本板ガラスでは「スペーシア」を入れた断熱アルミサッシ「シャトルエース」を販売し た。障子の厚さが約半分、重量も低減、見つけ寸法も小さくできている。  ・f スペーサーの改良  スペーサーがガラス面に接触する断熱ガラスの端部では、相当量の熱が逃げる。その部分だ けが結露していることが間々見受けられる。従来スペーサーはアルミニウム製がほとんどだが、 最近、旭ガラスが北海道を初めとして商品名「デューカット」のブチル系のスペーサーが使用 されてきた。輸入ものでは断熱スペーサーのプラスチック製、シリコン製、グラスファイバー 製などが使用されている。  ロ. 各種ガラスの特徴と評価一覧表  (2)窓枠の基本  イ. 窓枠の材質の種類と熱損失  窓枠の見付面積は窓の全体面積の10〜15%を占め、性能に重要な役割を果たし、熱損失 が少ないもの、見付面積が少ないものが望まれる。ガラス面積が大きく望まれるパッシブ効果 や熱伝導を少なくするには外付けサッシが良い。  枠の材質には、アルミ(熱伝導率175kcal/ʄh℃)、プラスチック(0.18)、木(0 .11〜0.15)などがある。アルミは熱損失が大きい上に結露もするので寒冷地には適し ていない。プラスチックは熱を伝えにくいが、窓が大きくなると枠のなかにスチールバーの補 強材が入り、そこで結露することがあり。このことから、北欧でも見られるように、寒冷地で は木製の使用頻度がプラスチックよりも上位を占めている。最近では、住宅用アルミサッシで も外側と内側とを断熱材で冷たさが伝わってくるのを遮断している寒冷地仕様のものが出てき ている。東北の南部以南であれば十分にいける。また外部にアルミやプラスチックのカバーを つけた木製サッシは、住まい手の気質や気候に合わせ、塗装などのメンテナンスにコストがか かる木の弱点をカバーしながら特性をうまく生かすようになった。  ロ. 窓枠の気密  住宅の性能が高いと窓の性能がどうしても見劣りする。住宅の気密テストで、50パスカル の圧力をかけると、引違サッシのめしあわせのパッキン部分や、開き窓でもパッキンの角の部 分の精度が悪ければ勢い良く隙間風が飛び込んくる。そこで窓の気密性能をいかに上げるかが 課題になってくる。  窓の気密性は開閉方式と施工精度によって決まる。はめ殺し窓は性能が良いが、家中に使用 することはできない。換気や通風、人の出入りを考えると開き窓が必要になってくる。開き窓 は、気密パッキン材と引き寄せ金具の使用によって気密を高くすることが可能である。もっと 気密をたかめるために開き戸とはめ殺し窓がセットになった窓が多用されている。一般に使わ れているアルミはもちろん、プラスチックの引き違い窓は気密が落ちるので、選択には注意が いる。ただし開き戸の生活に馴染めない人も多く、高性能な片引き窓も要求されいる。木製サ ッシには、ドイツの金具を使った性能の高い、吊り片引きの窓もある。これならかなり大きな テラス戸がつくれ、開放感にあふれた空間となる。他に防犯を考えながら通風や換気のできる 多機能なドレーキップ窓などもあり、さまざまなメーカーから慎重に選びたいものだ。  日本のJISでは窓の内外に10パスカルの圧力をかけた時の通気量を(窓面積1平方mに対 する1時間当たりの通気量立法m)4つの等級に分けて気密性を表してる。BL認定の断熱サ ッシは最も高いクラスで、気密性2等級の2.0立法m/平方m以下になっている。この数値 では満足できなく、北欧クラスの久保木工の木製サッシは0.05立法m/平方mの高い気密 を持っています。北欧の基準と比べるとJISの最も高い等級でも気密が低く押さえられ、省エ ネルギーや都市での防音を考えた場合、北欧並の気密にしたいものだ。  ハ. 