6.その他
床下暖房
1.現在の暖冷房システムの問題点
 €温熱環境的に
 現在の暖冷房システムは主に空気を暖冷房するが、天井面・壁面・床面の輻射熱が考
慮されていない。暖房時は室温が20〜22℃あっても、天井面・壁面・床面の温度が
低く10〜15℃なら冷輻射を感じ肌寒い。暖冷房システムに機器だけではなく、建物
の躯体も組み込みたい。現在優れた暖房と言われている、床暖房は輻射熱を利用してい
るが、限られた床面積とコストから全室暖房するには床面を高温にせざる得ない。心地
悪い温熱環境である。住宅では床に座ったり、寝そっべたりで、体が高温の床面に直接
に接してしまう。低温火傷や、リュウマチなど関節にダメージが生じる。人体にダメー
ジがない25℃以下にすると熱量が少なく全室暖房にならない。床暖房はあくまで寒い
家の補助暖房と考えた方がよい。

  コスト的に
 断熱・気密が考えられていない住宅の全室暖冷房はコスト的に考えられない。断熱・
気密住宅でも、全室暖冷房するにはイニシャルコストが100万円以上、暖房のみなら
70万円以上かかる。最もローコストのFFストーブ1台で全室暖房は15万円で仕上
がるが、暖気が自然循環できるように吹き抜けを利用した開放型の十分に練られた平面
計画・暖房計画が必要である。

 2.床下暖房とはなにか?
 €基本的な考え方
 ・a 原理
 床面、壁面、天井面の温度が室温より0.5度から1度前後高いと輻射熱を感じ心地
良い。そうした各面のなかで温熱環境的に影響が大きいのは、人体が接したり近い床面
である。これまでは床面の暖房は温度が高すぎ不快な床暖房しかなかったのだが、基礎
断熱の床下空間を暖めることにより、床面を室温より0.5度から1度前後高い温度に
保つことができるようになった。これが床下暖房である。

 ・b システム構成
 住宅の駆体が高断熱・高気密であり、基礎断熱でなければならない。床下を暖める暖
房方式は、1・床下に暖房機を置く、2・床下に放熱器を置く、3・床下に暖かい空気
を入れるの3タイプがある。1の暖房機にはコストが最も安いFF(強制給排気)スト
ーブ、床下専用ダクト付きFFストーブ、深夜電力電熱線埋め込み土間コンクリート蓄
熱暖房、深夜電力蓄熱暖房機がある。2・の放熱器は温水ボイラーやFFストーブ(廃
熱利用、ツインバーナー)によるパネルヒーターがある。床面のみを暖めるのではなく、
熱熱量が大きい基礎のコンクリート、土間コンクリートに蓄熱しながら全体から輻射熱
が期待できる。熱容量の多さは木造建築の欠点を補い安定した温熱環境が維持できる。

  特徴(メリット・デメリット)
 ・a 温熱環境的に 
 床面の温度が室温より約0.5度から1度高く輻射熱を感じ心地良い。床面と天井の
温度差、平面方向の温度差がほとんどなく良好な温熱環境である。

 ・b 省エネルギー的に
 床面の輻射熱が有効に働き、室温が低めに設定でき省エネルギーである。

 ・c コスト的に(イニシャル/ランニング)
 ◎イニシャルコストが最もローコストなのが、FF温風石油ストーブ1台を床下に設
置し、45坪以下の延べ床面積であれば6,500kcalのストーブで約15万円、
30坪以下であれば4,500kcalのストーブで約10万円の床下暖房の全室暖房
ができる。間仕切り壁が多い住宅は熱がまわりにくく、ストーブ1台で暖房することは
困難なのだが、床下をオープンに工夫しストーブ1台の床下暖房は有利になる。
 ◎燃焼廃熱利用の温水パネルヒーターが組み合わせできるFFストーブを床上に置き、
ストーブからの温水のパネルヒーターを2台ほど床下に配置した方式は約50万円のイ
ニシャルコストである。深夜電力のシーズヒーターを床下の土間コンクリートに埋設し
蓄熱に利用した方式は打ち増しのコンクリートと鉄筋を足して約50万円のイニシャル
コストである。
 ◎深夜電力蓄熱暖房機を床下に設置する方式は、床下に2台、居間などの床上に1台
設置したい。3台のイニシャルコストは約70万円である。
 ◎各所で個別にコントロールできる優れた温熱環境をつくるには、放熱箇所が多いこ
とに越したことはない。ボイラーからの温水パネルヒーターが8カ所前後でその内の3
カ所を床下に配置する方式は約100万円のイニシャルコストである。床下に設置され
るパネルヒーターは放熱量が大きく低価格の床下専用ものが市販されている。
 ランニングコストは通常の床上の暖房の2割アップであると研究データーが示してい
る。

