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松村塾(東北住建):セキスイハイムM1 林・富田邸

研修・鑑賞・スタディ

2024.07.16

12日は盛岡で東北住建の松村塾。

■講  師:松村 秀一先生 神戸芸術工科大学学長 
 演  題:「もう一つの住宅産業論-剣持りょうと大野勝彦-」
■講  師:大島 芳彦先生 株式会社ブルースタジオ クリエイティブディレクター
 演  題:「リノベーションまちづくりの実践について」

今回はセキスイハイムM1
私は72歳なのだが、「これまで最も影響を受けた建築家は誰?」と聞かれる。
影響を受けた建築家はいっぱいいるが、最もと言われると、
大野勝彦になる。

学生時代に大野勝彦と吉村順三の木製窓の詳細図を集めたり手書きのコピーをしていたのから始まる。
建築の良し悪しの一つは動く部分がカギと思っていた。
住宅生産や部品に興味をもつようになった。
大野さんはセキスイハイムM1の開発者である。

30歳に能代に戻り独立した。
その数年後に自宅を設計したのを
大野克彦さん、藤沢好一先生、野辺公一さんなどが見に来てくれた。
それからの交流である。
その頃、コシヤマの木製サッシ開発に携わったが、
大野さん、藤沢先生、野辺さんにコンサルをお願いした。
松村先生は院生で大野さんの鞄持ちであった。
その頃はまだ個人用ワープロが一般的でなく、
大野さんの震えた字を判読し清書し報告書にまとめた。
思考のやり取りが頻繁に行われていた。

個人用ワープロが出たのに対応し群居が出版された。
この頃の大野さんは大手ハウスメーカーの量産方式から、
ホープ計画などの小規模工務店対応の地域木造住宅工房生産方式にシフトしていた。
より交流が深くなった。

建築家と共に「これまで最も影響を受けた建築はどれかと?」と聞かれると。
M1とそこに住まわれた空有間であり、
特筆されるのは「林・富田邸」である。
大量建築生産でシステムは美しいが、建築と空間は単純な箱である。
家(建築)は住む人を束縛するものではなく、住む人が空間を生成するのが筋と思われる。
建築家の恣意的な作り込みは差し控えたい。

松村先生の話で再確認した。
写真に松村先生と敬愛する野沢さんが写っている。

林・富田邸

掲載雑誌
建築知識ビルダーズ46(2021秋) P106〜135

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