各種サッシの特徴と評価一覧表(建築知識’99年3月号に掲載)  [B]ガラス・サッシの選定のポイント  イ. 地域性(気候環境別)  断熱サッシというとアルミの2重サッシや、外側がアルミ室内側がプラスチックサッシの2 重サッシ以上があげられるが、結露し易いことから、断熱材で熱橋を遮断した断熱・防露型ア ルミサッシ以上を温暖地でも使用した方が良い。コストもプラスチックサッシより安くなって いる。熱橋を遮断しているが、北海道や北東北ではアルミ部分に結露の恐れがある。  北海道や北東北では、窓枠はプラスチックサッシか北欧やドイツ型の木製サッシで、ガラス は北海道でガス入りLOW-Eペアガラス、北東北ではLOW-Eペアガラスの仕様が現在時点 の標準となって欲しい。LOW-Eペアガラスには日射の負担を軽くするタイプと、断熱・防露 タイプの使い分けが必要である。高性能な高断熱・高気密住宅は北東北の寒冷地であっても、 日射が多い太平洋側の八戸や盛岡では冬期に日射熱でオーバーヒートしてしまう。冬期以外に はもちろん日射遮蔽は必要であるが、冬期でも日射が多い地域は、オーバーヒートしないよう に蓄熱が考えられているなどされていない住宅は、南面の窓のガラスは日射熱をカットするL OW-Eガラスが好ましい。室内に入る太陽光の50%以上をカットするので、夏場も非常に有 効であり、庇やシャッターなどで遮蔽しない場合は、温暖地にもこれから普及が望まれる。断 熱・保温性能は室内側にコーテングされたものと同じく、通常のペアガラスより高い。極めて 寒冷な北海道と日射の少ない日本海地域では少しばかりの日射利用と断熱・保温が優先するL OW-Eガラスが好ましい。  住宅一件分のサッシをすべて引違にした場合は、すべてを片開きなど気密の高いサッシにし た場合より、隙間相当面積が0.5平方cm/平方mほど悪くなるが、北東北以北ではきつい が、南東北以南ではそんなに負担にならないのではなかろうか。それでも、北東北にいる私は、 全部は引違は使用しないが、居間のテラス戸や個室の窓に引違を使用する頻度が多くなってい る。冬場以外に大きく開けられるのは魅力であるし、大開口部ながら網戸が簡単で良い。以前 は2間以上の開口部はヘーベシーベ木製サッシでないと性能的に怖くてできなかったが、最近 では気密の悪さは暖房形式など他で補って、プラスチックサッシの2間の大きな引違テラス戸 を平気で使用するようになった。LOW-Eペアガラスの役割は大きい。  ロ. 家の方位  地域性の項目で説明したように、日射熱取得か遮蔽かの関連である。庇などで遮蔽しにくい 太陽高度の低い東西の窓ガラスは日射熱をカットするLOW-Eガラスが好ましい。南面は庇の 長さや太陽高度などの関連でその住宅ごとの条件から考えよう。遮蔽ができない南面の窓のガ ラスは日射熱をカットするLOW-Eガラスが好ましい。  ハ。 耐久性  アルミ+樹脂サッシ、樹脂サッシ、アルミクラッド木製サッシは耐久性は気密材のパッキン を除いてそれほど問題はない。気密材のパッキンは耐久性は十数年ほどであろうか、その時期 に取り替える必要がある。また、塩害のある地域は金具が錆びることがある。  木製サッシは美しさと資産価値を保つには3年から5年ごとに塗装のメンテナンスが必要で ある。3年ごとであれば、常に美しい。十年以上塗らなくても汚れは目立つが、腐ったりの被 害は以外に少ないもで、そんなに心配することはない。塗料は浸透性の防腐・防虫剤が入って いないオスモ、リボス、アウロなどの無公害な自然塗料が望ましい。  ニ. 開閉方式(引違窓など)別に選択する  地域Ą・˘は気密が高いドレーキップや開き窓が温熱環境に効果的である。