 3.計画のテクニック
 €設計のポイント
 ・a 必要な躯体性能
 高断熱・高気密の基礎断熱住宅であり、熱損失係数が関東以西は2kcal/h・℃、東北
では1.5〜2kcal/h・℃、北海道では1kcal/h・℃以下、隙間相当面積は1.5cm2/m2以
上の躯体性能が必要である。
 地下水位が高い敷地では床下防湿コンクリートの下に全面断熱材を敷き込む。

 ・b プランニングの配慮(最大限に効果を発揮するために)
 1階、2階のプランニングは自由であるが、床下の暖気が行き渡るように、構造を考慮
しながら床下がオープンな布基礎配置を考える必要がある。

 ・c 暖房容量の算定法
 高断熱・高気密住宅の簡易的な暖房容量計算で良い。床下、床上共の暖房容量と考え3
0坪程度であれば合計5,000kcal前後、50坪程度の住宅であれば合計7,00
0kcal前後の暖房容量で間に合う。床下への暖房容量は全体の3割から5割程度が好
ましい。

 ・d 熱源の選定 
 コストと生活形態に合わせて選択する。最もローコストな熱源はFFストーブの灯油な
のだが、深夜電力は2割程度高いが高齢者や共働きで火が心配な人は蓄熱暖房の深夜電力
になる。

 ・e パネルの設置位置の配慮
 冷輻射やコールドドラフトが生じる大きなテラス戸の床下や、家族のたまり場の床下に
設置するのが効果的である。

 ・f スリットの大きさ・位置の検討 
 テラス戸に設置するスリットの大きさは幅が約10cm、長さはパネルヒーターの長さ分
必要である。全体で5箇所程度のガラリをつけ、テラス戸以外のガラリの大きさは15cm
×50cmほどである。他に床下と繋がっている階段の蹴込板にスリットをつけるなどして
開口面積を大きくする。全体の開口が少なければ床下の温度が高くなるが居室の室温が上が
らない。ガラリの材質は筆者は木製だが、専用のアルミ性ガラリが市販されている。

 ・g リターンをどこからどうとるか 
 リターンはストーブや蓄熱暖房機ではその部分から、パネルヒーターなどは、階段にそっ
て自然循環で降りてくる冷たい空気を階段付近の廊下のガラリなどから床下に入れる。この
付近の考え方はまだまだ経験と研究が浅く、空調と違ってかなりアバウトである。

  運用上のポイント
 ・a 基本的な運転方法
 良好な温熱環境を維持するには連続運転が基本である。ランニングコストは連続でも、非
連続でもさほど変わらない。夜に暖房を止めると、床下コンクリートの熱容量が大きいので
翌日温熱環境が回復するのに午前中いっぱい時間がかかる。回復には時間がかかるが翌朝で
も室温は2度ほどしか下がらないので寒くはない。夕方の一家団欒時には十分回復している。

 ・b メンテナンスの考え方 
 床下に全く入れる場合は、メンテナンスできるように点検口や取り出し口を考える必要が
ある。ストーブや、蓄熱暖房機の場合は図*や写真*のように押入の下部空間を利用しガラ
リ戸を手前に設置したり、階段室やボイラー室に設置し床下空間に温風を吹き込むなどの工
夫が必要である。

 ・c その他(ホコリの影響など)
 温風方式でも、床下のホコリが舞うほどの温風の強さではないが、床下のホコリを人が腹
這いで掃除機で掃除できるような空間の確保をする。

 ¡コストの考え方 
 ・a イニシャルコスト(何処まで下げられるか?その場合なにが犠牲になるか)
 良好な温熱環境を危険性なくつくれるのは、温水暖房パネルヒーターを各室に配置し室温
がコントロールでき、床面の温度を室温より1℃前後あげるために、床下にパネルヒーター
を補助的に設置するのが得策である。しかしこれではイニシャルコストが100万円以上か
かってしまう。イニシャルコストが何処まで下げられるかというと、FF石油温風ストーブ
を図*のように下部を床下に入れ、上部が床上にでるように居間の片隅に設置することだ。
床下に温風が放出され、室内も直接に暖房される。更にストーブの床下の温風の出口にダク
トを2本ほど設置すると、遠くまで温風が届く。このダクトは、DIYで売られている温風
ストーブから炬燵に温風を入れるダクトが適用できる。このダクトは1本3千円程度である。
15万円前後で床下暖房ができあがる。強いて欠点をあげれば、優れた温熱環境環境をつく
るには経験がいることである。

 4.ワンランク上のテクニック
 €計画換気の床下暖房利用
 床下暖房に計画換気を盛り込むワンランク上のテクニックがある。計画換気システム(第
3種換気)の床下のダクト口からを床下の空気を吸い込み屋外に排気する。そうすると床下
空間が負圧になり、室内の暖かい空気がガラリを通って床下に引き込まれる。床下に引き込
まれた暖かい空気は床下の基礎コンクリートなどを暖め、放熱器などを床下に置いた床下暖
房と同じ効果を得ることができる。計画換気システムを利用したパッシブな暖房方式なので、
コストがほとんどかからない。
 図*のような熱交換換気システム(第1種換気)と床下暖房、図*のような自然計画換気
と床下暖房も行われている。

