脱炭素に不可欠な洋上風力発電が逆風にさらされている。建設コスト上昇で事業採算が悪化し、先行事業者の三菱商事は522億円もの損失計上に追い込まれた。四方を海に囲まれた日本は、再生可能エネルギーで洋上風力への期待が大きく、政府は電源全体の1%にとどまる風力の割合を今後15年で4〜8%へ高める目標を掲げる。それには事業の収益確保が大前提だ。政府は継続的に投資を促す支援を工夫し、持続可能な開発を推進する必要がある。
洋上風力は2019年施行の再エネ海域利用法で本格導入が始まった。国が公募する沖合海域ではすでに入札が3度実施され、9つの大規模事業が決まった。
三菱商事は21年末の最初の入札で安い売電価格を提示し、秋田県や千葉県の3事業を総取りした。だがその後の物価高騰で部品調達費が跳ね上がり、収支見通しが狂った。28年秋以降とする稼働の遅れや追加損失も懸念される。
洋上風力は海外で計画縮小が相次ぎ、トランプ米政権は風力への支援を停止した。国内でも入札参加を見送る企業が出始めた。
開発を推進するため、政府は公募ルールを見直す。例えば事前の海域調査を政府機関が請け負い、企業に情報提供する。従来は事業者が個別に行い、入札で負ければ無駄になっていた。公募後に風車などの調達費が上昇した場合、一定程度を売電価格に反映できる仕組みも導入する。25年度中にも実施する次の入札から適用する。
政府は昨年末にまとめた次期エネルギー基本計画案で、再エネを40年度の電源構成の4〜5割を担う主力と位置づけた。洋上風力は3000万〜4500万キロワットの導入を目標とする。少なくとも原子力発電所30基分に相当する容量が必要で、実現は簡単でない。
風車を海に浮かべる「浮体式」の実用化も急ぐが、難易度が上がる分、投資もかさむ。脱炭素と電力安定供給を両立するため、コスト削減や国民負担の最適解に向けて官民が知恵を絞ってほしい。
知恵を絞る前に、責任を取れないなら三菱商事は退座して欲しい。
経営陣の見通しの甘さからとんでもない価格で落とした。
時代の変化・振幅の大きさ・流れの速さに対応できないでいる。
いっ時のトランプで、短命だ。
時代は長い。
自前のエネルギーと食糧は必要である。
官民が知恵を絞り、入札の2番手、3番手が事業を成し遂げて欲しい。