住宅一件分の サッシをすべて引違にした場合は、すべてを片開きなど気密の高いサッシにした場合より、 隙間相当面積が0.5平方cm/平方mほど悪くなるが、北東北以北ではきついが、地域Ł 以西ではそんなに負担にならない。それでも、北東北にいる筆者は、全部は引違は使用しな いが、居間のテラス戸や個室の窓に引違を使用する頻度が多くなっている。冬場以外に大き く開けられるのは魅力であるし、大開口部ながら網戸が簡単で良い。以前は2間以上の開口 部はヘーベシーベ木製サッシでないと性能的に怖くてできなかったが、最近では気密の悪さ は暖房形式など他で補って、プラスチックサッシの2間の大きな引違テラス戸を平気で使用 するようになった。  日本の場合は網戸が必要である。樹脂サッシの外開きなどはロール状の網戸であり操作性 と耐久性に欠ける。北米の木製サッシはハンドルを回して開閉するオーニングなどは網戸が 考えられているが、障子の開閉がハンドルでするのは煩わしい。ドイツを中心としたドレー キップは網戸を付けやすいが、断熱・気密性能が優れた北欧の木製サッシは網戸が有効に考 えられていなく、障子を常時開閉するには煩わしい操作のものが多い。温暖地では気密が多 少落ちても、引違や片引が操作性や網戸の対応も人々の生活に適合していると思われる。  日射遮蔽のオーニング、シャッター、外付けブラインドを装備する事が多くなってきたが、 外開き窓は開いた時に遮蔽装置とぶつかり注意が必要である。内開き窓や、引違窓の選択に なる。  ホ. コスト  2重アルミサッシは単パンアルミサッシの約2倍、断熱アルミサッシは2重アルミサッシ の約2倍弱、脂サッシは2重アルミサッシの約2倍、木製サッシは樹脂サッシの約2倍の価 格帯である。これにLOW-Eペアガラスなどを使用すると、それぞれやく2から3割高くな る。しかし、断熱アルミサッシや樹脂サッシが普及されていない温暖地ではかなり高い。  [C] 条件別・事例からみる開口部設計のポイント  [ 条件例  以下の条件を参考に3〜4の事例を紹介 ]  A 地域性  (北海道仕様>本州仕様)  ・高浜の家(愛知県高浜市)   (A地域性=地域Ľ本州仕様、B用途=大住宅、C設計方針=開口部大、日射遮蔽)   Ą 意匠  南面の真ん中が玄関で左側に広縁付座敷が2間・他、右側に居間・茶の間・食堂が配置さ れた慣習的なプランである。長い庇は陰影をつくり、落ち着いた和洋折衷のデザインである。 この地域は高断熱・高気密が普及されていないので断熱・気密パネルシステムのAPを使用し た。  ˘ ディテール(性能、意匠ほか>開口部、新在来との取り合い)  広縁の掃き出し戸は幅3.5間・高さ7尺5寸、居間の掃き出し戸は幅2間・高さ7尺5 寸と大きな開口部である。その他の窓も大きい。便所の滑り出し窓の他はすべて引違窓であ る。  Ľ 性能  開口部は断熱アルミサッシ(Low-E遮熱ペアガラス)。日射遮蔽と防犯のため広縁前、居 間、茶の間は雨戸付、個室は電動ブラインド付である。性能は熱損失係数は1.5kcal/h・℃、 隙間相当面積は0.45ɓ/ʄ。大きな開口部と引違窓の割に気密性能が良いのは、床面積が大き いから数値が有利に働いているのだろう。  B 建物用途 (公共施設>小住宅>大住宅)  ・秋田県立大学付属木材高度加工研究所管理棟(秋田県能代市)        (A地域性=地域Ł本州仕様、B用途=公共施設、C設計方針=開口部大)   C 設計方針 (標準>ダイレクトゲイン重視型、開口部小>開口部大) ・大窓の家(秋田県能代市)(A地域性=地域Ł本州仕様、B用途=住宅、C設計方針、開口 部大)  Ą 意匠  居間の掃き出しテラス戸は幅が2間半高さが7尺5寸もの大きさだ。外観は、奥行き1間の 土庇がつき陰影があり、落ち着いた風情である。