  計画換気の駆体冷却利用
 計画換気システムを夏の室内の冷却化に役立てられる。基本的な換気システムは、冬期は
断熱・気密換気口をを閉め、夏期は開放するようになっている。そのため夏期は換気口から
北側や東側の涼しい空気が入り込み、さらに床下の25度前後の温度で冷やされた後、ガラ
リを通って室内に入る。一方、室内の温まった空気は上昇し、2階の開放した換気高窓から
抜け抜けていく。こうした換気計画を行えば、日中、窓を閉めて留守にする家であっても、
帰宅時にムッとするような暑さを感じない。涼しさを保つにあたり注意する事は、高断熱・
高気密住宅は日射が入ると暑くなるので、庇、外付けブラインド、外付け日除け防犯シャッ
ター、日射熱遮蔽Low-Eペアガラスなどで日射を入れないことが大切である。



●木材の乾燥
高性能住宅(高断熱・高気密)には木材は含水率が15パーセント以下のものを使用しま す。此の工法の住宅は低温除湿乾燥機のようなもので、1年ほどで北側の浴室などのじめじ めしがちなところの土台でも10パーセントほどに乾燥してしまいます。  木材は18から15パーセントの所で著しく収縮したり、捻れたりするので、床鳴りや木 が割れる悲鳴のような悲惨な音がでるので苦情がでます。なによりも、歌い文句である高気 密の性能が保てなくなります。天然乾燥材だと含水率30パーセントが限度であり、数年の 経年変化で3割くらい気密の性能が悪くなっています。普通の住宅では30パーセント程度 の乾燥材ならすこぶる喜ばれますが、実状はこれですら市場で求めにくいものになっており ます。    梁・母屋・桁・頭つなぎなどの横物、柱などの主構造材は集成材を乾燥材として使ってい ます。集成材を構成する部材のラミナの段階で10パーセント前後に人工乾燥するので、集 成材は理想的です。予算が厳しい場合でも、北米や北欧から輸入や中国木材の人工乾燥材( 人乾材)を使います。  根太・たる木はツーバイ工法部材の人乾材です。最近の住宅の屋根は勾配が急になり、た る木の長さが12尺物なら寸たらずで歩留まりが悪くなっています。ツーバイ工法の部材は 6メートル、8メートルと長く切り残しが少なく単価は高いのですが、歩留まりと施工性が いいので総合的に考えると有利になっています。間柱までも人乾材が輸入されているばかり か、最近ではLVLの間柱が登場しています。    あと、住宅で残されている構造部材は胴縁などの小割材で、これは断面積が小さいので天 然乾燥でも十分いけ、近場の杉などの木材を使えます。しかし小売りから配達されたときは ずぶ濡れで、工務店のほうで手間暇かけて天乾する必要があります。後でのクレームを思う とやらざる得ないでしょう。    ドア枠・窓枠・幅木・回り縁・階段・甲板などの洋室まわりなどの造作材も収縮や変形を 恐れて北米や北欧などの輸入の集成材を使用します。化粧単板材で貼らないジョイントが見 える集成材です。性能が良く単価も安く、乾燥材でクレームが少ないからです。幅が50セ ンチ、長さが4メートル、厚さが3センチのホワイト・ファーの集成材は割って多目的に使 え、また非常に安いものです。内装材には、平均15坪くらいのスエーデンパイン(北欧赤 松)の羽目板を使うとインテリアが豊かになります。これも人乾材です。  輸入材じゃないものは、和室の柱・長押・鴨居・敷居・台輪・障子・襖などの化粧集成材 の化粧単板材、天井の貼柾などです。  住宅の外観は、外壁の1階部分に杉板などを貼ると表情がでてきます。外部環境も優しい 空間づくりになります。外壁全部に杉の板貼りは、木が好きでたまらない人にはいいもので すが、町並みの住居環境に浮いた感じになります。価格が手ごろな杉板の他には、腐れに極 めて強い米杉などを使います。しかし米杉は価格が高く、安定して手に入れにくくなってい ます。  国産の杉の外壁は比較的、パイン材などよりは耐候性があり、価格もまずまずです。木の 自然な素材感が味わい深く、表情が豊かで素敵な材料です。外壁材は板材であるから乾燥し やすく、天然乾燥で十分対応できます。色彩も木材保護塗料などで選べます。    塗料は防腐・防蟻剤が入っていないオスモカラーやリボスなどの輸入されたものを使用し ています。土台はずぶ濡れの防腐・防蟻剤が注入土台が多用されていますが、人体や環境に 負担が大きいので使用せず、土台は耐久性や防蟻性が高いヒバや桧を使用しています。