高断熱・高気密のシェルター型の工法なのだ が、大きな開口からは庭が見え、居間に開放感をもたらしている。  ˘ ディテール(性能、意匠ほか>開口部、新在来との取り合い)   大きな開口には引き込みの猫間障子が付属し、引き込む大きく開放され、閉めると障子の和 紙の表情が柔らかい。和紙の白さは木の色と調和し落ち着いた風情である。   Ľ 性能  開放形式は大きなテラス戸がヘーベシーベ、北側の縁側の掃き出しとが片引き戸、他は縦と 横のスベリ出窓である。LOW-Eペアガラスの木製サッシである。性能は熱損失係数は1.3kc al/h・℃、隙間相当面積は0.7ɓ/ʄ。  Š その他  秋田杉、青森ヒバ、漆喰、木製サッシなどを使用したエコロジー・バウビオロギー指向の 住宅である。平成2年完成で、10年後に外部の下見板や青森ヒバの木製サッシにメンテナ ンスのため再塗装した。漆喰はあくまでも白く、再塗装された木部も真新しく10年経過し た住宅とは思えない。もちろん、基礎外断熱の床下空間は湿度70%以下の乾燥状態で、木 部の腐れは見られない。長寿命の住宅はこうしたことを指すのだろう。 ・太陽熱利用の家(北海道苫小牧市、室蘭工大鎌田研究室実験住宅)       (A地域性=地域Ą北海道仕様、B用途=住宅、        C設計方針=パッシブソーラー・ダイレクトゲイン、開口部大)  Ą 意匠  大げさなソーラーパネルや太陽電池を屋根の上にのせるのではなく、窓からの日射を増し、 断熱雨戸などによって夜間の暖房エネルギーを減らすパッシブソーラーである。  ˘ ディテール(性能、意匠ほか>開口部、新在来との取り合い)   南面の大きなはめ殺し窓をソーラーコレクター窓に利用する。ペアガラスの内側にもう1 枚単層Low-Eガラスを取り付けてガラスの熱貫流率を小さくし、その間に黒いブラインドを 入れ、ガラス内の空気に太陽熱を取り込み、床下に高温空気として取り入れ、直接床下のコ ンクリートに蓄熱させている。  Ľ 性能   断熱材、基礎:発泡ポリスチレン板厚160、外壁:付加断熱高性能グラスウール16kg .24kg 厚190、屋根:同上厚300を250に圧縮、開口部:木製サッシ(三重Low-Eガラ ス)  ・土縁のある家(山形県東根市)(A地域性=地域Ł本州仕様、B用途=住宅、C設計方 針=開口部大)  写真・平面のみ  樹脂サッシLow-Eガラス、居間・広縁の大きな掃き出し戸は熱損失が大きいが、外部をサ ンルーム・風除 室にし熱損失を小さくする。  (5)開口部の断熱工事・監理のチェックポイント  サッシは完成された部品なので、サッシ自体は選択を間違わなければ良い。監理のチェッ クポイントはサッシと躯体との接点の取り合のみである。  ・外部 : タイベックなどの防水層とサッシの外枠の周囲をテーピングなどで完全に防 水処理を処理しているか。  ・室内側: 気密・防湿層とサッシの外枠の周囲をテーピングなどで完全に気密処理をし ているか。  断熱アルミサッシや樹脂サッシはつばが付き、テーピングなどしやすいが、つばの無い木 製サッシは充分な注意が必要である。  [D]木製サッシ  高断熱・高気密住宅を十年来以上設計をしてきて、何時も考えさせられてきたのは開口部 である。高断熱・高気密住宅は、初め、北海道や北欧の物まねから始まり、四角い躯体と三 角屋根の形に小さな窓のついた閉鎖的な住宅であった。そうした北海道型形態は、自然条件 の厳しい極寒から解き放たれ、高性能な快適で暖かい住まいには必然なものであった。しか し、本州などの地域では、寒さばかりでなく夏の暑さ、春や秋の過ごしやすい季節、それぞ れに対応するように考えられてきた。  基本は、北海道で開発した寒さを克服した科学的な技術を夏の暑さに応用し、日本の四季 折々の季節を過ごす伝統的な手法とを交え、現在にあった快適な住まい作りをしたいものだ。 このような事柄を考えた場合、大きな要素の一つに窓などの開口部があげられる。こうした 開口部は、高性能で、地域地域に適合でき、小回りのきく間口の広い木製サッシが有効であ る。    イ.北海道や北欧の木製サッシ  北欧の窓は、厳しい自然環境や防犯からの、防護シェルターの壁にあいた必要最小限の穴 の考え方になっている。窓自体も重装備である。高い性能を得るために北欧の住宅では窓の 殆どが木製サッシである。北海道では、高断熱・高気密住宅の窓は今のところプラスチック サッシが標準になっている。木製サッシはまだまだ高価でグレードの高い住宅だけだが、増 え続けている。 北欧では窓を開けるのは、硝子を掃除する時の内開きと、夏場の換気の時 のドレーキップなどの内倒しや、専用の換気窓が小さく開くものであり、我々のように窓を 大きく開ける習慣は少ない。だから、開口部は基本的に開けなかったり、ガラスの嵌め殺し の考え方である。こうなると、窓関係の開け閉てする金具の機構や、気密を保つウエザース トリップや等圧空間が複雑でなく、断熱や気密が高性能に保たれやすい。  ロ.日本の伝統と木製サッシ  本州などの地域では高性能を保ちながら窓を大きく開ける慣習にあった窓が欲しい。日本 の伝統的な住宅は柱と柱との間が壁ではなく、風通しの良い建具であったり、素通しで何も なかったりしていた。開口部はあっても窓がなかった。そうしたことからシェルター的な窓 を考えるのが苦手で、日本の窓は開け放つのが基本であった。建築家の吉村順三は伝統を もとにした木製の開口部のおさまりを随分研究し、ある程度の気密を考えていた。高断熱・ 高気密の高性能な窓に日本的な要素を取り入れるのに、吉村順三の研究は随分と役にたって いる。吉村順三の窓は、いつもは大きく開け放たれ、戸袋の中に収まっている。柱と柱の間 は何もなく外部と直接に通じているが、長い庇や濡れ縁などの中間領域とあいまって、開口 部周りは段階のある魅力な空間になっている。明治以前の、ガラスのまだない、典型な伝統 的建築空間作りである。吉村順三はこれらと逆に嵌め殺しのガラスを使うことも多く、現代 建築としてガラスを上手に使った、光が透ける、又、反射する主張性のある大窓も素敵なも のだ。  また、住宅の現代の開口部は、他の建築部材には少ない動きのある部品で、日本では伝統 的に弱い所でもある。開口部は人々が出入りする動く所であり、通風や換気などの呼吸する 所であり、色々な意味合いで外と内を関係づけたり遮断したりする重要な部分である。吉村 順三は窓のこうした事柄を考慮にいれ、水密や気密をも考えたおさまりは密度が高く、また デザイン的にも優れている。このような、伝統・慣習と現代とが融合した窓の思想から高断 熱・高気密の木製サッシを考えてみたい。木製サッシはアルミサッシさプラスチックサッシ と違って小ロット生産に向き、地域に適合した地域生産し易い。  ハ.お国柄と木製サッシ     高性能を保ちながら大きく窓を開けることで参考になるのはドイツである。ドイツでは日 本と同様に窓を大きく開けたり、毎朝、開けたいなど慣習がある。大きなテラス戸のある家 は憧れだと言う。北欧の単純な開閉方式と違って多種多用な開閉方式があり、自然環境の違 いからそれぞれの国々によって木製サッシに求める事柄が微妙に違ってきている。 寒さの厳しいスェーデンやノルウェーでは気密や断熱の性能が最優先で、開閉方式が少なく なっている。木材にも機能本位で節や埋め木がいっぱいあったり、継ぎ手や仕上げなどが雑 であっても平気のようだ。日本人の感覚でクレームをつけると、そんなに精度の良い物は家 具屋に作ってもらえと言われる始末である。  国民感覚が日本人に近いのはやはりドイツであり、木材も節も少ないのを好むし、仕上げ も綺麗である。開閉方式も多用だし、なにしろ、大きい窓や大きく開けることを好む。これ らはもちろん、寒さが北欧ほど厳しくないことにもよっている。大きく開けたり、開ける頻 度が多かったり、多用な開け方により、動く部分の金具はすこぶる発達している。日本人が 真似するのにちゅうちょするほど精度が良く頑丈なのは、ドイツの他の製品と同様である。  スェーデンとドイツのいい所を合わせ持っているのがデンマークである。デンマークは北 欧の南端でしかもドイツの北隣だから、開閉方式の多様さ・金具・精度・綺麗さはドイツか ら、性能、木の良さはスェーデンから頂き、融合させバランスが良くなっている。生産体制 も、ドイツのいくつもの大きな機械を一人の人間が操作する のと、スェーデンの職人工業的なものとの両方の良さをもっている。 ドイツは面白い国で、 木製サッシの金具の大きなメーカーだが、天窓の素晴らしい生産ラインの工場での話しであ った。輸出先の国の住宅の性能のレベルにあわせて、木製サッシを生産している。ドイツで 使用するのは精度よく自国で生産し、他は他国のレベルにあわせて、アメリカ、フランス、 東欧でラフにそれぞれ現地生産している。必要以上のものはいらないという、厳格なドイツ 人の考え方なのだろう。  性能の良い高断熱・高気密住宅ではアメリカの木製サッシは物足りないので、アメリカ生 産のものをつかまえさせられたら大変だ。そんな話を聞かされた後、ドイツ生産のを使用す るように充分に注意していたが、フランス生産のが混じり、結露で酷い目にあった。またド アでスェーデン製と言っても、東南アジア生産のがあり、やはり開閉でトラブルが生じた。  ニ.木製サッシの気密  窓の気密性は開閉方式と施工精度によって決まる。気密性能は開き窓で、コシヤマや久保 木工では0.05m3/m2、札幌木工センターでは0.062m3/m2、新宮商工では0. 08m3/m2の高性能です。一般に使用されているアルミはもちろんのこと、プラスチック の引き違い窓は気密がかなり悪くなっている。  引き違い窓は気密を考えない場合には開閉の機構が簡単だが、気密を考えたら金具やパッ キン材が複雑だったり、動く時に擦れたりで難しい問題をいっぱい抱えている。しかし、北 海道以外の地域では、開き窓だけの生活に馴染めなく、気密が高まる改良された片引き窓や 引違窓が望まれている。木製サッシには、ドイツの金具を使った性能が高い、持ち上げ片引 きのヘーベシーベ、内倒し片引きのキップシーベ、内倒し前だし片引きのパラレルシーベな どがある。コシヤマのヘーベシーベは0.23m3/m2と開き窓よりは低いものの、BL の断熱サッシの2.0m3/m2から見ると、すこぶる高性能になっている。  ホ.環境共生と木製サッシ   木製サッシは性能や感性の他に環境共生の考え方にマッチしたものだ。環境共生で最近問 われるのは、物を生産するにどれくらいのエネルギーが消費されるかと廃棄処分時である。 言い方を変えると、いかに地球に負荷を与えないかの問題である。  アルミサッシの生産はエネルギーは木製サッシの約140倍も必要で、炭素放出量は約3 0倍、炭素貯蔵量は0です。木製サッシの炭素貯蔵量は5.6kg(1m2の窓)ある。ア ルミサッシはメンテナンスがかからないのだが、目に見えないところでエネルギーを費やし 資源の無駄使いをしている。木材は植林を伐採とのバランスとりながら続ける限り、地球に 負荷を与えず、永久な資源である。木は成長しながら炭酸ガスを吸収し酸素を出すので、地 球が温暖化しない方向に役立っている。伐採後も住宅の材料として残り、取り込んだ炭酸ガ スを保有してくれている。廃棄時は腐り土に帰る。